終わる想いと新たな出会い
皆様大人な恋愛に疲れたsoyです。
他の作品がスランプ中なので先にこちらを書かせて下さい。
たぶん短い作品になると思う。
宜しくお願いします!
「早乙女ってお前の事好きなんじゃね?」
「ハア?早乙女渚?ないない!早乙女の友達の沙織ちゃんとか友里亜ちゃんなら狙ってっけどさ!」
今、ちょっと気になってた男子に『ないない』と言われたのは私です。
忘れ物をとりに教室に戻ってきたら聞こえちゃいました。
大丈夫です。
気になってただけで今ので冷めました。
私の友達の沙織と友里亜は本当に可愛いので二人とギスギスするつもりも無いのです。
横に二人とも居るんですけどね。
二人とも般若の様な顔になってますが、普段は滅茶苦茶可愛いんですよ。
「二人とも、ちょっと時間潰してから教室に戻ろっか?」
「アイツ、殺す!」
「ぶん殴る!」
私は二人に笑顔を作ると言った。
「大丈夫だよ。こんなのに二人がイライラする方が私は嫌だよ」
「「渚………」」
「二人は私の自慢の友達なんだから可愛く笑っててよ!見せびらかしちゃうんだから!」
漸く二人が笑ってくれました。
良かった良かった。
私も笑顔を作りましたが、二人はそのまま教室の中に入って行っちゃいました。
二人は迷わず私のロッカーからスマホをとってきてくれました。
「あれ?忘れ物を沙織ちゃん達にとりに行かせてるの?早乙女酷くね?」
ああ、何であんなのが気になってたんだ。
私が項垂れると教室から沙織の声が響いた。
「ハア?馴れ馴れしく゛ちゃん゛付けしないでくれない?あたしアンタとそんなに仲良くないし、これからも仲良くする気ないから!」
「渚を悪く言うやつはゴミクズ以下だから二度と話かけないでね!」
二人はそう言い捨てて、私のもとに戻ってきた。
私の友達可愛い上に格好良いんです。
「二人とも惚れても良いですか?」
「「良いよ~」」
二人は私をギュッと抱き締めてくれた。
終わる想いもあれば、始まる出会いもあるんです。
帰り道、二人と別れて直ぐに姉妹のように仲良しな3歳年上の従姉妹の仲村裕子からメールが届きました。
『今、近所のファミレスに居るよ!』
私は急いで家の近所のファミレスに向かいました。
ファミレスにつくと寄ってきた店員に待ち合わせだと言ってヒロちゃんを探します。
見つけた!
ヒロちゃんの向に座っているのはヒロちゃんの彼氏のカズ君だ。
ヒロちゃんがカズ君としか教えてくれないからフルネームは知らない。
そんなカズ君の横に見慣れない私が通う高校の制服を着たイケメンが座っていた。
「あ!ナギちゃん!コッチコッチ!」
ヒロちゃんに呼ばれてヒロちゃんの横に座るとヒロちゃんが向に座っているイケメンの説明を始めた。
「こちら、カズ君の弟の樹君!樹君、こちら、私の従姉妹のナギちゃん」
はしょり過ぎじゃ無いだろうか?
ほら、樹君とやらが困り顔だ。
「ナギちゃんスプラッター好きだよね?」
「うん」
「樹君も好きなんだって!この映画のチケットもらったんだけど、二人で行く気無い?」
ヒロちゃんがバックから出した映画のチケットは今話題のスプラッター物だった。
私の周りでスプラッター物を見たいと言う人は居ない。
大抵の場合一人で見に行くか、DVDになるのを待つのだが今は見たい映画のチケットが目の前にあるのだ。
「樹君とやら、私はこの映画が見たいのです。一緒に行きますか?………いや、一緒に行く必要ありますか?」
「………」
樹君とやらは無口です。
「一緒に行くのはちょっと無理と言うなら別々に見に行っても良いのですよ」
「ナギちゃん、それじゃ意味が無いわ」
「ヒロちゃんは何を企んでるのかな?」
「失恋は新しい出会いで治すものよ!」
「沙織から聞いたの?樹君の気持ちも考えてあげて!ってか失恋じゃないから!気になってた気がするヤツに幻滅したってだけ」
「失恋じゃん!」
もう嫌だ!
全然違うのに。
なんだか目の前のイケメンが可哀想になってきた。
「樹君!ヒロちゃんがご迷惑をおかけして本当にごめんなさい………チケットは樹君がお持ち下さい。迷惑料と言うことで」
イケメンは私の差し出したチケットと私を交互に見ると困り顔だ。
「な!変な娘だろ?」
カズ君がニシシっと笑った。
失礼な男だ。
「兄貴失礼」
「話かけてんのに喋んない方が失礼だろ!」
カズ君の言葉に樹君は私の方をゆっくりと見ると言った。
「椎名樹です。宜しく」
「あ、ご丁寧に。早乙女渚です」
「早乙女さん」
「ナギで良いですよ」
「………ナギ」
「うん!樹君はイケメンですね」
樹君は驚いた顔で固まった。
「ナギも好みのタイプか?」
「………友達なら?」
「樹!フラれたぞ!」
「兄貴は黙ってろ………スプラッター好きなの?」
恐る恐るって感じに樹君が言った。
「好きだよ。血がドバーって感じが好き」
「………横に誰か居ないと見れないたぐいの………」
「一人で見るよ!好きだもん」
樹君は暫く黙ると言った。
「一緒に映画行く?」
「樹君が嫌じゃないなら私は良いよ」
「じゃあ、今から行く?」
私はヒロちゃんの方を見た。
「二人は?」
「「スプラッター苦手」」
「面白いのに」
「「夜トイレ行けなくなっちゃう」」
なんて仲良しカップルなんだ!
ちょっと………いや、かなり憧れてしまう。
「バカップル」
樹君は嫌そうに呟いた。
「そう?私は羨ましいよ」
「あれが?」
「幸せって目に見えるんだ~って思うよ」
「………」
その時は樹君との出会いが私にとっての転機になるなんて思ってもいなかったんだ。
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