10
10
(次の日・コウタの部屋・計画会議中)
「ネタが割れれば、わかったぜ!」
コウタは机にひじをつき、いたずらっぽく笑っていた。目の前には、「セシリア改造計画」と書かれた巻物(ただの落書き帳)が広げられている。
「セシリアをデレデレエッチな女の子に改造していくぜ!」
「今どきクール系は流行んねえぜ!」
計画書には以下の項目が並ぶ:
1.まずは呼び名から
・「セシリア」→「セシリん」
・「コウタ」→「コウたん」
※強制執行
2.デレデレ化計画
・一日三回の「好きです」宣言義務化
・手つなぎ常時必須
・甘え声特訓(「にゃん」とか「わん」とか)
3.エッチ化計画
・無防備な寝間着着用義務
・偶然(故意)の身体接触頻発化
・「お風呂一緒に入ろ?」とさりげなく提案
「よし……これで完璧だ……」
***
(朝食時)
「おはよ、セシリん!」
「…………」
セシリアは紅茶を飲みながら、一瞬まばたきを止める。
「……今、何と呼びましたか」
「セシリんだよ!可愛いだろ?」
「……いいえ、変です。やめてください」
「ダメダメ!これからはこれで通す!」
「……そうですか」
セシリアは無表情のまま、パンをちぎる。
「で、セシリん。オレのこと、なんて呼ぶ?」
「コウタです」
「違う!『コウたん』だ!」
「……拒否します」
「ちっ……じゃあ、代案を出すぜ!」
コウタはいたずらっぽく笑い、セシリアの耳元に近づく。
「『ダーリン』とか……『お兄ちゃん』とか……」
「衛兵を呼びます」
「待て!冗談だって!」
***
(午前中・街中)
「セシリん、手つなごうぜ!」
「街中で、二人で歩くのに手をつなぐ必要はありません」
「あるんだよ!これがデレデレの第一歩だ!」
コウタは強引にセシリアの手を握る。
「……手、冷たいですね」
「お前が温めてくれよ!」
「……仕方ありません」
セシリアはそっと手を握り返す。コウタの手を、両手で包み込むように。
「ほ、ほら!こうやって……」
「…………」
(な、なんだ……この……母性あふれる握り方……)
「十分温まりましたか」
「ちっ……まあいい……」
***
(昼・公園)
「セシリん、なあ」
「何ですか」
「オレのこと……好き?」
「…………」
長い沈黙。
「……仕事ですか」
「え?」
「デレデレ化計画の一環としての、『好きです』宣言の練習ですか」
「ば、バレてた!?」
セシリアは無表情でコウタを見つめる。
「机の上に計画書を置きっぱなしでしたから」
「うわっ!見てたのか!」
「はい。全部」
セシリアが立ち上がり、コウタの前に立つ。
「では、お答えします」
「お、おう……」
「私があなたを好きかどうか、ですね」
公園の風が吹き抜ける。
「……好きです」
「え?」
「はい。好きです」
淡々とした、しかし確かな声で。
「十年以上、ずっと好きです」
「それは……幼馴染としての……」
「違います」
セシリアの目が、コウタをしっかり捉える。
「女性として、男性であるあなたを、好きです」
「…………!!」
「これで、計画は前倒しで完了ですね」
「ちっ……そう来たか……」
コウタは顔を赤らめ、俯く。
(くっ……こいつ……逆にこっちがやられる……)
***
(夕方・コウタの部屋)
「最後の手段だ……」
コウタは「エッチ化計画」を実行に移す。セシリアがお風呂に入っている隙に、彼女の寝間着を……薄手のものにすり替える作戦だ。
(ふふん……これで今夜は……)
その時、背後から声がする。
「……何をしているのですか」
「わっ!?」
振り返ると、セシリアがタオルで髪を拭きながら立っている。もうお風呂から出ていたのだ。
「あ、あの……その……」
「私の寝間着を、なぜいじっているのですか」
「えっと……洗濯してあげようと思って……」
「嘘です」
セシリアが一歩近づく。
「エッチ化計画……でしたね」
「そ、それも読んだのか!?」
「はい。ですから……」
セシリアはコウタの手から寝間着を受け取り、そっと自分の体に当ててみる。
「この薄さでは、寒いです」
「そ、そうか……じゃあやめとくか……」
「ですが」
セシリアがかすかに笑う。
「あなたが望むなら……今夜だけ、着てみてもいいですよ」
「ええっ!?」
「ただし」
彼女の目が、危険な光を宿す。
「その代わり、あなたは一晩中、私の部屋の前で見張り番です」
「なっ!?」
「『エッチ』の代償としての『苦行』。これもまた、一つの関係性かと」
「ちっ……これじゃあ、オレが拷問されるだけじゃねえか!」
「そうですね。では、計画は撤回しますか?」
「……す、する……」
コウタは完全に降参だ。
***
(その夜)
コウタは布団にもぐり込み、今日の敗北を噛みしめる。
「くっ……セシリア……あいつ……強すぎる……」
全ての計画が、逆に自分に返ってきた。
「デレデレどころか……ますますクールになったような……」
ドンドン。
「コウタ、寝ていますか」
「セシリアか……もう寝るよ」
「……そうですか」
ドアの向こうで、かすかなため息が聞こえる。
「……おやすみなさい」
「あ、ああ……おやすみ……」
しばらくして、コウタがふと気づく。
(……さっきの『好きです』……)
(……あれって……マジだったのか……?)
彼は布団の中で、顔が熱くなるのを感じる。
(……まずいな……)
(……オレの方こそ……デレデレになりそうだ……)
こうして、「セシリア改造計画」は完全に失敗した。
むしろ、コウタ自身が「セシリアにデレデレ化」されるという、逆転現象が起こり始めていた。
(改造計画・完全逆転編)
(冒険者ギルド・掲示板前)
「うーん……よし!これだ!」
コウタはSランク任務「死竜の巣窟掃討」の紙をビリビリと引きちぎった。周囲の冒険者たちが騒然とする。
「お、おいコウタ!?あれはSランクだぞ!王國騎士団一隊でも全滅しかけた任務だ!」
「ふん!知ってるぜ!」
コウタは掲示板の前で高らかに宣言する。
「チート見せつけて、キャー素敵、コウタ様カッコイイ抱いて作戦、始動だぜ!」
ミーシャが受付から冷たい視線を送る。
「……コウタさん、無謀過ぎます。記録上も止めます」
「止めるな!オレのモテモテチート、本気出すからな!」
***
(死竜の巣窟・入口)
「さてと……セシリアは街で待機だ。今日はオレ一人の活躍を見せつけるぜ……」
コウタが洞窟に入ろうとした瞬間、背後から声がする。
「一人で行くなんて、無茶ですよ」
振り返ると、セシリアが無表情で立っている。武装は完全だ。
「セ、セシリア!?なんで……」
「ミーシャさんから連絡がありました。『バカが死にに行くので止めてください』と」
「ちっ……でもな、セシリア!今日はオレがカッコいいとこ見せる日なんだ!」
「ええ。見せてもらいます」
セシリアは一歩前に出る。
「私がサポートしますから、思いっきりカッコよくしてください」
「……え?」
「あなたが『モテるため』なら、私は協力します」
セシリアの目が、かすかに光る。
「ただし、死なないでください。私が一番悲しみますから」
***
(巣窟内部)
死竜の手下たちが襲いかかる。骸骨戦士、幽霊竜、呪われたドラゴニアン……
「来るぜ!セシリア、見てろよ!」
コウタはチートを発動しようとするが……セシリアが先に動く。
銀閃!
セシリアの剣が、骸骨戦士を一刀両断。
「わ、おい!オレが倒すって……!」
「次のをどうぞ」
次の敵が来る。コウタが踏み込むが、足を滑らせる。
「うわっ!?」
「……危ないです」
セシリアがコウタの襟首を掴み、引き戻す。そしてそのまま敵を蹴散らす。
「これでは……カッコよくないぜ……」
「では、こちらはいかがですか?」
セシリアがわざと隙を見せ、敵に背中を向ける。
「今です!」
「お、おう!」
コウタが飛びかかる。無敵モード発動!……が、なぜか力が入りすぎて、敵を吹き飛ばした勢いで天井にぶつかる。
「ぐえっ!?」
「……やりすぎです」
***
(最深部・死竜との対峙)
巨大な死竜が咆哮する。洞窟が揺れる。
「で、でかっ……これがSランクか……」
「コウタ、私と連携しましょう」
「お、おう!」
作戦:
1. セシリアが囮になる
2. コウタがチート全開でとどめを刺す
3. キャー素敵、コウタ様!
「行きます!」
セシリアが死竜に斬りかかる。流れるような剣さばき。死竜の注意を完全に引きつける。
「今だ、コウタ!」
「わかってる!喰らええええ!」
コウタが渾身の一撃を……放とうとした瞬間。
ガラガラガラッ!
天井から鍾乳石が崩落し、コウタの頭上へ。
「なっ!?」
「コウタ!」
セシリアが死竜を蹴り飛ばし、コウタの方へ飛び込む。鍾乳石を剣で払い、コウタをかばう。
ドゴォーン!
死竜が反撃のブレスを吐く。セシリアがコウタを地面に押し倒し、自分の体で覆いかぶさる。
「セシリア!?」
「……大丈夫です」
ブレスが収まる。セシリアがゆっくりと立ち上がる。背中の鎧が焦げている。
「ちっ……油断しました」
「お、お前……怪我は……」
「大したことありません。さあ……」
セシリアが剣を構え直す。その目は、冷たく鋭い。
「……私が本気を出します」
次の瞬間──
セシリアの姿が消える。いや、速すぎて見えないだけだ。
銀色の嵐が洞窟を駆け巡る。死竜の鱗が一枚、また一枚と剥がれ落ちる。咆哮は悲鳴に変わる。
「これが……セシリアの本気……?」
10秒後、死竜は崩れ落ちた。
***
(ギルドにて・報酬受取)
Sランク任務の報酬──莫大な賞金が机の上に積まれる。
「ほら見ろ!札束だ!札束ビンタで女の子たちを……」
コウタが振り返る。そこには……
エリカ:「コ、コウタさん!無事で……よかった……!」(泣きながら抱きつく)
ミーシャ:「……生存確認。記録更新。……少し、安心しました」(目をそらす)
セシリア:「…………」(無表情で立っている)
「え?ちょ、エリカ!?わっ、抱きつくなよ!」
「だ、だって……Sランク任務だなんて……無茶すぎます!」
「ミーシャも……なんで目がウルウルしてんだ?」
「……風邪の引き始めです」
コウタは札束を掴み、エリカとミーシャの前に突き出す。
「ほ、ほら!金だ!札束ビンタしてや……」
「そんなのより!」
エリカがコウタの腕を握る。
「生きて戻ってきてくれたことが……嬉しいです……!」
「……同感です」(ミーシャ)
「…………」
コウタはセシリアを見る。彼女は何も言わない。ただ、そっとうなずくだけ。
(ちっ……これじゃ……)
(『キャー素敵、コウタ様』じゃなくて……)
(『ああ、生きててよかった』だ……)
***
(夜・街の酒場)
コウタが賞金で全員に奢っている。
エリカ:「コウタさん、本当に強くなりましたね……」
ミーシャ:「……単独でのSランククリアは、記録的です」
コウタ:「はは……でもな、実際はセシリアが……」
セシリア:「あなたが倒しました。私はただ……サポートしただけです」
コウタ:「え?でも……」
セシリア:「報告書にもそう書きました。『コウタ単独討伐』と」
「なっ!?でもあれはお前が……」
「いいえ。あなたの戦果です」
セシリアが静かに笑う。
「『カッコいいコウタ様』になりたかったのでしょう?」
「なら、なってください」
コウタは言葉を失う。
エリカ:「そうですね!コウタさん、すごいです!」
ミーシャ:「……確かに、賞金は全てあなたのものです」
(……これ……)
(完全に……セシリアに……やられた……)
コウタはグラスを傾け、深くため息をつく。
「……ちっ。負けたぜ、セシリア」
「何の話ですか」
「……いいや、なんでもない」
彼はグラスを上げる。
「今日は……オレの勝利で乾杯だ!」
「「「乾杯!」」」
そう、少なくとも表面上は。
コウタの「カッコよくモテたい」という願いは、奇妙な形で叶い始めていた。
ただ、彼が望んだ形とは……少し違っていたが。
(Sランク・逆転勝利編)
今回のプロンプト
ネタが割れれば、わかったぜ!
セシリアをデレデレエッチな女の子に改造していくぜ!
今どきクール系は流行んねえぜ
うーん
チート見せつけて、キャー素敵、コウタ様カッコイイ抱いて作戦だぜ!
とりあえず、難易度糞高のクエストクリアしまくって札束ビンタで完落ちさせるぜ




