生きる意味。4
遅くなりました。
「......ここは?」
目が覚めるとふかふかのベッドの上にいた。
さらさらと肌触りがよく、安眠どころが永眠してしまいそうなほど寝心地が良い。
「おお、目が覚めたか勇者様。」
声のするほうに視線を向けると、そこには鎧を着た金髪の青年がいた。
確か、さっきまでいた部屋の後ろのほうにいた気がする。
「急に倒れるからびっくりしたぜ、まったく。」
「...すみません。」
「なぁに、いいってことよ!いきなりこんなことになっちまったら混乱しちまうもんなぁ。」
「...はい。」
目が覚めたら夢だった、ということはなかった。
つまり、これは現実。
体が震える。ひどく寒く感じる。
「お、おい、大丈夫か...?」
「...はい、大丈夫...です。」
「な、なんだ、どっか痛いのか?お医者さんを呼んだほうがいいか?」
「いえ...お気に...なさらず。」
「そうか?じゃあなんで、泣いてんだ?」
「え?」
目元を手で拭う。手にぬるい水が付着した。
どうして泣いているんだろうか。
「うう、ううう......。」
涙が止まらない。いつもは、すぐ止まるのに。
「どっか痛いんだろ?やっぱお医者さ呼んだほうが、」
「ち...がうん...です。こ...これから、どう...したら...いい...か、わかん...なくて。」
「よくわかんねぇけど、話なら聞くぜ。なんでも話てみな。きっと楽になぜ。」
「...................はい。」
俺は今までのことを話し始めた。
なぜ話したのかは自分でもわからない。ただ永遠と、長々と話し始めた。
新品の蝋燭が燃え尽きるほどの時間をかけて話を終えた。
息が詰まりそうなほどの濃密な静寂が流れた。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!」
「うわぁ!?」
静寂を砕いたのは金髪の青年だった。
涙ぐんだ声で、それを隠すように叫んだ。
俺は驚いて体をのけぞりすぎてベッドから落ちるところだった。
「な、なんですか?」
「泣いてねぇぞ!おれぁ泣いてねぇぞ!!...おれぁ!」
「わかった、わかったから。あなたは泣いてないですよ。」
「ううう、うううううう。」
いつの間にか、選手交代していた。
青年にはなぜか田舎風のなまりが効いていた。
「勇者様はつれぇことがいっぺぇあったんだなぁ...。」
「別に、そんなんじゃ、。」
「わがってる、わがっでるさぁ。でも、つれぇことには変わりねぇでよ。」
「!?」
「つれぇときはつれぇでいいんでよ。人間、他人がいなきゃ生きいぇいけねぇ生き物だ。」
どうしてだろう。この人の言葉はとても、暖かい。
今まで励ましの言葉や新お会いする声を聞いてきたが、今までの誰よりも暖かくて優しい。
そしてなによりも、俺の話を心で聞いてくれている。
「つれぇことがあったら、構うこたぁねぇ!好きに頼りな!!」
心の底から泣いてるんだ、心の底から助けたいって思ってるんだ。
「......はい...!」
だからこんなに響くんだ。
なにも響かなかった心に。
だらだらと進んでいるつもりです。
遅いですか?
もっと早く進んだほうがいいのか...
その辺は適宜調節していけたらなと思っています。