悲しみの後に
「エド、悲しみに深く浸かっているのは良くないよ。ちゃんと前に進まなきゃ」「分かってる!わかってる
よ…」分かっていない。あれからどれだけ悲しい顔をしているのか友人なんだから分かる。
ミリアもそうだ。悲しいはずなのに無理をして笑っているのだ。二度も大切な者を失ったのだから
当たり前だろう。カナトにはその気持ちが痛いほど分かった。故郷を滅ぼしてまで守ろうとしたのだから。
「じゃあ、少しの間話せるかい?」エドは渋々頷いた。二人はベランダに来た。カナトは柵に寄りかかっ
た。「僕はね…アンナと一度疎遠になってしまったんだ」エドが目を見開く。「え…」カナトは悲しそうに
笑う。「まあ、僕がこの赤い髪にコンプレックスを持っていたからあの子が同じ色になって悲しくて
怒りであの子のことをしっかり考えてなかったんだ。自分でも最低な父親だと思った。」エドは全てを
知っている。だから、何も言えなかった。「お前の娘は本当にそう思っているのか?」「分からないけど…」
カナトは自分の思いを人に押し付ける。だから、相手の気持ちが分からない。「…だって、あの時から
僕は人を信じられてないからね。信じたら裏切られるって分かってるから」カナトの髪を風が揺らす。
「じゃあ、信じられないんだったら此処から死ぬか?」「…死ねるんだったらとっくにそうしてるよ」
カナトの返事にエドは黙って拳を握りしめることしかできなかった。




