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俺を厄災と呼ぶ異世界で。  作者: 大福ヱビス
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ディザスター

今いるここは俺の住んでいた世界ではなく別の世界。この子から言われた事実を俺は受け入れた。夢でない今の状況に答えがほしかった。その答えを誰かの口から言ってほしかったのだ。この子たちは俺がどんな状況なのかを知っているようだし、それが真実なのだろう。嘘だといったところでその根拠はどこにもない。むしろ異世界だとすれば俺としてもまだ納得がいく。もちろん、なぜ異世界にいるのかは納得できないが・・・。


「あら、意外と落ち着いてるのね。もっと慌てるものかと思っていたけど。」

「俺の知ってる世界ではないみたいだからな。ディザスターって天災とか災害とかって意味だよな?俺ってそんなまずい存在なワケ?」

「そういうわけじゃないわ。異世界から来た人たちをそう呼ぶの。」

「俺のほかにもこの世界に飛んできたやつらがいるってことか?」

「少しこの世界の話をしましょうか。今私たちがいるこの星の名は『エヴァドラシア』といいます。エヴァドラシアには遥か昔より5つの国があり、戦いと平和を繰り返しています。」

「戦争か・・・。こっちの世界にもやっぱりあるんだな。」

「最初のころは国同士の衝突ばっかで戦争なんて大層なものじゃなかったそうよ。この世界での戦争は3つ以上の国が参戦することをいうの。それでもある時、戦争が起きてしまったわ。それもすべての国が参戦した戦争、五国戦争が。歴史上初めての戦争はそれ以降のどの戦争より長引いて300年も続いたわ。」

「300年!?どんだけ長いこと戦争してたんだよ。」

「第一次五大戦争が特別よ。それ以降の戦争は長くても30年なんだから。」

「その忌まわしき戦争の引き金となったのが歴史上初めての異世界人でした。戦争の終焉後に彼のことを人々は『ディザスター』と呼び、それ以降異世界から来た方をそのように呼称するのです。」

「その後の異世界人も戦争の引き金になった人もいれば、戦争を終わらせてくれた人もいるわ。でも最初の異世界人の印象がどうしても拭えなかったエヴァドラシアの私たちはその呼称を変えることができなかった。」

「引き金とか戦争を終わらせるとか、異世界からきたら奴らってそんな力をもっていたのか?」

「ディザスターの方々は武術や魔法に長け、魔力量も多く、エスペシャリーソーサリーを使用することができます。」

「エスペシャリーソーサリー??」

「ほとんどの魔法は万人が使用することができます。エスペシャリーソーサリーとは使い手が唯一無二の魔法のことです。」

「ステータスも高いうえに、そんな特別な力をもっているんだから歴史を動かすことも出来得るってこと。」

「じゃあ、俺も何かエスペシャリーソーサリーってのがあるのか?」

「ええ、そのはずよ。もしかしたら襲われた時の力がそうじゃないかしら。あの時はテンパってたけど、今になって思うとあんな魔法見たことないもの。」

「あの時の・・・・・・。」


ぱんっ。

「話はこれくらいにしておきましょう。自己紹介がまだでしたね。私は『カノン・グレイフォート』と申します。」

手を叩き、名前を告げて頭を下げる黒髪緋眼。

「そうね。まだ名前を知らないもの。私は『ソフィ・グレイフォート』。よろしくね。」

首を横に少し傾けウインクする金髪碧眼。

「あれ?二人は姉妹??」

「はい。ソフィが姉で私は妹です。ふふ、そうは見えませんよね?私たち異母姉妹なんです。」

「姉と妹っていっても歳は一緒だけどね。」

重婚というやつだろう。うん、日本にいたころの常識はとりあえず捨てる努力をしよう。

「あっ、俺は『ヤマナカ・アキラ』。俺のいたところでは先にファミリーネームで後にファーストネームがくるんだ。」

「じゃあアキラって呼ばせていただきます。」

「私もそうさせてもらうわ。」

「よろしく。カノン、ソフィ。」

自己紹介を終えたところで、体調を戻すことを優先する二人の意見に従い、再び眠りにつくこととした。




ふと眠りから覚めた俺はベッドから体を起こす。あれから何日たったのだろう、二人が言うには魔力回路のパンクというのは筋肉痛と同じようなもので、魔法の放出に使った部分の魔力回路ってのが弱かったら起きるものらしい。頭部でそれが起きると激しい睡魔も伴うとのこと。日に日に痛みは弱まっていき、今は特に痛みを感じない。

「いつまでも寝たきりじゃ今度は身体がなまってちゃうよな。」

ベッドから降り、部屋を出ようとドアを開ける。

家というのはどの世界でもあんまり変わらないのだろうか、部屋を出るとそこリビングのようで、ダイニングテーブルとイスがあり、カウンターがあり、その向こうにはキッチンがある。二人はどこにいるのだろうか・・・そう思うと同時に、左のドアの向こうから声が聞こえる。

「ずっと看病してくれたのだしお礼言わないとな。」

目を覚ますと毎回ソフィかカノンのどちらかが側にいてくれて、頭の痛みを魔法で和らいでくれた。

「今こうして歩けるほど回復したんだから二人に見せてやらないとな。」

声のするほうへ歩み、ドアを開ける。


ガチャ


「あ・・・。」

「「え?」」


ドアを開けたその先にはソフィとカノンがいた。

今まで見てきた彼女たちと違うのは、その身に何一つ身に着けていない生まれたままの姿であるということだ。

お風呂上りなのだろうか、二人はタオルで濡れた頭を拭いていたが、こちらを見るとその手を止めた。

二人の裸体をしっかりと目に焼き付け、すぐさまドアを閉めた。


ドンッ


閉じたドアに衝撃が走る。驚きドアから手を離し、床に座り込んでしまう。

「ノックぐらいしなさいよ!ここがどこだと思ってるの?」

「いや、お風呂だなんて知らねえし!そもそも鍵はないのかよ!」

「あるけどあんたが寝たきりだからしてなかったのよ!」

「そっちにも落ち度があるじゃねーか!」

ソフィがドアの向こうでドアを蹴っているようで、ドンドンと音が響く。

「悪かったって。もう身体も良くなったし、二人にお礼が言いたかったんだよ!」

ドアを蹴る音が止み、その数秒後にドアが開く。そこにはタオルを身体に巻いた二人の姿あった。

「ま、まあ元気になったみたいだし・・・・・よ、よかったわね。」

「・・・・・・・」

恥ずかしそうに目線をそらしながら二人はこちらに歩み寄る。

「この通り身体がちゃんと動かせるほどまで回復したよ。ありがとう。」

そういうと俺の方を見ようソフィとカノン。しかし二人とも途中で目線が止まり一点を見つめる。


そう、二人の裸体により大きくなった俺のある部分へと・・・・。



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