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(純白の空間・再び)
「──ってなわけで、もう一人の神様!お願いします!」
コウタは、見知らぬ純白の空間で、見知らぬ神様(今回は優しそうなお姉さん風)に土下座していた。
「あらあら、大変ね。でも、もう一人の神様なんていないのよ?私はただの『システム管理者』みたいなもの」
「えええ!?じゃあ、作者に直接お願いするしか……!」
「作者?」
女神様は首をかしげる。
「作者って誰?この世界を作った創造神様のこと?」
「いや、もっと上の……メタなとこにいるやつ……」
コウタは必死に説明しようとするが、言葉にならない。
「とにかく!今のチート、不完全なんです!セシリア以外の女の子にもカッコよくモテたいんです!」
「ふーん……」女神様は考え込む。「でも、あなたの魂データを見ると、『本命はセシリアだけ』ってはっきり書いてあるわよ?」
「そ、それは認めるけど!でもオレは広く愛されたいんです!人類の半数を泣かせたいんです!」
「……変な子ね」
女神様はため息をつき、虚空に浮かぶ画面をぱちぱちと操作する。
「でもまあ、願いを叶えるのが私たちの仕事だから……ちょっとだけ調整してあげる」
「おお!?」
「ただしね」女神様が厳しい顔になる。「根本的な願い『セシリアに一番に認められたい』は変更できないの。それがあなたの『核』だから」
「そ、それでいいです!その上で、プラスアルファが欲しいんです!」
「了解」
女神様がエンターキーを押す。
ピロリ~ン!(効果音)
「じゃあ、アップデート完了よ」
「なにが変わったんですか!?」
女神様が説明を始める。
〈ビビるな、それが恋の魔法だ〉Ver.2.0
· 従来機能: セシリアの前/セシリアのために、一時的に無敵になれる
· 新機能追加:
1. 『カッコよさ拡散』モード: セシリアの前で無敵になった後、その余韻が30分間持続。この間、他の女性に対しても「あの人、なんだかカッコいいかも」効果が微弱に発動(※効果はセシリアへの想いの強さに比例)
2. 『セシリア認証』システム: セシリアが「コウタ、カッコよかった」と認めた事柄については、そのカッコよさが他女性にも少し伝播するようになる
3. 『逆張り補正』: 他女性がコウタを「ダメ男」認定すると、セシリアのコウタへの好感度が微増(※セシリアのみ感知)
「……なんか、やっぱりセシリア中心じゃねえか!」
「だってあなたの『核』がそうなんだもん。仕方ないわ」
女神様はいたずらっぽく笑う。
「でも、これで充分でしょ?セシリアにカッコいいとこ見せれば見せるほど、他の子にも少しずつ伝わるんだから」
「そ、そうか……『セシリアにモテるための努力』が、そのまま『他の子にもモテるための努力』になるってわけか……」
コウタは腕を組み、深く頷く。
「……なるほど!これなら効率的だぜ!」
「そういうこと。じゃあ、がんばってね。あ、そうだ」
女神様がウインクする。
「このアップデート、セシリアには内緒にしておくわね。バージョンアップしたこと、彼女に悟られると効果が薄れるから」
「了解です!神様、ありがとう!」
***
目が覚める。自分の部屋の布団の中だ。
コウタはバッと起き上がる。
「……夢……?いや、あの感覚……」
彼は拳を握る。なんだか、力がみなぎる気がする。
「よし……今日からはVer.2.0だ!」
コウタは勢いよく布団から飛び出し、セシリアの部屋へ駆け込む。
「セシリア!今日は街でデートし……いや、訓練するぜ!」
セシリアは朝食の支度をしながら、無表情で振り返る。
「訓練?」
「ああ!オレがもっとカッコよくなるための訓練だ!」
「……何を言っているのですか」
コウタは胸を張る。
「まずは、セシリアにいっぱいカッコいいとこ見せつける!そしたら自然と、街の女の子たちにもオレのカッコよさが伝わるはずだ!」
セシリアは一瞬、目を細める。
「……誰かに、何か言われたのですか」
「え!?い、いや!オレが自分で気づいたんだ!」
「……そうですか」
セシリアはフライパンを振り、目玉焼きをひっくり返す。
「では、今日はどんな『カッコいいこと』をされるおつもりですか」
「ん~……まずは、街の困ってる人を助けまくる!」
「ふむ」
「それから、魔物がいればバッタバッタ倒す!」
「……無茶はしないでください」
「そして最後に!セシリアに最高のプレゼントを……って、なにその冷たい目!」
「あなたが私にプレゼントをくれる時は、いつも何か失敗しますから」
コウタはむくれ顔になる。
「ちっ……見てろよ。今日は絶対、完璧な一日にするからな!」
「はいはい。ではまず、朝食を完璧に食べてからにしてください」
コウタはがつがつと朝食を食べ始める。
(よし……これで計画は完璧だ……まずセシリアにカッコいいとこ見せて、その余韻で街の女の子たちを……へへへ……)
セシリアはコウタのニヤニヤ顔を見ながら、そっとため息をつく。
(……また、変なこと考えていますね)
(でも……)
(彼が、私に見せたいと言ってくれるのなら……)
彼女はほのかに微笑んだ。
(……その努力の結末が、私以外にも少しばかり届いても……)
(……まあ、許容範囲内でしょう)
セシリアはコウタの空になった皿に、そっと追加のパンをのせた。
こうして、知らぬ間にアップデートされたチートと、それを看破しかけている幼馴染の、新たなる日常が始まったのであった。
(Ver.2.0 スタート!)
(冒険者ギルド・数日後)
「ふん! こうなりゃハーレムパーティーで強敵を倒すぜえ!」
コウタはギルドの掲示板の前で、Bランク討伐任務「峡谷の雷鳴鳥討伐」の紙をビリビリと引きちぎった。
周囲の冒険者たちがどよめく。
「お、おいコウタ……あれはBランクだぞ? お前、まだFランクじゃねえか」
「しかもハーレムパーティーって……お前、相変わらず女の子にモテないんだろ?」
コウタはニヤリと笑い、胸を張る。
「ふんっ! 今はそうだろうがな! でもオレの新戦略で、今日こそハーレムパーティーを組んでみせる!」
コウタの新戦略:
1. セシリアにカッコいいところを見せる(Ver.2.0基本戦術)
2. その「カッコよさ余韻」で、ついでに他の女性パーティーメンバーにもアピール
3. 強敵を倒すという大義名分で、自然にハーレム状態を構築
「……完璧だぜ」
***
(一時間後・街の広場)
コウタの前に、三人の女性が立っていた。
1. セシリア(無表情・当然の参加)
2. エリカ(騎士見習い・「例の変な人に、また無茶なことを……」と心配そう)
3. ミーシャ(ギルド受付・「Bランク任務をFランクが請け負ったので、監視および損害報告のために同行します」と事務的)
「……三人か。まあ、ハーレムの第一歩としては及第点だな!」
セシリア:「……ハーレム?」
エリカ:「え? な、なにその……」
ミーシャ:「報告書に『ハーレム目的の任務遂行』と記入しておきましょうか」
「いや違う! オレがリーダーで、女性パーティーメンバーが三人! これぞまさに……ハ……ヘン……ヘンじゃねえや、健全なパーティーだ!」
コウタは汗を拭いながら言い訳する。
***
(峡谷入口)
雷鳴がゴロゴロと響く峡谷。巨大な雷鳥の影が岩壁を掠める。
「お、重い空気だな……これぞ強敵って感じだ!」
エリカが剣を構える。「気を付けてください! サンダーバードは雷撃だけでなく、風圧も……」
ミーシャがメモを取る。「はいはい。『無謀なFランクリーダーによるパーティー危機、第一報告』……」
その時、サンダーバードが急降下! 鋭い爪がエリカめがけて──!
「エリカ! 後ろだ!」
──チート発動条件:女性パーティーメンバーの危機。
──優先度:セシリア>その他女性。
コウタの体が動く。が、その動きは少しぎこちない。
(おっと……誰を優先すりゃいいんだ? セシリアは無事だし……でもエリカが……あっ、でもミーシャも危なそう……)
バタバタ!
コウタは迷いながらもエリカの前に飛び出し、剣(木刀)で爪を払おうとする──が、足がもつれて転ぶ。
「わあっ!?」
「コウタさん!?」
転びながらも、なぜかコウタの足が岩を蹴り、その岩がぴょんとはねてサンダーバードの目元を直撃。
「ガアッ!?」
鳥がよろめく。
「今だ! セシリア!」
「了解です」
セシリアが銀閃のように動き、一太刀。サンダーバードの翼に深手を負わせる。
「ミーシャ! あの岩陰に避難して記録してろ!」
「……命令系統が混乱していますね」
戦闘は続く。コウタはVer.2.0をフル活用しようとする。
作戦1:セシリアにカッコいいところを見せる
→ サンダーバードの雷撃からセシリアをかばおうと飛び込むが、なぜかエリカの盾にぶつかる。
「あっ! ご、ごめんエリカ!」
「い、いえ……でも、私を守ろうとしてくれたんですか?」
作戦2:カッコよさ余韻を他の女性にも
→ セシリアと連携して鳥を追い詰め、ちょっとカッコいいポーズを決める。
「ふん! これがオレとセシリアの連携プレーだ!」
エリカ:(……な、なんだか……カッコいいかも……)
ミーシャ:(「無謀だが、チームワークは良好」と記録)
作戦3:大技で締める
→ サンダーバードが最後の突進。コウタ、渾身の決め台詞を!
「喰らえっ! オレの……ハーレム……いや、絆の一撃だあああ!」
(セシリアにしか効かない無敵パワーを発動しようとするが、エリカとミーシャも視界に入っているため、出力が分散)
結果:サンダーバードは倒れたが、コウタはパワー使いすぎでヘロヘロ。
***
(戦闘後・峡谷出口)
エリカは顔を赤らめながらコウタに近づく。
「あ、あの……コウタさん。今日は……私を何度もかばってくれて……ありがとうございました」
「え? あ、ああ……まあな!」
(内心:あれ? これがVer.2.0の効果か?)
ミーシャは報告書をパタパタ閉じる。
「任務完了。損害は最小限。……コウタさん、あなたの戦闘スタイルは無謀ですが、なぜかメンバーを巻き込むカリスマ性はあるようです」
「お、褒めてるのか??」
「観察事実の陳述です」
そしてセシリア。無表情でコウタの前に立つ。
「…………」
「お、おうセシリア! どうだ? オレ、カッコよかったろ?」
「……ええ。とても」
セシリアは一歩近づき、小声で言う。
「エリカさんに、何度も『かばって』あげていましたね」
「え!? いや、あれは……」
「ミーシャさんにも、『カリスマ性』を発揮していて」
「それは……」
「そして、最後は『ハーレムの一撃』ですって」
セシリアの目が、微かに光る。
「……Ver.2.0、楽しいですか?」
「…………!!」
凍りつくコウタ。
(な、なんで知ってる!?!?)
「へ、へへ……何の話だか……」
「いいえ、なんでもありません」
セシリアはくるりと背を向け、歩き出す。
「さあ、帰りましょう。今日のあなたの『ハーレムパーティー大作戦』の結果報告……ゆっくりと、聞かせてもらいますから」
「待、待って! セシリア! 説明するから!」
「私も帰ります! コウタさん、また一緒に任務、できたら……」
「エリカさん、今日の報告書、共同提出しましょうか」
「あ、はい! ミーシャさん!」
三人の女性に取り囲まれながら(エリカは嬉しそう、ミーシャは事務的、セシリアは不気味に微笑んで)、コウタは街へと引きずられていく。
コウタの心の叫び:
(神様ー! このVer.2.0……ぜんぜんパワーアップになってねえ! むしろ状況が複雑になってるじゃねえかー!)
こうして、コウタの「ハーレムパーティーで強敵倒し」は、見事に(?)成功したのだった。
ただし、彼が望んでいたような「楽園的なハーレム」ではなく、「地獄的な修羅場」の始まりとして。
今回のプロンプト
へへ!
こんなこともあろうかと・もう一人の神様に頼むんだぜえ
作者におねぎいチート能力パワーアップ
チート能力を女の子にかっこよくもてるにパワーアップだ
こうなりゃハーレムパーティーで強敵を倒すぜえ




