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告白

 あの事件の後、二つかわったことがある。

 一つは陰口を言われる。

 もう一つはなぜか告白されるようになった。


「早乙女さん、好きです!付き合って下さい!」

「ごめんなさい」


 昼休みの教室の一連の流れです。

 そして、大抵の人が私を見てません。

 胸だけが告白されています。

 告白してくる人達、目が合わないです。

 胸を凝視してるんです。

 怖いんだけど………


「何で駄目なの?」

「え?」

「俺、結構自信あるよ!」


 こういう人がほとんどです。

 自分に自信があるからって付き合うに至るとは、よく解んない。


「ふふふ、貴方自信があるって言いましたけど椎名先輩よりも良い男だとでも思ってるんですか?傲慢ってドン引きなんですよ!渚ちゃんに近寄らないでくれます」


 友里亜が代わりに追っ払おうとしてくれてます。

 持つべきものは友達!


「俺、ペチャパイに興味ないから」

「ぶっ殺すぞ、ヤリチン野郎!」

「友里亜!ダメダメダメ!落ち着いて、深呼吸深呼吸!」


 友里亜を一瞬でキレさせるなんて!

 ペチャパイは禁句だ!


「胸だけしか取り柄がないくせにね~」

「本当本当」

「………」


 前に、朝沙織に詰め寄ってた女の子達の陰口が聞こえた。

 ああ、今度は標的が私に………


「あ、あのさ、私はそうは思わないよ!」

「「はぁ?」」

「だ、だって、あの子……人の中身を見る子じゃん!私は、椎名先輩はそういう子だから側に居るんだと思う。私達、知ってるじゃん!椎名先輩が実はチャラ男じゃないって………軽い気持ちで抱き締めたりしないと思わない?」

「「………」」


 前に私に沙織と友達止めなよって言った子がかばってくれた。


「惚れても良いですか!」


 私は思わず叫んだ。

 ごめん。

 嬉しすぎて………


「ナギ、それはダメ」

 

 そこに現れたのはイッ君だった。


「イッ君?」


 右に首をかしげる私。

 イッ君は私の前に立つと言った。


「ナギは俺に惚れてくれないとダメ」


 何を言われたのか解らずに私は左に首をかしげた。


「ナギは俺を友達だと思ってるかも知れないけど、俺ははじめてナギと映画見た時からずっとナギが好きだ」

「………それ、出会って数時間ですよ?」

「そうだけど、あの時も言ったけどナギが居ると安心する。仲間が助けに来たような安心感………まあ、今や側に居ると安心感とか言ってらんないけど………」


 イッ君は顔を赤らめて続けた。


「ナギ、俺のとこに嫁に来てよ」


 ………ああ、さすがイッ君は紗季さんの息子だ。


「お、お付き合いをすっ飛ばしてお嫁さんはぶっ飛び過ぎじゃ………」

「俺はナギが嫁に欲しい」


 イッ君の目は真剣で、冗談を言っている訳じゃないことは解る。

 だからと言って理解が出来るわけじゃない。


「い、イッ君、一旦落ち着いて!」

「落ち着いてる。ナギ、好きだよ」

「!」


 私は一気に顔に熱が集まるのが解った。

 耳まで熱い。

 息が止まりそうだ。

 

「あ、あの、ちょ、まっ」


 言葉が出てこない。

 友里亜に助けをもとめようと友里亜を見ると生暖かい笑顔を向けられた。

 こいつは助ける気ゼロだ!

 な、なら、沙織!

 イッ君の後ろに居る沙織もなぜか満足気な感じで頷いている。

 こいつも助ける気ゼロだ!

 ど、どうすれば良い?


「………ひ、」

「ひ?」

「ヒロちゃんに相談しても良いですか?」

「………裕子さん?」

「うん」

「…………」


 イッ君の顔が少しひきつった。

 何その反応?


「あああああああああ、解った!裕子さんに相談しても良い!その代わり絶対良い返事を下さい!」

「矛盾!」

「いや、だって、裕子さんに言ったら俺死ぬし!巻き添えで兄貴も死ぬ未来しか想像できない!なら良い返事が欲しい!」


 ヒロちゃんはどんな存在なんだ?

 

「ナギ」

「………お、お付き合いからで…良い?」


 私は消えそうな声でそう聞いた。

 イッ君は暫く呆然と私を見つめると、見たことないぐらい蕩けた笑顔でうんっと言って頷いてくれた。

 そしてイッ君は、さっき私に告白してきた男の人の前に立つとニコッと笑って言った。


「俺、嫉妬深いから二度とナギに寄らないでくれるかな」

「………」

「返事」

「は、はい」


 男の人は顔を青くして走って行ってしまった。

 イッ君、何した?

 

「ナギ、これからヨロシク」

「う、うん」


 イッ君が何をしたのか解らないまま、イッ君の甘甘の笑顔に私は頷くことしか出来なかったのであった。

イッ君頑張ったよ~!

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