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雨と蛙  作者: 格安SIM
第一章
4/6

生きる意味。4

遅くなりました。




「......ここは?」


目が覚めるとふかふかのベッドの上にいた。

さらさらと肌触りがよく、安眠どころが永眠してしまいそうなほど寝心地が良い。


「おお、目が覚めたか勇者様。」


声のするほうに視線を向けると、そこには鎧を着た金髪の青年がいた。

確か、さっきまでいた部屋の後ろのほうにいた気がする。


「急に倒れるからびっくりしたぜ、まったく。」


「...すみません。」


「なぁに、いいってことよ!いきなりこんなことになっちまったら混乱しちまうもんなぁ。」


「...はい。」


目が覚めたら夢だった、ということはなかった。

つまり、これは現実。


体が震える。ひどく寒く感じる。


「お、おい、大丈夫か...?」


「...はい、大丈夫...です。」


「な、なんだ、どっか痛いのか?お医者さんを呼んだほうがいいか?」


「いえ...お気に...なさらず。」


「そうか?じゃあなんで、泣いてんだ?」


「え?」


目元を手で拭う。手にぬるい水が付着した。



どうして泣いているんだろうか。


「うう、ううう......。」


涙が止まらない。いつもは、すぐ止まるのに。


「どっか痛いんだろ?やっぱお医者さ呼んだほうが、」


「ち...がうん...です。こ...これから、どう...したら...いい...か、わかん...なくて。」


「よくわかんねぇけど、話なら聞くぜ。なんでも話てみな。きっと楽になぜ。」


「...................はい。」







俺は今までのことを話し始めた。

なぜ話したのかは自分でもわからない。ただ永遠と、長々と話し始めた。



新品の蝋燭が燃え尽きるほどの時間をかけて話を終えた。




息が詰まりそうなほどの濃密な静寂が流れた。























「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!」


「うわぁ!?」



静寂を砕いたのは金髪の青年だった。

涙ぐんだ声で、それを隠すように叫んだ。


俺は驚いて体をのけぞりすぎてベッドから落ちるところだった。



「な、なんですか?」


「泣いてねぇぞ!おれぁ泣いてねぇぞ!!...おれぁ!」


「わかった、わかったから。あなたは泣いてないですよ。」


「ううう、うううううう。」


いつの間にか、選手交代していた。

青年にはなぜか田舎風のなまりが効いていた。


「勇者様はつれぇことがいっぺぇあったんだなぁ...。」


「別に、そんなんじゃ、。」


「わがってる、わがっでるさぁ。でも、つれぇことには変わりねぇでよ。」


「!?」


「つれぇときはつれぇでいいんでよ。人間、他人がいなきゃ生きいぇいけねぇ生き物だ。」



どうしてだろう。この人の言葉はとても、暖かい。

今まで励ましの言葉や新お会いする声を聞いてきたが、今までの誰よりも暖かくて優しい。

そしてなによりも、俺の話を心で聞いてくれている。


「つれぇことがあったら、構うこたぁねぇ!好きに頼りな!!」


心の底から泣いてるんだ、心の底から助けたいって思ってるんだ。


「......はい...!」


だからこんなに響くんだ。

なにも響かなかった心に。





だらだらと進んでいるつもりです。

遅いですか?

もっと早く進んだほうがいいのか...

その辺は適宜調節していけたらなと思っています。

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