南美咲と南雲水原マキナの雑談
少女は泣き叫ぶ、雨の中。世界は赤で支配され、そして雨は全てを流して行った。
「嘘は良くないな~」南三咲は得意げな表情をしてそう言った。「君達からぶつかってきたと言うのに私にキレるとはおかしくないか?」美咲の目の前にいる金髪のいかにもヤンキーと言わんばかりの少年はキレていた。「づべこべ言わずにさっさと慰謝料払えや。こっちはお前と当たってけがしちまったって言ってんだよ。」「君は随分とひ弱な体なんだね。男である君が女でありしかも君よりも小さい私と肩をぶつけた位でケガしたのだから。さぞかし学生時代の体育の授業は大変だっただろうね。その程度の体の脆さならスポーツしただけで全身粉砕骨折だよ。後は満員電車には乗れなさそうだね。女の子と肩をぶつけた程度でケガするような君じゃあ押しつぶされて全部つぶされた後のプチプチのシートみたいになっちゃうんじゃないかな?そうだな、体育祭なんて大変だっただろうに。綱引きとかやったら肩脱臼するんじゃないかな。でも、体育祭とか文化祭とか出てなさそうな感じがするな~。だってもし参加したら体がこんなにも弱いのばれちゃうもんね。男としては恥ずかしすぎだよね~。」そこまで言った所で既に男は逃げ出している事に気が付き、美咲は勝ち誇ったかの様な顔をして歩き出した。
「美咲さんはああいうの得意っすね」マキナは美咲の隣を並走しながらそう言った。「マキちゃんに言われてくないな~。ぶつかった途端に逃げ出すなんて。情も心も無いんだね~」「あれが普通だと思うっすよ。あんなたち悪い気持ち悪い男にぶつかって来られたら誰だって逃げるのは普通っすよ」「まあ、マキちゃんは元々猫なわけだしそういうのは得意そうに見えるのだ~。私は」「そうかもっすね。猫は逃げるのが仕事だと思ってますからね。」「まあ、昔の感は忘れられないよね~」「それ系は私にとっては感謝してるんっすよ。人間の姿って何かと不便っすからねー。感覚だけでも昔のままは助かってるんす。」「いいな~。私なんて元々はヤギだったからそういうの生きないんだ~」「そんな事も無いと思うっす。美咲さんはバホメットっていう高位種じゃないですか。私なんて化け猫っすよ」「まあ、それぞれ持ってると楽な点と辛い点があるからその辺は各々あると思うのだよね~。それに生前から私はバホメットで良かったなんて一度も思ったことがない。 さあ、ついだよろん」「ついたっすね。今日はお客さんが来てるらしいっすよ」「最近多いよね~依頼者」「まあ、私たちは非科学的ではあるけど真実をちゃんと提示するっすからね。」「で、何時に来るんだっけ~」「そろそろだと思うっすよ。美咲さんさっさと行っすよ。遅れたらアリアさんがウザいっすからね。」美咲は「そうだな」と言いながら戸を開けた。