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(その夜・コウタの部屋)


「……ふぅ」


コウタは布団にもぐり込みながら、天井を見つめて深いため息をついた。


「ついに……な……なぜか……成功したぜ……」


今日一日を振り返る。


セシリアとの「監視逆手デート」。

噴水前の微妙な写真。レストランの強制あーん。公園のベンチでの、あの甘い(?)時間。


「まったく……オレ、なにやってんだろ……」


彼は布団の中で身をよじる。


「デートって言い出したのはオレなのに……最後にはセシリアにやられちまった……」


セシリアがそっと肩にもたれかかってきた感触。あの「楽しいです」という言葉。すべてが頭をぐるぐる回る。


「ちっ……これじゃ……完全にセシリアのペースじゃねえか……」


***


廊下の向こう、セシリアの部屋。


彼女は窓辺に立ち、今日のデートを思い返している。


(……狡猾なコウタ)


口元がほのかに緩む。


(監視を逆手に取るなんて……成長しましたね)


でも、それ以上に……


(あのベンチで……本当に、少しだけ……)


セシリアはそっと胸に手を当てる。心臓の鼓動が、いつもより少し早い。


(……危険です)


彼女は目を閉じる。


(こんなに……幸せな時間を味わわせられては……)


(……もう、手放せなくなります)


***


コウタの部屋。


「……でもな」


コウタは布団から顔を出す。


「オレ……あの時、本当に……」


彼は今日の公園のベンチでのことを思い出す。


セシリアの銀髪が肩に触れる感触。彼女の静かな息遣い。そして、あの「楽しいです」という言葉を聞いた時の、胸の高鳴り。


「…………」


コウタは布団を蹴り飛ばし、立ち上がる。


「ちっ! わかんねえよ!」


彼は窓の外の月を見つめ、叫ぶ。


「オレのこのチート……〈ビビるな、それが恋の魔法だ〉……」


「結局……なんなんだよ!」


声は夜の静寂に吸い込まれていく。


「モテモテチートのはずが……セシリア専用チート!」

「セシリアに監視されて……デートまでしちまう!」

「で、そのデートが……なぜか成功して……オレ、混乱して……」


コウタは窓枠に額をぶつける。


「神様……あんた……本当にあんにゃろ……」


***


その時、ふと気づく。


(……そういや……)


コウタは今日のデート中のことを、細かく思い返す。


(オレ……セシリアがあーんしてくれって言った時……)

(セシリアが肩にもたれてきた時……)


胸が熱くなった。あの感覚は……


(……まさか……)


彼は目を見開く。


(オレのチートが発動してた……?)


〈ビビるな、それが恋の魔法だ〉


セシリアのために無敵になれるチート。


でも、今日は戦闘もなければ、危機もなかった。ただのデートだった。


(……それなのに、胸が熱くなった……)


(……もしかして……)


コウタはある仮説にたどり着く。


(このチート……戦闘のためだけじゃねえ……?)


(セシリアが……オレに……)


(……好意を……見せた時……?)


「…………」


コウタはゆっくりと布団に戻る。


(……そしたら……)


(今日のデートが「成功」したのも……)


(セシリアがああいう態度を取ったのも……)


全部、チートのせい……?


「……ちっ……わかんねえ……」


コウタは布団をかぶる。


でも一つだけ、確かなことがある。


今日のデートは、本当に楽しかった。


セシリアの笑顔(無理矢理作らせたものも含めて)を見るのが、楽しかった。


「……まあ……いいか」


彼は目を閉じる。


「明日も……セシリアがついてくるなら……」


「……また、デートしよっか……」


コウタは、自分が深みにはまっていることに、ようやく気づき始めていた。


でも、逃げる気はない。


なぜなら……


(……セシリアのあの笑顔……また見たい……)


そう思う自分が、いたから。


(成功の理由・気づき編)


(純白の空間・三度目)


「神様!ちょっくら聞きたいことがあるぜ!」


コウタは見慣れた純白の空間で、胡坐をかいた神様(相変わらずのラフな格好)に詰め寄る。


「お前、オレにチートくれたよな!〈ビビるな、それが恋の魔法だ〉ってやつ!」

「ああ、そうだったな。どうした?もっといいチートが欲しいのか?」

「違う!質問だ!」


コウタは神様の真正面に立ち、指をさして問い詰める。


「今どきって、ハーレムチートものが流行ってるんだぜ!」

「異世界転生して、チート能力で複数の女の子にモテモテになる!」

「王道的な展開だろ!?」


神様は少し呆れたようにため息をつく。


「……で?」

「なんでオレは、その流行に乗れないんだ!」


コウタは拳を握りしめ、熱く語り始める。


「オレだってハーレムチートが欲しかった!」

「エリカもミーシャも、もっとたくさんの女の子たちに囲まれて、楽しくやってたい!」

「なのに、なんでオレのチートは……」


コウタの声が詰まる。


「……セシリア一人にしか効かねえんだ!」

「セシリアの前でしか無敵になれねえ!」

「セシリアの好感度でしかパワーアップできねえ!」


「……それがどうかした?」

「どうかしたも何も!これじゃあ、流行のハーレムチートじゃねえだろ!」


神様はしばらく黙ってコウタを見つめ、からからと笑い始める。


「ははは……お前、まだわかってないな」

「な、なんだよ!」

「お前の願いを思い出してみろ」

「『とにかくモテてぇ!!!』だろ!?」

「そう。でもな……」


神様の目が、どこか憐れむような色を帯びる。


「お前の魂が、心底『モテたい』と思っていた相手は、ただ一人だった」


「……え?」

「現世でも、お前はな」

神様が虚空に手を振る。そこに、ぼんやりとした映像が映る。


現世のコウタ。ナンパばかりしているが、いつも誰かを探しているような目をしている。


「いつも誰かを探してたんだよ。無意識にね」

「……誰を?」

「幼い頃に出会い、離ればなれになった……ある女の子をな」


映像が変わる。小さなコウタと、銀髪の少女が手をつないでいる。


「その子は転居して、会えなくなった。でも、お前の心の奥底では、ずっと彼女を探してた」

「ナンパしてたのも……彼女に似た誰かを、無意識に探してたんだ」


「……それで……それが……セシリア?」

「そうだよ。お前がこの世界で最初に出会った子。偶然じゃない。必然だ」


神様がコウタを見つめる。


「お前の『モテたい』は、根っこでは『あの子にモテたい』だった」

「だから、お前にやったチートはね……」


神様の口元が、いたずらっぽく歪む。


「『運命の相手一人に、絶対的にモテるチート』なんだよ」


「…………」


コウタは言葉を失う。


「ハーレム?流行?ふん」

神様は嘲笑うように言う。


「そんな薄っぺらい願いを、神様が叶えると思うか?」

「魂の奥底に刻まれた、本物の願いだけが形になるんだ」

「お前の願いは『セシリアに愛されたい』だった」


「……ちっ……そんな……」


コウタは膝をつく。


「でも……でもよ、神様!」

「なんじゃ?」

「今のオレ……セシリアとのデートが……楽しかったんだ!」

「それはなんでだ!?」


神様は深いため息をつく。


「……お前はほんとにバカだな」

「え?」

「そりゃあ楽しいだろうよ」

「なぜだ!?」

「だって……」


神様の声が、少し優しくなる。


「お前はようやく、本当に望んでいたものを手に入れ始めたんだから」


「…………」


「ハーレムが欲しいんじゃない。お前が欲しかったのは……」

「……あの子だけに、特別に愛されることだ」


コウタは俯いたまま、震える。


「……じゃあ……オレはもう……」

「ああ。ハーレムもクソもねえ」

「でも……」


神様がコウタの肩をポンと叩く。


「代わりに、一つだけ教えてやる」

「……なんだ」

「お前のチートはな……」


神様がウインクする。


「もうとっくに、最高のパワーアップをしてる」

「え?」

「セシリアがお前を愛すれば愛するほど、お前は強くなる」

「セシリアが幸せなら幸せなほど、お前は無敵に近づく」

「お前たちの絆が深まれば深まるほど、そのチートは究極の力を発揮する」


神様の声が次第に遠のいていく。


「それがな……一番レアで、一番強力なチートなんだぜ……」


「待て!神様!もっと……!」

「もう帰れ。セシリアが待ってるぞ」


光がコウタを包み込む。


***


目が覚める。自分の部屋の布団の中。


コウタはゆっくりと起き上がる。


「……ハーレムチート……流行……か」


彼は窓の外の朝日を見つめる。


「オレが欲しかったのは……そんなもんじゃなかった……」


セシリアの顔が浮かぶ。無表情なのに、時折見せるかすかな笑み。困ったような目。心配そうなまなざし。


「……セシリア一人で……いい……のか?」


コウタは拳を握る。


「……いいんだ」


彼は立ち上がり、窓を開ける。朝の風が部屋に流れ込む。


「だって……セシリアがいてくれるから……オレ、ここにいるんだ」


「モテモテチートでも、ハーレムチートでもねえ」

「これは……セシリアチートだ」


コウタはにやりと笑う。


「よし……今日も……セシリアにモテるために……がんばるぜ!」


彼はまだ完全には理解していない。


この「セシリアチート」が、いかに恐ろしくて甘いものかを。


でも、それでいい。


少なくとも今、コウタは笑っている。


(神様の部屋・特別編)


「よし、そんじゃあ特別に教えてやるぜ、コウタ」


神様がコウタを純白の空間に座らせ、教壇のようなものの前に立つ。黒板(?)が現れる。


「まずな、お前の物語の『そもそも』から説明するぜ」


1.一途幼馴染み設定の強力さ


神様が黒板に大きく書く。


『一途幼馴染み ≒ 最終ボス級ヒロイン』


「見ろ。これが真実だ」

「な、なんでそんな強力なんだ!」

「理由は三つある」


神様が指を折りながら説明する。


第一:時間的優位性

「セシリアはお前の人生の大半を共有してる。転生後のほぼ全ての記憶に、セシリアがいる。この時点で他のヒロイン候補は絶望的な差をつけられてる」


第二:『純愛』属性の破壊力

「『一途』ってのはな、『他の誰も眼中にない』ってことだ。この属性、ラノベ界隈では対魔属性・対神属性を凌ぐ『対主人公専用絶対破壊兵器』として知られてる」


第三:作者の悪意

「これが一番大きいな。作者ってやつは『苦労する主人公が見たい』『読者を胃痛させたい』って欲望に駆られてる。一途幼馴染みはその欲望を叶える最高のツールなんだ」


2.お前のチートの真実


神様が黒板をパッと消し、新しい図を描く。


〈ビビるな、それが恋の魔法だ〉の真の構造:


```

主人公の願い:「モテたい」

 ↓(魂レベルでの解釈)

「セシリアにモテたい」

 ↓(神様の悪意)

「セシリアだけにモテるチート」

 ↓(更なる悪意)

「セシリアにモテるためには、セシリアしかモテなくなるチート」

```


「見たか?これがお前のチートの全貌だ」

「ひっでえ……完全に罠じゃねえか」

「そうだ罠だ。でもな……」


神様がいたずらっぽく笑う。


「この罠はな、お前自身の願いが作った罠なんだ」


3.セシリア側の真実


「ここからが本当のネタバレだ。聞けよ」


神様が声を潜める。


セシリアもチート持ちだ


「ええええ!?」

「正確にはな……『運命の相手に一途にならざるを得ない』チートだ」


黒板に新しい図が現れる。


```

セシリアの特性:

・運命の相手コウタを無条件に最優先

・他の異性への興味をほぼ完全に遮断

・コウタの幸せ=自分の幸せ(絶対等式)

・コウタ以外との恋愛可能性:0%

```


「これがな……『一途幼馴染み』ってやつの正体だ」

「そんな……セシリアも……?」

「ああ。お前たちはね……」


神様が深いため息をつく。


「互いにチートで縛られ合ってるんだ」


4.物語の本当の構造


「だからな、コウタ」

神様が真剣な顔になる。


「お前がハーレムを目指すなんて、物理的に不可能だ」

「なぜならセシリアが『運命の一途チート』で完全ロックしてるから」

「お前が他の女の子に近づけば近づくほど、セシリアのチートが発動してお前を引き戻す」


「そ、それじゃあ……オレは……」

「逃げられない。永遠に」


神様がコウタの肩を叩く。


「でもな、悲観するな」

「なぜだ!」

「だって……」


神様の口元が緩む。


「お前はもう、本当に幸せなんだから」


「……え?」

「考えてみろ。世界一可愛くて、強くて、お前だけを見つめてくれる女の子がいる」

「その子が、お前を誰よりも大切に想ってる」

「お前が無茶すれば止め、落ち込めば励まし、迷えば導く」


神様がコウタの目を真っ直ぐ見つめる。


「ハーレム?そんな薄っぺらいものより、よっぽど幸せじゃねえか?」


「…………」


コウタは言葉を失う。


「お前の物語はな……」

神様が最後に黒板に大きく書く。


『最強の一途幼馴染みに愛され続ける男の、幸せな日常』


「これが真実だ。これが『そもそも』だ」


5.そして未来へ


「でもな、コウタ」

「……なんだよ」

「これで終わりじゃない」


神様が神秘的に微笑む。


「この関係が深まれば深まるほど、お前たちのチートは進化する」

「セシリアがもっとお前を愛せば、お前はもっと強くなる」

「お前がもっとセシリアを想えば、セシリアはもっと輝く」


「それはもう……『チート』なんて生易しいものじゃなくなる」

「『運命』ってやつだ」


光が再びコウタを包み込む。


「さあ、帰れ。セシリアが待ってる」

「お前の『幸せな日常』が、まだまだ続くからな」


***


目が覚める。朝の光が部屋に差し込んでいる。


コウタは布団の中で、ゆっくりと目を開ける。


「……そっか」


全てを理解した。


セシリアが一途な理由。

自分がセシリアから逃げられない理由。

この物語の、本当の形。


「……ちっ」


コウタは布団から起き上がり、窓を開ける。


朝の風が頬を撫でる。


「……まあ、いいか」


彼はにやりと笑う。


「結局な……オレが一番望んでたのは……」


「セシリアに、ずっと……愛されることだったんだな」


ドンドン。


「コウタ、朝です。起きてください」


セシリアの声がドアの向こうから聞こえる。


「ああ!今起きた!」


コウタは勢いよくドアを開ける。そこには、いつもの無表情なセシリアが立っている。


「おはよう、セシリア」

「……おはようございます。なんか、にやにやしていますね」

「ああ。いい夢見たからな」


「そうですか」

「それでさ、セシリア」

「はい?」


コウタはセシリアの目を真っ直ぐ見つめて言う。


「今日も一日……よろしくな」

「……はい。もちろんです」


セシリアの口元が、かすかに緩む。


こうして、全てを知ったコウタの、新たな一日が始まった。


彼はもう、ハーレムも流行も気にしない。

ただ、この目の前の銀髪の少女と……


永遠に続く、幸せな日常を。


生きていくだけだ。


(ネタバレ完了・真の始まり編)



 

(流行なんていらねえ・セシリアチート覚醒編)


 今回のプロンプト


 ついになぜか成功したぜ


 神様に祈って聞くぜ

今どきってハーレムチートものが流行ってるのになんで俺は流行にのれないのかだぜ



そもそもの一途幼馴染み設定がマジで強力だったのかネタバレ教えて欲しいぜ

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