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-一章- ~十~

ようやく一日が終わります。

旅行初日の夜、部屋では何が?


では、どうぞ。

鏡side


「・・・で、何がどうしてこうなった」


「諦めなさい、鏡。もうどうにもならないから」


『ですです!!』


真雪と菜々が口々に言う。

ていうか、お前等絶対楽しんでるだろ。


とりあえず、今の俺の状況を説明しようと思う。

現在の時刻は深夜零時を回った頃。

今日のところはお役御免ということで就寝しているのだが、少々、というか大きな問題がある。


「つーか・・・何でみんなこの部屋で寝てるんだよ」


そう、俺達。つまりは七人が一つの部屋に布団を敷いて寝ているのだ。(銀司は例の如くおらず、菜々はアレなので数えていない)


修学旅行か!


一つの部屋でみんなで一緒に寝るというのは、修学旅行での旅館の夜を彷彿とさせる。あれ、なかなか寝付かない奴とかいて大変なんだよね。ま、それが楽しくはあるのだけど。


それはさておき。


一応、配置を説明しておく。

俺の右に桜花、左に零。俺と頭あわせにして真雪。真雪から見て右、零の向かいに茜。左、桜花の向かいに円香。菜々はその辺を好き勝手に飛び回っている。


もう一度言おう。


修学旅行か!!


何でみんな一緒に寝る必要がある?

部屋はいくらでも余っている。たとえ、みんなで寝たいといっても、男である俺は省くだろう、普通!

あるいは、桜花と二人きりとか、そういう気遣いとかしてくれてもいいのではないかと思う。

まぁ、家でも部屋は別々だけどね、俺達。


今の状態を理解したところで、こうなった経緯について思い返してみることにしよう。

菜々の登場で混乱した皆をどうにか落ち着け、菜々から詳しい話を聞いた。

菜々の言う、「何か黒いの」の調査をするということになり、話は終わった。そして、菜々しか情報源がないということで、半ば無理矢理、強引に協力を取り付けた。脅したともいう。


そんなこんながあり、今日くらいはゆっくりしましょう、というので就寝となったわけだが。

さあ、ここからが問題だった。

最初に、桜花が俺と一緒に寝ると言い出し、零がそれに猛反対。最後には、だったら自分も一緒に寝ると言い出す始末。真雪や哭月は面白がって、別にいいんじゃない、と言って事態を静観していた。

ところが、そこで余計な一言を漏らした人物がいた。

九凰さんである。

あの人、もういっその事みんなで一緒に寝ればいいんじゃないですか、と実にいい笑顔でのたまった。

あろうことか、皆その意見に賛成し、現在に至っている。

当然、俺は反対したが、全く聞き入れてもらえなかった。つーか無視された。


「なんというか、寝つきいいな。こいつらも」


俺の両側のお嬢さん方は、既に眠りについている。しかもご丁寧に俺の腕を抱いたままで。

最初こそ何か言い争いをしていたものの、いつの間にか静かになっていた。

俺は腕の感触が気になって眠れないというのに・・・・・・

や、嬉しいといえば嬉しいのだけどね。


『むふふ~。ナニカいけない妄想してるです。フケツです~』


「黙れ。愉快そうに言うんじゃない」


ここぞとばかりに菜々が茶化してくる。

チッ。今は霊体に攻撃できる手段が無い。


「というか、実際役得じゃない?ま、生殺しだけどね」


『っていうか、零さんって鏡さんの妹さんなんですよね。え?シスコン?ですぅ?』


「真雪までそういう・・・・・・いや、おい菜々。いい加減にしないと怒るぞ」


いや、マジで。何調子に乗ってやがるこの幽霊。


「いいじゃない。実際、シスコンなんだし。零も重度のブラコン。お似合いよ?」


『素敵な禁断のカップルです?』


「お前等・・・・・・人が動けないからって好き勝手言いやがって」


真雪の顔は見えないが、絶対口元はいやらしく歪んでいる。

あー、なんか最初出会った頃が懐かしい。あの頃は、真雪いい奴だったんだけどな。あのままだったら恋に落ちてたかもしれんし。

いつからこんなキャラになってしまったのだろう。何があったのかは知らんが、本当変わりすぎだ。


「・・・ん?」


俺が二人にからかわれ、苦汁をなめていたとき、もぞもぞと布団の中で動くものがあった。


「いいじゃないご主人。好き勝手言わせておけば。結局、一線で踏むとどまっているのだから」


「いや、哭月さん。それはともかく、いつの間に?」


ぷはっ、と布団の中から顔を出したのは一匹の白猫。

哭月だった。

いったい何時布団の中に潜り込んだんだ?全然気付かなかった。

そういや、哭月の布団がない。


「・・・最初から?」


「え?マジで?」


「いいじゃない。いっつも一緒に寝てるんだから。何?人の姿の方がいいの?」


「いいえ。そのままでいいんで一緒に寝てください。お願いします」


即答だった。

哭月は、やると言ったら冗談抜きで本当にやる子なので始末に終えない。

確かに、家でもこうして一緒に寝ているのだから、問題はないといえなくもない。


『おお。何か言葉だけ聞くとえっちぃです。卑猥です』


「黙れおしゃべり幽霊。つーかそんなに卑猥じゃなくね?」


「そうね。じゃあご主人こんなのどう?ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー・・・とか」


「ありえねーよ!何て言ったのか知ってるけど!!でもピー音出ちゃったよ!!何言っちゃってんの!?」


『・・・・・・・・・・・・』


「見ろよ!菜々真っ赤になってもじもじしてるじゃねーか!!」


「てへっ♪」


「いや、ごまかされないからね?ちょっと可愛く言ったって駄目から!!」


「か、勘違いしないでよね?ちょっと卑猥なこと言って、ご主人の気を引こうとか思ってたわけじゃないんだからね!!」


「ツンデレ風!?ってか何か違うし!!って、んなこと思ってたんかい!?」


「・・・・・・・・・漫才はいいけど、そろそろ静かにしたら?っていうか、これだけ騒いでこの子達全然起きる気配無いわね」


「「・・・・・・ほんとだ」」


呆れた声の真雪に諭され、左右を見ると、熟睡しているお嬢さん方の姿が。

思わず哭月と声が重なった。


「・・・・・・あー、寝るか」


何か、急速に熱が冷めてきた。どうしようもなく虚しさが漂う。これ以上騒いでも仕方ないし、寝たほうがいいだろう。


「そうね。ご主人、腕枕してくれる?」


「・・・まあ、いいか」


そう言うと、哭月は右腕と身体の間にすっぽり収まって、腕に頭を預けた。


「ふふっ。おやすみ。鏡、哭月」


「ああ、おやすみ」


「おやすみなさい」


そうして、俺達は眠りについた。







「あら、もう終わりですか」


「・・・・・・・・・・・」


九凰さん、あんた起きてたのかよ!?

首を動かしてみると、九凰さんと目があった。なんか残念そうな視線だ。

ふと、反対側に首を向けてみると、円香が顔を真っ赤にして恨めしそうな視線でこちらを見つめていた。

あー・・・ホンットすいません。


「・・・・・・スミマセンデシタ」


帰ってくる返答はなく、今度こそ、俺は眠りについた。


ちなみに、菜々は俺が目を閉じるまで、顔を朱色に染め上げて、くるくると空中を回っていた。

意外と初心らしかった。

まだ長々と続きます。

つーか、やっと一日目終了って・・・・・・・・・

問題解決事態は最短で二話くらいで終わるかと。

もちょっと続きます。

では、また次回。

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