深紅ずきんちゃん~過去〜
咲日彩 椋さんの作品の二次創作となります。
椋さんとはリアルでも知り合いのため、承諾していただけました。
少し当てはまらないかも知れませんが、よろしければと思います。
これは、篝火 灯夜に出会う前の深紅ずきんの話である。
「ねぇねぇ、お姉ちゃんはどこに行くの?」
「えっ?」
私は、いつものように死神としてのお仕事をしようとしていた。
「私は、ここにお母さんが眠っているんだ。」
「じゃあ、お姉ちゃんのお父さんはまだ生きているの?」
お姉ちゃんは、首を振った。
「わからない。私ね、捨てられたんだ。」
私には、捨てられたという、お姉ちゃんの心がわからなかった。
「お姉ちゃんは、どこに行くの?」
「んー。お母さんのとこかなー…」
「お母さんのところ?」
「そーだよ(ニコッ)」
私の心が言っていることが間違っていなければ、このお姉ちゃんは自殺をしようとしているように思えた。
「ねぇねぇ、お姉ちゃん。しばらく私も一緒に住んじゃダメ?」
「え?んー…。」
自殺しようとしているのなら、私の役目も終わるだろうと思い、1番楽な死に方で終わらさてあげようという、死神としての優しい配慮だ。
「ねぇ、ダメ?」
あざとく言うとお姉ちゃんは、
「いいよ!私の家一軒家だけど、私1人だし!!」
「やったー!ありがとうお姉ちゃん!」
お姉ちゃんには、家もない可哀想な子に見えたのだろう、ちょっと頑張って明るくしているのが見ていてわかった。
家につくと、小さな和室に小さな仏壇があった。
そこにあった写真には、優しそうなお母さんと見られる女性の姿と幼いお姉ちゃんの姿が写っていた。
「これお姉ちゃんのお母さん?」
「そうだよ。」
「どんな人だったの?優しそうだね。」
「本当に優しいお母さんだったよ。私を女でひとつで育ててくれて…。」
お姉ちゃんの頬を一筋の涙がこぼれたのが見えた。
大切な人の死は人にこんな深い傷を残していくのだと感じた。
『大丈夫だよ。お姉ちゃん、私がお母さんのところに連れていってあげるね。』
私は予定通りに、お姉ちゃんを最終段階の手前までにさせることに成功した。
後は魂を抜き出し、あっちの世界へ連れていくだけ。
「ねぇ、お姉ちゃん。もうすぐお母さんに会えるね。」
「…、そっ……う…だね……。」
もう衰弱仕切った体からでた言葉はとてもか細いものだった。
魂を抜き出そうと思った時の、お姉ちゃんの安らかな笑顔を見ながら、私は最後の段階を終えた。
『ねぇ、お姉ちゃん。』
『ん、なーに?深紅ずきんちゃん』
『お母さんに会ったらどーしたいの?』
お姉ちゃんは、考え込んでこう言った。
『んー、そーだねー。まずは…、深紅ずきんちゃんを妹にしていいか頼もうかな♪』
『ほんと!!お姉ちゃん大好き!』
『ううん。深紅ずきんちゃん、ありがとうね。』
『え?何が?』
『………してくれて。』
『うん!』
この後、お母さんと再開できたお姉ちゃんは、とても綺麗な草原で楽しい時間を永遠に過ごしています。
『最後に私の体を綺麗のまま終わらしてくれて』
「ありがとう。」