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雨と蛙  作者: 格安SIM
第一章
2/6

生きる意味。2

今日は二つ投稿するつもりです。


あれから月日がたち、2月4日。


そう、日本一大学の受験日だ。


体調は万全。あれから死に物狂いで勉強をしたので首席合格以外はあり得ない。

そう思えた。


開始1時間前に試験会場についた。

単語帳やノート、参考書を見て勉強しているものもいれば、音楽を聴いてリラックスしているものもいる。


俺は特に周りを気にせずノートを開いた。


ノートには今まで記してきた数式や文字が並べられていた。

おそらくこのノートが一番受験勉強に世話になっただろう。


ノートの節々にまで記された文字を見て思う。


意味はあったんだろうか。

今まで過ごしてきた時間は無駄だったんだろうか。


いや、それを今から証明するんだ。


すーっ、と深呼吸をし、頭をリセットする。

そしてまたノートに目を向ける。


ん?なんだこれ?

ノートの最後のページ、一番下の切れ端に不可解な絵が記されていた。

猿のような亀のような、はたまた蛇のような。

誰の落書きだろう、と考えたが答えはすぐに見つかった。

おそらくあいつだろう。

高校2年の時、やたらと話しかけてくるやつがいた。

俺はうざがってまともに話を聞いたこともないが、俺のノートをよく持って行ったりしていた。

そういえば3年に上がるときに引っ越したらしいが、いったいどこにー

「受験者の皆さんは試験室に移動してください。」


試験官から声がかかった。

ついにこの時が来た。

俺は余計なことを考えるのをやめ、さっそうと準備して試験室へ向かった。


受験時間5分前。


緊張はない、が、

貧乏ゆすりの音、時計の音、指を鳴らす音が乾いた空気に浅く響く。

鳥が鳴いている。草が揺れている。

視界に入るものすべてがうるさく感じた。


試験官が注意事項を読み上げ終えた。

「では、」


心臓が鼓動を始めた。

ひどくうるさい。



「よーい、」




ごくりと固唾をのむ。





ついに、試験が―








始まらなかった。

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