日常の中のイレギュラー
探偵とか言っていますがまともな推理はほとんどありません。
また小説書くのは初めてなので誤字・脱字、表現の間違いなどあるかもしれませんのでご了承ください。
9時になる10分前に出社することを私は心掛けている…が、それはあくまで自宅に住んでいる場合であり私の現在の住みかは事務所の高級ソファーの上だ。
来客者用の高いコーヒーを勝手に飲むのを日課としている。
う~ん……
体を伸ばすと関節が大丈夫かというくらいボキボキと鳴った。
外から丸見えのガラス張りの窓にTシャツに下着という姿で突っ立つ。
春はにはなったがまだまだ朝は肌寒く白い吐息が零れガラスに触る手が痛い。
商店街の一角に建っているビルの二階に我が《江南探偵事務所》があり朝や夕方は学生や会社員などが忙しなく行き来する姿がよく見える。
あっ…
まただ、事務所の看板を見つめる安仲の生徒がいる。
その存在に気が付いてから私が男子校生を見ない日はない。
何か探偵に依頼したいことでもあるのか…高校生が?
んー、考えにくいが…。
だが看板を見つめているのもまた事実でこっちとしてはこんな商売をしているためお客はなるべく逃したくない。
「うぅ、さむっ」
事務所の入り口の鍵を開け薄暗い階段を裸足で下がっていく。
裸足特有のペタッペタッという音の響きが自分の足音なのに何とも言えない怖さで身震えしてしまった。
ホラーはいけないよ本当に…この世にあってはいけないものベスト3に入るよ、たく……。
頭の中でぼやきながら静かに階段を下り終わると眩しい太陽の光に照らされるうちの看板と男子校生。
「何かご依頼でも~…?」
突然の問い掛けにも高校生は驚かずゆっくり顔をこちらに向けた。
…あらイケメン。まぁ、好みかはノーコメント。
そしてなぜ涙目なんだろうね。詮索していいのか悪いのか、うむ…。
「…お客さん高校生っぽいから安くしとくよ~?だから泣かな「別にお前に関係ないだろ。しかも泣いてないし」
「…あっそ、邪魔してごめんなさいね」
せっかく親切にしてあげたのにとんだ言われようだ。
高校生に背を向け来た道を引き返して丁度階段の真ん中辺りで「おい痴女」と呼ばれたので「なんだヘタレ」と言い返してやった。
ヘタレという単語にイラっときたのか高校生は眉を顰ませる。
そして最高の笑顔で
「Tシャツにパンツで丸見えなんだよ、痴女。それに俺はヘタレじゃねーんだよ、分かったな変態!!」
高校生は捨て台詞を吐きその場を立ち去ってしまった。腕時計を見ると時間も時間、口喧嘩している暇もなかったんだろう。
…見せパンだもん。
まぁ、こんな風に日常の中のちょっとしたイレギュラーによってまさか新しい日常が始まるとは誰も…ってか私は予想していなかった。