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-一章- ~八~

今回も鏡視点のお話。


前回突如として露天風呂に現れたモノの正体とは?


では、どうぞ。

鏡side


俺は今、旅館のロビーの椅子に哭月と一緒に座っている。妙な乱入者など色々とあって、とりあえずここで話を整理しようということになったのだ。


「で、お前は何なんだ?」


俺は目の前に浮いている幽霊っぽい女の子に言った。

目は黒で丸くクリッとしていて可愛らしく、髪も黒で腰まで届くほどの長髪。顔は整っていて、年の頃は17か18歳くらいだろうか。着ている物は、これぞ幽霊、というような白い浴衣だった。


『何って言われても・・・幽霊、です?』


「何故に疑問系・・・」


小首を傾げ、困った風に言う幽霊らしき・・・幽霊でいいや。


「で、お前が幽霊だとしてだ。お前はどんな幽霊なんだ?」


『・・・・・・そうですね~。どんな幽霊だと思います?です?」


「なあ、哭月。こいつ消しちゃっていいかな」


「こらえてご主人。話し聞いたら消してもいいから、ね?」


哭月が励ますように手を握ってくれた。

あぁ、哭月は優しいなぁ。

ん?でも普通にやって幽霊って消せるのだろうか。魔術でも無理っぽい気がする。そうだ、闇禍なら斬れるかも。


『なんか、消されることが決定しちゃってます!?』




えー、何とか要領の得ない幽霊から話を聞いたので、一度まとめる。


まず、女の子は正真正銘の幽霊で、名前は菜々、享年17歳。死因不明。

本人曰く、地縛霊。未練がある筈なのだが、全く覚えていないらしい。そんなことが在り得るのか分からないが、専門外なのでそこは無視する。どこかにありそうだしね、そういう設定。

どうやら菜々はこの旅館が建つ前からこの辺りに縛られていたようで、旅館の創立から知っているとのこと。で、それだけ長く存在していることもあってか、霊力と呼ばれる力も凄いらしい。隠れることも得意なので、今まで旅館の人々にも見つかったことはない、と断言していた。

たまーに、勘の良い人に気取られることはあったそうだが。

俺たちのときは、ついつい興奮しすぎて隠れるのを忘れてしまったのだとか。

菜々を九凰さんたちに会わせるとなると・・・・・・・・・・・・何か手をうつ必要があるか。


「・・・っておい、一連の騒動の犯人はお前じゃないのか?」


『ふぇ?何の事です?』


本当に知らないようだったので、一連の騒動を説明した。


『う~ん。山ですし、この辺りには私のようなのはたくさんいるんですけどねー。みんな、そんな悪さをするような人たちじゃないです。するとしても、ほんの悪戯ぐらいのものです』


「しかしな・・・」


『それに、この山には結界みたいなのも張ってあるんですよ?悪いのは入ってこられないです。霊樹ほどではないですけど、霊木なら何本もありますから。因みに、私たちは霊木の加護を受けてるので普通の霊よりは見つけにくいのです』


何故か自慢げに話す菜々。

霊木というのは、霊樹の簡易版といったところか。霊木は霊樹よりも若くて力が弱く、数も多い。


「なるほど、霊木による天然結界というわけね。そりゃ、半端な悪霊には居心地悪いでしょうね。結界といっても、霊木なら境界じゃなく中にも効果あるから」


『です。それでも入ってくるとしたら』


「大物、ということか。けどなぁ、だとすると何が原因なんだ?」


まあ、まだ菜々の言うことを全て信用することは出来ないだろうが、今は判断材料がそれしかない。第一、菜々にも把握出来ていないこともあるだろう。

ま、もう少し話を聞いてみるとしますか。信用するにせよ何にせよ、情報が少なすぎる。


「・・・そうだ。ねぇ、菜々ちゃん。最近この辺で行方不明者が出たんだけど、何か知らない?」


何か思いついたように哭月が言った。

そういえば、行方不明者がどうとか言っていた気がする。何か手がかりになるか?


『ん?・・・・・・・・・・・・あぁ~あの人たちですね。あれは、こちら関連じゃないですよ?登山してた旅行者が山を下りるときに雨が降ってきて足を滑らせて崖から落っこちただけなのです。ま~問題は、雨が降ったときにだけ出来る川に流されてある洞窟の中に流れ着いちゃったことです。探せば骨くらい出てくると思うです。あそこはこの辺の人間もほとんど知らないです』


「・・・・・・・・・・・・・・・あぁ、それだけなんだ」


『まあ、私は人間が流されたみたいって聞いて、死体を見に行っただけなんですけどね。足を滑らせて~とかは私の推測です。自殺かもです』


何だ。ただの事故か。本当に事故かどうかは定かではないが、今回の件には関係なさそうだ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何だろう。なんか、見落としている気がする。


「じゃあ、最近変わったことはなかったか?それこそ、大物が来たとか」


投げ槍に聞いてみる。いい答えが返ってくるとは思っていない。何かあったのならもう言っているだろうしな。


『あ~、それなんですけどね。最近、や~な感じの黒いのがうろうろしてるです。直接見たわけじゃないですけど、ひしひし感じるです。悪霊とは違いますし、貴方たちとも違うです。あんなの聞いたこともないです。みんな怯えて隠れているです』


「何でソレを早く言わなかった!!」


『聞かれなかったです』


しれっとした表情で菜々が言い切った。

怒鳴りたくなる衝動を抑える。

確かに、聞いてなかったかもしれないけど、普通そういう大事なこと聞かれるまで黙ってるかね。そりゃまあ、俺たちのことをそこまで信用してないだろうけどさあ。

あー、何か疲れた。


「はぁ。まあ、いい。それで、そいつが犯人って可能性は?あると思うか?」


『んー、怖くて直接見てないので何とも言えないですが、可能性はあるかもです』


「ふむ。今の所はここまででいいわね。茜に報告しに行きましょう。ほら菜々ちゃんも」


『え~、私もです!?』


「当然だ。ほら、行くぞ」


はてさて、これからどうなるか。

何か、厄介なことになりそうな、そんな嫌な予感がした。


鏡side end

はい、という訳で、幽霊さん登場の巻でした。

さーてどうなりますかね、これから。漠然としか考えて無いですし、終わりはあっさりとしたものになる予定。

正直、山場っていうのは入浴シーンなんでもう終わってるんですよね。だから、後は適当に終わらせるだけということで。一応、作者が脳内で思い描いている別作品とのコラボというか、そんな感じです。

あ、二次創作とか書いてるんで、そっちもよろしく。

多分、あと二、三話で終わると思うんで、もうしばらくお付き合いください。

では、また次回。

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