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(翌日・街の広場)


「ふん! アイドル? 韓流イケメン細マッチョだぜえ!」


コウタは広場の噴水の上に立ち、街行く人々に宣言した。手にはどこからか調達したマイク(ただの拡声器)。


「聞け、街の女の子たち! オレ、コウタは今日から新たなるステージに立つ!」


数人の主婦が好奇の目で見つめる。子どもたちが指さして笑う。


「まずはこのルックスからだ!」


コウタはポーズを決める。

(次の日・街の外れ)


「ふっ……わかったぜ」


コウタは小川のほとりに佇み、水面に映る自分を見つめて宣言した。


「モテるやつはガツガツしてないんだ。あの韓細スタイル……確かにあれはガツガツすぎた」


彼は水に映った顔をまじまじと見る。


「オレは間違ってた……モテる男は、クールなんだ」


「カッコよさは、無理にアピールするんじゃない」

「自然に、さりげなく、それでいて確実に……」


コウタは立ち上がり、拳を握りしめる。


「クールに人々を助けるんだぜえ!」


***


(街の市場)


老婆が重い買い物袋を持ってよろめいている。


(よし……まずはここからだ)


コウタはすっと近づき、無言で袋を受け取る。


「あら……?」

「…………」


無表情で、目も合わせず、老婆の横を歩く。老婆の家まで黙って運び、ドアの前にそっと置く。


「あ、ありがとう……」

「…………」(軽くうなずくだけで、去っていく)


老婆はきょとんとする。


(……変な子だねえ)


***


(街の路地)


子どもが高い木に登り、降りられなくなっている。


(チャンスだ……)


コウタはそっと近づき、素早く木に登る。子どもを肩車し、無言で地面に降りる。


「わあ! ありがと……」

「…………」(無言で子どもの頭をポンと軽く叩き、去る)


子どもは目をぱちぱちさせる。


(……お兄さん、ちょっとこわい)


***


(広場)


若い女性が書類を落とし、風に飛ばされそうになっている。


(ここぞ……)


コウタは風のように駆け寄り、飛びかかる書類をすべてキャッチ。女性の前にそっと差し出す。


「あっ! すみません、ありがとうご……」

「…………」(無表情で軽く会釈し、振り返らずに歩き去る)


女性は少し引き気味。


(……なんか、不気味な人……)


***


一日中、コウタは「クールな助け人」を演じ続けた。


結果:


· 助けた人数:17人

· 感謝の言葉を受け取った回数:17回

· 恐怖・困惑の表情を見た回数:15回

· 「変な人」と言われた回数:9回

· 衛兵に不審者として声をかけられた回数:3回


(夕方・街角)


コウタは壁にもたれ、深いため息をつく。


「……ちっ。全然うまくいかねえ」


「そうですよね」


背後から声がする。振り返ると、セシリアが無表情で立っている。


「セシリア……お前、見てたのか?」

「ええ。今日一日、あなたの『クール援助活動』を観察していました」


セシリアは一歩近づく。


「コウタ」

「ん?」

「あなたの『クール』は、ただの『無愛想』です」

「えっ!?」


「目を合わせない、笑わない、喋らない……それで人を助けても、感謝より恐怖を与えています」


「そ、それは……クールってそういうもんじゃ……」

「違います」


セシリアがコウタの肩をつかむ。


「クールとは、心は熱いのに、態度が冷静なことです」

「……?」

「あなたは逆です。心はあせっているのに、態度を冷たくしているだけ」


「…………」


コウタはがっくりと肩を落とす。


「……また失敗かよ」

「ええ。でも……」


セシリアの口元が、ほんのり緩む。


「あなたが人を助けようとするその熱心さは、今日も十分伝わりましたよ」

「……ほんとか?」

「はい。少なくとも、私は感じました」


セシリアはコウタの乱れた前髪を直す。


「あなたが無理にクールを演じるより、いつものバカで熱い方が……ずっとカッコいいです」

「……それ、褒めてる?」

「解釈はお任せします」


セシリアはくるりと背を向ける。


「さあ、帰りましょう。今日も一日、迷惑ばかりかけ回ったあなたのため、特別に夕食を作ってあります」

「おお! なになに?」

「……今日は、温かいものがいいでしょう」


二人が歩き出す。夕日に照らされながら。


「……セシリア」

「はい?」

「オレさ……結局、モテるの無理なんじゃねえか?」

「…………」

「ガツガツもダメ、クールもダメ……韓細もダメ……」


コウタは足を止める。


「神様がくれたこのチート……結局、オレをバカにしただけなんじゃねえか?」


セシリアも立ち止まり、振り返る。その目は、深く優しい。


「……あなたはもう、十分モテていますよ」

「え?」

「少なくとも、一人の女の子を、ここまで必死にさせているんですから」


セシリアが微笑む。


「それが、あなたの『モテモテチート』の、真の姿なのかもしれませんね」


「…………」


コウタは言葉を失う。


(また……セシリアのペースに……)


でも、なぜか嫌じゃない。


「……ちっ。まあいいや」

「はい。では帰りましょう」


二人の影が、夕日に長く伸びる。


コウタはまだ気づいていない。

彼が「モテたい」と願えば願うほど、その願いがセシリアへの執着を深め、

セシリアが彼を「カッコいい」と思うほど、彼のチートが発動するという、

永遠のループの中にいることを。


でも、それでいい。

少なくとも今日、17人を助けられたんだ。

たとえ恐怖の目で見られたとしても。


「……明日はもっと、自然にやってみるぜ」

「それがいいと思います」


こうして、モテたい男の、終わらない挑戦は続いていく。


(クール敗北・温かい夕食編)


 (翌朝・コウタの部屋)


「……クールでダメなら……」


コウタは鏡の前で深く考え込む。


「純真無垢さ……か」


彼は鏡に映る自分の顔をまじまじと見つめる。少しぎこちない笑顔を作ってみる。


「赤ちゃんは全人類が好きなんだぜ。子猫とか子犬はかわいいんだぜ……」


コウタは目を大きく見開き、無邪気な表情を練習する。


「これだ……! 純真無垢モテモテチート!」


***


(街の広場・午前中)


コウタは新しい戦略を実行に移した。


戦略:赤ちゃん/子犬スタイル


1. 目を大きく見開く

2. 無邪気な笑顔

3. 純粋無垢な行動

4. でも、さりげなく人助け


最初のターゲットは、市場で迷子になった幼い男の子。


「お姉さん! この子、迷子みたいです!」


コウタは目をぱっちり見開き、無邪気な笑顔で近くの女性に話しかける。


女性は一瞬きょとんとするが、男の子の手を引くコウタを見て、


「あら……ありがとう。でも、その笑顔……ちょっと不気味じゃない?」

「えっ!?」


(失敗……目を開けすぎたか……)


***


(公園)


次は、ベンチで本を読んでいる女性に近づく。


「あの……お姉さん、その本、面白そうですね!」


目をキラキラさせて、子犬のような無邪気さをアピール。


女性は本から顔を上げ、コウタを一瞥する。


「……はい。でも、あなた、目をそんなに開けなくてもいいですよ」

「あ、はい……」(目を普通に戻す)


「それに、その笑顔……なんか、必死すぎて痛々しいです」

「…………」


(くっ……純真無垢、難しい……)


***


(午後・街角)


コウタは少し落ち込んでいたが、まだ諦めない。


今度は、重い荷物を持ったおばあさんを見つける。


(よし……無邪気に、自然に……)


「おばあちゃん! 手伝いましょうか!」


自然な笑顔で近づく。目は普通に、でも優しさを込めて。


おばあさんはにっこり笑う。


「あらあら、ありがとうね、優しい子だこと」

「いえいえ!」


(お! 今度はうまくいった!)


コウタが荷物を持ち上げようとしたその時──


ズルッ!


足元の石ですべり、バランスを崩す。


「わあっ!」

「あらま!」


コウタは転びかけるが、なんとか体勢を立て直す。が、その拍子に持っていた荷物が……


バサッ!


道路の水たまりに落ちる。


「あっ! ご、ごめんなさい!」

「あらあら……中の野菜が全部……」


おばあさんは悲しそうな顔をする。


「すみません! 弁償します!」

「いえいえ、あなたの優しい気持ちだけで十分よ……」


(また……ダメだった……)


***


(夕方・噴水の前)


コウタはがっくりと座り込む。


「純真無垢もダメか……オレ、もうなにやってもダメなんじゃ……」


「そうですね」


セシリアがそっと近づき、隣に座る。


「あなたの『純真無垢』は、ただの『無理した演技』です」

「……わかってるよ」


コウタは俯く。


「でもさ、セシリア……赤ちゃんって、ほんとにみんなに愛されるよな? 子犬も子猫も」

「ええ」

「なんでオレにはできないんだ?」

「…………」


セシリアは少し間を置いて言う。


「赤ちゃんが愛されるのは、無邪気だからじゃありません」

「え?」

「無防備で、ありのままだからです」

「…………」


「あなたは『モテたい』という目的のために、無邪気を演じています」

「それが、一番不自然なんです」


コウタは深くため息をつく。


「……じゃあ、オレはどうすりゃいいんだ?」

「…………」


セシリアはコウタの横顔を見つめる。


「……あなたはもう、十分『無防備』ですよ」

「どういう意味だ?」


「誰の前でも、変なことを平気でする」

「失敗しても、すぐに次のことを始める」

「私には、すべてを見透かされているとわかっていても、隠そうとしない」


セシリアの声が、ほんのり温かくなる。


「それこそが、あなたの『純真無垢』なんじゃないですか?」


「…………」


コウタは目を見開く。


「……つまり、オレがバカってことか?」

「解釈は自由です」


セシリアは立ち上がり、手を差し出す。


「さあ、帰りましょう。今日も一日、変なことばかりしていたあなたに、温かいスープを用意してあります」

「……ああ」


コウタはセシリアの手を取って立ち上がる。


「……セシリア」

「はい?」

「オレってさ……結局、お前だけにバカを見せてるだけなんじゃねえか?」

「ええ。そうですよ」

「えっ!?」


セシリアがかすかに笑う。


「でも、それでいいんじゃないですか?」

「あなたの『モテモテチート』の対象が、私一人だけなら……」


彼女はコウタの手をしっかり握る。


「その分、効果は絶大ですから」


「…………」


またしても、セシリアのペースだ。


でも、コウタはもう抵抗しない。


「……ちっ。まあ、いいか」

「そうですね」


二人は手をつないで、夕日に照らされながら歩いていく。


コウタはふと思う。


(赤ちゃんも子犬も……確かにかわいいよな)

(でも……)


彼はセシリアの横顔をちらりと見る。


(この人に、バカを見せ続けてるオレも……まあ、悪くねえかもな)


彼はまだ気づいていない。

この「諦め」こそが、チートの最終進化への最後の鍵だということを。


(純真無垢・気づき編)


 (その夜・コウタの部屋)


「……ちっ!」


コウタは布団の上で仰向けになり、天井を睨みつけていた。


「諦め……かっこ悪い男の代表格だぜえ」


彼は拳を握りしめ、布団を叩く。


「オレは……オレは絶対に諦めねえ!」


「純真無垢がダメなら……次がある!」

「クールがダメなら……次がある!」

「韓細がダメなら……次がある!」


コウタはバッと起き上がり、窓の外の月を見つめる。


「神様がくれたこのチート……〈ビビるな、それが恋の魔法だ〉……」


「もしこれが本当に『モテモテチート』なら……!」

「オレのやり方が間違ってるだけだ!」


彼は熱く語り始める。


「諦める男が一番かっこ悪い!」

「何度失敗しようが、立ち上がる男こそが……!」

「それこそが……本当の……」


コウタの言葉が途中で止まる。


(……本当の……なんだ?)


彼は窓ガラスに映る自分を見つめる。


乱れた髪、焦りの浮かんだ目、必死な表情。


「……カッコいい……のか?」


ふと、セシリアの言葉が思い出される。


『あなたが無理して誰かになろうとするのではなく……あなた自身でいようとする姿は、いつもより少しだけマシに見えます』


「ちっ……!」


コウタは窓枠に額をぶつける。


「オレ自身……オレ自身って……なんだよ!」


「ナンパしてビンタされて死んだ、モテない男がオレだ!」

「転生してチートもらっても、セシリア一人にしかモテない男がオレだ!」


彼は拳を握りしめ、震える。


「そんなオレが……オレ自身でいれば……カッコよくなるわけねえだろ!」


***


ドアが静かに開く。


「……騒がしいですよ、コウタ」


セシリアがパジャマ姿で立っている。銀髪が月明かりに輝く。


「セシリア……」

「天井に話しかけていましたか?」

「い、いや……」


コウタは俯く。


「……オレさ、諦めたくねえんだ」

「わかっています」

「でも……でもな……!」


セシリアがそっと部屋に入り、コウタの前に立つ。


「……諦めないことは、確かにカッコいいです」

「え……?」

「でも、コウタ。あなたはもう十分、諦めていませんか?」


セシリアの目が、深くコウタを見つめる。


「韓流になろうとした時」

「クールを演じた時」

「純真無垢を装った時」


「どれも失敗しました。でも、あなたは諦めませんでした」

「次の日、また新しいことを始めました」


「それが……『諦めない』ということでは?」


「…………」


コウタは言葉を失う。


「でも……全部失敗した……」

「ええ。でも……」


セシリアがかすかに笑う。


「私は、それを見るのが好きです」

「あんたがバカみたいに失敗するのを見るのが……好きなんですか?」

「……そうかもしれません」


セシリアは窓辺に立ち、月を見上げる。


「あなたが『カッコよくなりたい』と必死にもがく姿」

「あなたが『モテたい』と無茶な挑戦をする姿」

「あなたが失敗して、落ち込んで、また立ち上がる姿」


彼女は振り返り、コウタを見る。


「……全部、知っています。全部、見ています」

「だから……」


セシリアの声が、ほんのり震える。


「あなたが『諦めない男』であることは、もう十分、証明されています」


「…………」


コウタは、何も言えなかった。


胸が熱くなる。目頭が熱くなる。


(なんだ……この気持ち……)


「……セシリア」

「はい?」

「オレ……やっぱりバカだな」

「ええ。そうです」


「でも……このバカでい続けるぜ」

「そうしてください」


セシリアは部屋を出ようとする。


「……セシリア」

「まだ何か?」

「……ありがとな。お前がいてくれるから……オレ、諦めずにいられる」


セシリアの背中が、かすかに震える。


「……バカです」

「ああ、そうだな!」


コウタは布団にもぐり込み、大声で言う。


「明日からも、オレはバカでいるぜ!」

「モテモテチートなんて、どうでもいい!」

「オレはオレのやり方で、カッコよくなってやる!」


「はいはい。では、おやすみなさい」

「おう! セシリアもな!」


ドアが閉まる。


コウタは布団の中で、にやにや笑っている。


(諦めない男……か)

(そりゃ……確かに……カッコいいかもな)


彼はまだ完全には理解していない。

この「諦めない」という決意が、最終的に「セシリアへの諦めの悪さ」に収束していくことを。


でも、それでいい。

これが、コウタという男の、等身大の生き方なのだから。


(諦めない男・覚醒編)



 今回のプロンプト

わかったぜ

もてるやつはガツガツしてないんだぜ

クールに人々をたすけるんだぜえ



クールでだめなら純真無垢さ赤ちゃんは全人類が好きなんだぜ、子猫とか子犬はかわいいんだぜ

モテモテチート


諦めはかっこ悪い男の代表かくだぜえ

   

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