表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/20

-一章- ~十二~

やっと事態が動きます。


久々に登場のあのキャラ。皆さんは覚えているでしょうか?


では、どうぞ。

鏡side


「なあ、哭月。菜々がいなくて、俺達だけじゃ昨日と変わらなくないか?今更だけど」


「まあ、あんまり変わらないかもね。違うのは、得体の知れない黒いのを探すって事だけだし」


哭月と共に適当に道を散策しながら歩き、ぼやく。

何の意味も無いとは言わない。昨日は駄目でも、今日は何かに気付くかもしれない。

とはいえ、昨日やったことを今日もまたやらされる。それも、あまり具体性のない調査だ。正直、気が滅入る。

哭月がいる手前、直接口には出さないが。


「俺達って、ここに何しに来たんだっけ?」


「旅行・・・・・・のはずよ」


「・・・・・・・・・これは、旅行・・・なのか?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ご主人、今度二人だけで旅行に行きましょうか。茜たちに内緒で」


「いいな・・・・・・と言いたいところだが、桜花に悪いし、帰ったときが面倒だ」


主に零が。桜花も一ヶ月は不機嫌になるだろう。


「そうなのよねぇ・・・・・・・・・・・・・・・・・・今度強い催眠をかける実験をしようかしら」


「ん?何か言ったか?」


「いいえ。何も」


何か哭月が不穏なことを言った気がしたが、よく聞き取れなかった。

まあ、危ないことはしないだろうから特に気にかけることもないか。


しっかしまあ、一応周囲に気を配りながら歩いているものの、変わった気配など何も感じない。

さて、どうしたものか。これでは何の成果もあげられないだろう。

一応、この事件を解決せねばならないらしいし、最悪宿代も凄いことになる。

何が何でも解決しなければならないのだが・・・・・・


「・・・ご主人。これじゃ埒があかないし、少し手法を変えてみない?」


「・・・・・・というと?」


「浄化結界を張るの。専門外だから、あまり大きいのは無理だけど・・・・・・とりあえず、それっぽいところに片っ端から試してみましょう」


浄化結界とは、その名の如く、邪気や穢れを祓う結界の総称である。神道式が一般的らしいのだが、細かく言えば、仏教、密教、陰陽術等等、西洋の術も含めれば相当な種類がある。術理が違うだけでなく、その目的にもよって変わるのだそうだ。その一つは攻撃用、破魔の術式、滅することを目的とするものまである。

ちなみに、俺が使えるのはその攻撃用だけ。

それでは意味が無いだろうし、土地自体にもある程度傷跡が残る。あまり褒められた術ではない。

恐らく、哭月が言っているのは、本来の意味での浄化の作用をもつ結界だと思われる。


「・・・・・・そう、だな。それくらししないと意味無いかもな。でも、俺は浄化結界なんて張れないぞ?任せっきりになるけど、いいのか?」


「勿論。何かあったときは私を守ってね、ご主人♪」


哭月は、とても柔らかな笑みを浮かべて、そう言った。


「了解。何があっても守りきりますとも。使い魔さん?」


俺達は、顔を見合わせ笑いあい、結界を張る場所を探して先へ進んだ。



結果的に言うと、それでもあまり成果は上げられなかった。

昼に一度集まって経過を報告しあったのだが、どの組も同じようなものらしく、揃って溜息をつくこととなった。

午後も浄化結界を張り調査したが状況は変わらず。

何かあったとすれば、何人か菜々の同類と思われる幽霊たちと遭遇したぐらいか。彼等にも協力を頼んだが、焼け石に水だろう。彼等も菜々以上の情報は持っていなかったのだから。


「変化なし・・・ね」


浄化結界を消し、哭月が疲れたように言った。

無理も無い。辺りはもう暗くなっているし、いったいどれほどの結界を張ったことか。一つの結界を張るのに然程魔力は必要としないらしいが、魔術の行使は精神を疲労させる。それを何度も行ったのだ。

疲れて当然だ。


「今日はここまでにしよう。九凰さんたちも戻ってる頃だろうしな」


「そうね」


そう言って、集合場所に行こうとしたときだった。


「「っ!?」」


例えようも無いほどの悪寒が背筋を走った。


「何?今の・・・」


「分からない・・・・・・けど、今のは」


『大変ですぞご両人!!』


空から現れたのは、協力してくれている菜々の同類。

見た目はまんま落ち武者だった。まー、顔が骸骨な分、ある意味生身よりは怖くない。


『露天風呂の下の付近であの黒いモノが!!』


「っ案内してくれ!!」


『こっちでござる!!』


・・・・・・・・・・・・ござる・・・・・・ねぇ。本当に昔の人は言ってたんだろうか、そんなこと。

まあ、今はいい。

何か、嫌な予感がする。


俺達がそこに到着すると、すでに皆揃っているようだった。


「皆、何があったんだ!?」


「鏡さん・・・・・・ちょっと厄介なことが起きたみたいです」


九凰さんが、前を向いたまま不吉なことを言う。


「え?」


「ご、ご主人・・・・・・あれ」


哭月が震える声で指差す先にあったのは


「ぎ、銀司!?」


黒い霧のようなものに包まれる、何故か全身傷だらけの銀司の姿だった。


鏡side end

はい、という訳で、次回で事件事態は解決する・・・予定です?多分します、はい。

結構、あっさり終わるのでなんだそりゃ、って感じでしょうが、前に後書きで言ったとおり、この作品の重大イベントは入浴シーンです。あとはおまけみたいなものです。その割りに、何となく作った「菜々」が気に入ってしまったので、別作品でも出る可能性がありますが。いや、鏡と哭月と菜々。いいと思いませんか?書きやすいんですよ、彼等。勝手に話し進めて(ある意味脱線)させてくれて。

てな訳で、今度こそあと数話で終わりです。

では、また次回。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ