表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/18

自販機

うわ!11月13日の日刊ランキング1位になってた!

ありがたいです!

ありがとうございます。

「新しい友達が出来た~」

「「へー………」」


 友達二人に写メを見せたらフリーズされた。

 

「これ、二年の椎名樹先輩じゃないかしら?」


 友里亜に言われて頷くと沙織に肩を捕まれた。


「渚、昨日何があった?」


 私は昨日あった事を二人に話した。


「スプラッターは私無理だよ~」

「友里亜はポイよね!」

「私より沙織ちゃんの方が苦手だよ!私はホラーはOKだもん」


 沙織を見ると体を抱き締めるようにして腕をさすっていた。


「渚の事は好きだけどそっち系のものは付き合わないからそのつもりでいてよ!」


 沙織はそう言い放った。


「うん。だから新しい友達のイッ君が付き合ってくれるから大丈夫!」

「この写メを見ると趣味に付き合う友達じゃなくて、付き合ってるカップルみたいにしか見えないよね」

「え?」


 友里亜の言葉に私は自分のスマホをマジマジと見つめた。


「………いや、こんなイケメンとカップルなんて……」

「カップルにしか見えないよ」


 沙織まで賛同しはじめた。

 これってイッ君に悪いんじゃないだろうか?


「イッ君に悪いことしちゃったかな?」

「「違うと思う」」

 

 何が違うと言うんだ?


「もっと糞みたいな男かと思ってたけどなかなかやりよる」

「チャラ男かと思ってたけど見る目があるよね。協力してあげちゃう?」

「友里亜が良いなら私も良いよ!」

「じゃあきまり!」


 沙織と友里亜の仲良しトークに入れてもらえず悲しい。

 私が寂しくなっていると二人に抱きつかれた。


「「先輩と仲良くなろう!」」

「う、うん………もう仲、良いと思うけど?」

「「もっと!」」


 二人に抱きつかれてなんだか嬉しくなったから何でも良いか?って思ったのは秘密だ。






 その日のお昼。

 食堂に行くと自販機の前の列の最後尾にイッ君が友達らしき男の人と女の人に挟まれるように立っていた。

 遠くから見てもイケメンだ!

 周りに居る女の人の視線がみんなイッ君に集まっている。

 あれ?これって馴れ馴れしく話しかけたりとかしたら駄目なやつだよね?


「渚、話しかけてきたら?」


 沙織の言葉に首を横にふった。


「あれに話しかけたら、周りに殺される!私にだってそれぐらい解るよ!」


 怯える私を他所に、友里亜が私の右手にしがみつきグイグイと自販機の方に誘導し始めた。


「ゆ、友里亜?」

「だって、ジュース買うでしょ?」


 か、買うけど今じゃなくても良くない?

 私がそう思っても友里亜の顔に似合わない怪力で自販機まで誘導されてしまった。

 私達が近付いただけで、イッ君の横に居た女の人に睨まれた。

 えっ?自販機に並ぶのも睨まれるって何?

 イッ君も私に気がついたみたいだけど順番が来てしまった様でお金を入れ始めたのが見えた。

 私達も何も無かったようにイッ君達が買い終わるのを待った。


「はい」

「へ?」


 イッ君は紙パックのイチゴミルクと緑茶と烏龍茶とカフェ・オレを私の前に差し出した。


「ナギの友達もどうぞ」

「「イケメン先輩ありがとうございます!」」


 沙織は緑茶、友里亜はカフェ・オレを迷わず選んだ。

 友里亜は私にことわりなく烏龍茶を手渡してきた。

 いや、何時も飲んでる烏龍茶だけどね。


「あ、お金!」


 私が百円を手渡そうとするとイッ君は残り物のイチゴミルクにストローを刺してからニシシっと笑った。


「奢りで良いよ」

「いやいや駄目でしょ!奢ってもらう理由がないよ!」

「………何時も兄貴がお世話になってます」

「………それを言われたら拒否できない」


 イッ君はクスクス笑うと私の頭をポンポンした。

 

「樹、一年の美少女グループといつから知り合いになったんだよ!」


 イッ君の横に居た男の人がイッ君の腕を掴んだ。


「俺にも紹介してくれ!」

「何でお前に紹介しなくちゃいけねんだよ。嫌だよ」

「樹のズル!何でも出来て顔もよくて女子にモテモテとかハゲろ!」

「お前がハゲろ」


 イッ君は嫌そうに掴まれた腕を振り払った。


「私は沙織でこっちが友里亜でこっちが渚です。ヨロシク」

「俺は橘彰太(たちばなしょうた)!彰太で良いよ!」


 沙織が勝手に自己紹介をしてくれた。


「彰太は覚えなくて良いよ」

「私と友里亜はイケメン先輩に話があるんですけど、面かしてもらって良いですか?」

「え?沙織?」

「渚は彰太先輩と待っといて」


 そう言うと沙織と友里亜はイッ君の腕にしがみついた。

 

「樹!両手に花とか羨ましいぞ!」


 彰太先輩の叫びに沙織がニコッと笑った。


「ちょっと貴女達!樹君は馴れ馴れしくされるのが嫌いなのよ!離れなさいよ!」


 イッ君の隣に居た女の人が叫んだ。

 それにニッコリ笑顔を作った友里亜がイッ君の腕から離れて彼女の前に立ちはだかり、沙織はイッ君を食堂から連れ出して行ってしまった。

 

「何なの貴女達!」

「あら、貴女もイケメン先輩の何なんですか?」

「私は樹君の幼馴染みよ!」

「なら関係ないですよね!」

「なんですって!」

「人の恋路を邪魔するやつは馬に蹴られてfly away!ですよ」


 終始ニコニコの友里亜の可愛さに幼馴染みさんは般若顔だ。

 ………幼馴染みってあの、イッ君が苦手って言ってたあの人か?


「渚ちゃんは樹と仲いいの?」


 友里亜達に気がつかれないように彰太先輩が私に耳打ちした。


「さっき"ナギ"って呼ばれてたよね?」

「椎名先輩のお兄さんの彼女が私の従姉妹なんです」

「ああ、じゃあ一彦さんの知り合い」


 ………カズ君って一彦って名前だったんだ!はじめて知ったよ。

 

「じゃあ、渚ちゃん俺とも仲良くしてくれる?」

「はい。あ、でも、沙織と友里亜を口説く手伝いはしないですよ」

「そうなの?残念。でも渚ちゃんを口説くのは良い?」


 あまりの展開に驚いて居ると友里亜が私と彰太先輩の間に割って入った。


「渚にちょっかい出さないで下さい。ぶん殴りますよ」

「友里亜、社交辞令だから!」

「渚は自分が美人さんだって気が付いて」

「友里亜に言われても悲しくなるだけだよ」


 友里亜は呆れた顔だ。

 何でそんな顔するんだよ!

 どんな顔してても可愛いぞ!ちきしょう!


「お待たせ~」


 そこに沙織とイッ君が帰ってきた。


「イケメン先輩、彰太先輩が渚ちゃんを口説こうとするのでどうにかしてください」

「殺しとく。俺と兄貴で跡形もなくシバキ殺すからお友達は安心して良いよ」


 イッ君の笑顔が恐い。

 いや、目が笑ってないよ。


「一彦さんも?」

「兄貴の彼女が命じれば兄貴は人殺しも厭わないだろう」

「えっ?従順にも程があるんじゃ?」

「大丈夫だ。ナギを口説こうとしたって時点で死刑だから」


 イッ君恐い。

 ヤバイよ!なんかホラー映画より恐いよ。

 

「社交辞令だから!大丈夫だから」


 私がそう言うと、沙織と友里亜とイッ君にため息を吐かれた。

 なに?何で三人か仲良しなの?


「私、渚は前髪もっと切れば良いと思うんだよね!」

「沙織ちゃん!渚ちゃんが美人さんだって解ったら、いらないハエがウロチョロしちゃうわ」

「ナギはそのままで良いよ」


 何だ?三人が仲良しで私は仲間はずれですか?


「な、泣いちゃうぞ!」


 私が思わず言うと沙織と友里亜に抱きつかれた。


「「可愛い!マジ天使」」


 美少女二人に抱きつかれてたからって………………ゆるす。

 こんなことで機嫌が直るなんて私もチョロいと思うけど私にとって二人は自慢の友達だから仕方がない。


「さあ、沙織に友里亜!教室戻ろう!お弁当食べる時間無くなっちゃうよ」

「「うん!」」


 二人が可愛く笑うから私もつられて笑ってしまった。


「渚、渚の玉子焼きもらっても良い?」

「沙織ちゃんズルいですよ!私も渚ちゃんの手作りのおかずが食べたいです!」

「じゃあ、二人に玉子焼きをあげよう!今日のは自信作なんだ!」


 私がニコニコすると頭をポンポンされた。

 ポンポンした人を見るとその手はイッ君の手だった。


「おかず無くなったらお腹空いちゃうでしょ?これあげるよ」


 イッ君は手に下げていたビニール袋からコーンマヨのパンを私にくれた。


「でも………」

「俺用のはいっぱい有るから大丈夫だよ。ほら」


 見せてくれたビニール袋の中にはパンがたくさん入っていた。


「一日で食べるの?」

「勿論!」

「だから背が高いんだね」

「そう?」


 イッ君の伸長はどう見ても180ぐらいあるだろう。

 バスケ部って言われたら信じるよ。


「まあ、ナギも大きくなるように食べなよ」

「渚は伸長はもう延びないと思う」

「渚ちゃんは全部胸に栄養が行っちゃうから……」

「「羨ましい!」」


 沙織と友里亜は自分を抱き締めるようなポーズをはじめていた。


「いや、脂肪だから。それ、脂肪つくって言ってるから」

「「羨ましいの!」」


 二人は感極まったように走り出した。

 私はイッ君達に頭を下げると二人を追いかけたのだった。

 

バタバタしてました。

なんかすみません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ