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母に感謝を・・・

未来編です

子供達大集合です。



晴れた春の日差しの元、幼子達が計画を練っていた


「これでいいかなぁ?」


「うーーん?ちょっと違わないか?」


「いいのよ!!かぁしゃまが言ってたでしょう!!ようは心意気なのよ!!」


「心意気って?」


「知らない」


「でも、やるしかない!!やるぞ!!」


「「「おう!!!!」」」


幼子達の計画はいかなるものか・・・




「閃・・・起きてください。朝ですよ。」

すでに太陽が昇ったというのに未だに寝台の住人である閃に声をかける


「・・・・・・」


だが返答はいつもこれ


「ふぅ~~~~。分かりましたよ。」


毎朝のことだがいつも恥ずかしい


寝台に近づいて未だに狸寝入りする閃の額にキスをする


「起きてください。旦那様」


「額より口がいい。」


いきなりの閃から伸びた腕は後頭部に回り引っ張られて唇にキスをする


「ちょっと・・・ぁぅ・・んん」


口内に入り込んだ舌が共に寝台の住人になろうと誘いをかけるが


「かぁしゃまを放せ!!」


ベシっ


可愛らしい声と同時に閃の額を叩いたのは次男の竜雅りゅうが御年5歳

まだまだ母親離れできないお年頃

それ故父である閃は目下の恋敵

いつかはかぁしゃまを奪ってやろうと奮闘中


だが大人気ない父親である閃は真っ向から立ちはだかって連戦連敗

それ故いつもかぁしゃまに泣きついて慰めて貰う

そうするとかぁしゃまは頭を撫でてくださる

その時の父親の表情といったら・・・勝った(←御年5歳です)



「このクソガキ!!いつも寝室には入ってくるなと言っているだろう!!」


烈火のごとく怒った閃はすぐさま竜雅を掴もうとうするが、身体能力の高い子供達はその手を離れて神楽に抱きつく


「かぁしゃま!!おはようございます!!」


「はい。おはようございます。竜雅はえらい子ね。一人で起きれるんだから」


「ちょっと神楽なにげに俺を馬鹿にしてない?」


「お心にお聞きください。思うところがございますなら、良心が痛むはずです。」


「うっっ」


未だ寝台にいる閃にとっては分が悪い

返す言葉がなければ、抱きついている竜雅の顔がニヤリと笑っている


「かぁしゃま!!今日はお仕事無いんだよね!!」


「えぇ無いわよ。みんなが何かしてくれるって言ったから、楽しみにしていたのよ」


愛しい妻と自分の子供の会話は夢にまで見た光景だが引っかかるところがある


「神楽?今日えっと?」


「今日はお休みをいただいています。閃はお仕事頑張ってね。」


「えぇぇ!!!ねぇちょっと、俺も休むよ!!家族団らんはお父さんも必要でしょう!!」


「いらなーい」


可愛い声で拒否してきたのは次女のえん御年4歳

可愛らしい風貌で小さい頃の神楽によく似ている

そしてかぁしゃま大好きッ子


「かぁしゃまは私たちと遊ぶの!!いーーーーーっつも、とうしゃまがかぁしゃま盗っちゃうもの!!今日くらいかぁしゃまと一緒にいたいの!!」


「そうですよ。父様。今日くらい私たちに母様と過ごす時間をください。」


それに続けとばかりに長男竜祥が入ってくる。


「父様は今日は確か、外交の日ではありませんでしたか?」


その後は長女瑠璃


「酷い!!お前達お父さんを蔑ろにするきだな!!いいよいいよ!!なら俺だけ仕事いってやる!!後で寂しくなったって来てやらないからな!!」


寝台を降りた閃は寂しそうに一人仕事へと向かった


「お前達。父様をいじめてはいけませんよ。」


「だって・・・今日はかぁしゃまと・・・」


「うん・・・。だってね、今日はね・・・」






「はぁ~~~~」


仕事に向かって一人寂しく仕事をする

いつもであれば妻である神楽が助言や意見をして、会話を楽しんだり時には共に茶を飲んで息抜きもする


その神楽がいない

そして朝からの子供達の言動が心にヒビを入れる


父親として子供達を愛し守ってきた

子供達との時間を多く作り、神楽のよき夫になるように頑張ってきた

だがどうしたわけか、子供達は全員母様命になってしまった


「何処で育て方間違った?」


思い返しても何処も間違っていないような気がする

確かに毎日神楽争奪戦で大抵は勝利しており子供達から冷たい目をされているような気がするが、気になどしてはいられない


「はぁ~~~」


「おやおや、陛下?今日は王妃様の傍にいなくてよろしかったのですか?」


何度目かの溜息をついたときに阿宗医師が書簡を持ってやって来た


「阿宗か・・・。はぁ~~~。俺は子供の教育を間違ったようだ・・・」


「おやおや珍しい。陛下が反省などされるとは。」


「どういう意味だ。」


「ふふふっ」


好々爺のように笑う阿宗だが腹の中は真っ黒の狸親父だ

色々と世話になった部分があるため強くは言えないが、ある意味天敵とも言える


「お子様方はよくお育ちですよ。あなたによく似て王妃様を大切にされている。今日だってそうでしょう。」


「???どういう事だ??」


「ですから、今日は・・・・・」


あらましを聞いた閃はすぐさま職務を放棄してすぐさま神楽達のいる後宮へと走り去った





「かぁしゃま!!おいしい」


「えぇ、おいしいわ。」


竜雅が差し出してきた黒い物体を何とか飲み込みながら褒めると竜雅は満面の笑みを浮かべて喜ぶ


「ならこれは!!これね、燕が作ったんだよ!!」


「これもおいしいわ。」

竜雅に負けるかと燕は必死になって差し出してくる

それをゆっくり租借して食べると何かガチッと音がしたが、ヨシヨシと頭を撫でると花が綻ぶように笑みを浮かべる


「竜雅!燕!!そんなに母様にひっついていたら母様の休息にならないでしょう!!」


「瑠璃。いいのよ。それより瑠璃の作ったのもおいしいわよ」

長女の瑠璃は甘えたくても甘えられない距離にヤキモキしているが、母親に褒められるとうっすらと頬を染める


「母様。お茶をどうぞ」


「竜祥もいい男に育っていって母様嬉しいわ。」

父親から嫌と言うほど母親は大切にしなければいけないと習ってきた竜祥にとって、女性に優しくとは当たり前のことであり、母からの言葉はまさにその評価とも言えた



四阿で子供達が作った料理を食べている

あちらこちら焦げて真っ黒になっているのもあったが、親の贔屓目からしても喜んで食べた

子供達はキャッキャッと笑い、久々の子供達との触れあいに頬が弛む

ふと、視線を感じて振り向けば必死に隠れようとしているが丸見えの夫がいた


「閃・・・」


ポツリと零せば子供達はその視線を追って父親に目を向ける


「「「とうしゃま!!父様」」」」


呼ばれた以上出て行くしか無いといった感じで閃は渋々出てきて視線を彷徨わせている


「その・・・あの・・・」


「閃。お腹すきませんか?これだけの量は私一人では食べられませんわ。」


「神楽!!」


「みんなもいいですね?」


「「「・・・・はーーい」」」」


閃はにこやかな笑みを浮かべて子供達を押しのけて神楽の横に座った

そして愛しき妻の肩を抱いた


「とうしゃま!!邪魔!!」


「そこは燕の場所なの!!」


「大人気ないですよ。父様。」


「母様、男見る目無いですわ!!」


子供達は大人気ない父親の行動に文句は言うが笑顔がある

笑いあいながらゆるりとした時間を過ごしていく




夜も更けた頃

今夜もまた勝利した閃が神楽と共に寝台に横になる

真近くにある閃の顔を見ながら


「今日は楽しかったですね。閃」


「そうだな。」


「にしても、今日は何だったのかしら?子供達があんなにはしゃいで?」


いつにもまして子供達の独占欲が強くて笑いが絶えなかった

でも今日にこだわった子供達が一体どうしたのだろう


「今日は母の日だよ。今日は母親に感謝して家族団らんをする日。いつもありがとうお母さん。」


ギュッと抱きしめる閃の腕に神楽も抱きついた


「母になる喜びをくれたのは閃がいてくれたからです。母親にしてくれてありがとう閃」


涙を浮かべて頬を染めた神楽


「・・・・そうかそうか。そんなに感謝してくれるなら、もっと頑張らないと!!」


「頑張る?」


「もう一人子供欲しいと思わないか?」


「えっ??」


腰に回った手が怪しく動き出す


「ちょ・・ちょっとまっ・・・あっぁん」


「来年も再来年も母親になる君に愛を捧げよ」


こうして平和の璉国の夜は過ぎていく

来年の今頃は新しく生まれた子供とまた新しい団欒を気づくことになるだろう

母になる喜び、悲しかった過去を乗り越えて手に入れた幸せ

今を手に入れることが出来た感謝を

生んでくれた母に、育ててくれた母に

多くの母親達に感謝の気持ちを・・・・



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