アレアレ。アレよアレ。
私の話を聞いて下さいますか?
私はディアンヌ・プテリオン。
16歳。
プテリオン公爵家第三子にして長女。
アレン・メニスカス王太子殿下の婚約者。
プライド高く、
権力をかさにきてわがまま三昧。
な、テンプレ悪役令嬢でございます。
・・・・・もう一度言ってもいいですか?
悪役令嬢です。
ただのです。
本当にただの悪役令嬢です。
テンプレの普通の、当て馬の、中盤・終盤に退場必至の悪役令嬢。
主人公の幸せのスパイスとして振りかけられまくる悪役令嬢です。
しつこいですが、もう少し聞いて下さい。
気づいたのは10歳の時、きっかけは特にありません。
王妃様のお茶会にお呼ばれし、意気揚々と王妃様自慢の庭を見て、
「あっ、これスチルで見たヤツだ。」
と、唐突に思い出しました。
タイトルは思い出せません。
だけども、テンプレ乙女ゲーとして在り来たりな内容ながら絵の素晴らしさと豪華声優陣で人気を博した”アレ”だ!
”アレ”。
パニックになった私は「アレ」「アレ」だけを連呼しました。
固有名詞が出てこず、「アレよ。アレ。アレどこ~?」「そう、アレでしょアレアレ。」
みたいにアレだけで会話するおばちゃんみたいになった私は処理落ちして・・・・そして、倒れました。
思い出したこともショックでしたが、王妃様のお茶会で倒れたことも中々のヤラカシで、「アレ、アレ」言って倒れたせいで心の病気疑惑も起きました。
私が解決できることは、ほぼ無くて寝てるしか出来ませんでした。
総括するととにかく事後処理が大変そうでした。
それで知った現状がまた大変でした。
面倒なので箇条書きします。
1.王太子殿下・そのご友人には嫌われている。(表面上取り繕われている)
2.家族・使用人・友人にも嫌われている。(表面上取り繕われている)
3.勉強できない。(しない)
4.魔術も使えない。(しない)
5.性格が悪い。
6.衣装・化粧が良いだけで実際は美人でもない。(寝てる時鏡見てびっくりした)
そう、ディアンヌこと、私は清々しいほどの総嫌われの上に何も持っていない人だった。
でも、逆に燃えた。
これ、あれじゃない。
今、知ったって事はここからの逆転じゃない?
ラノベ的展開に胸が熱くなりましたよ。
だけど、現実はそんなに甘くない。
甘くないですよ。




