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悪い奴を成敗する話  作者: 慈架太子


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20/24

3-3

翌日。

マルクスは、執務室で書類を整理していた。

昨日のドラゴン討伐の報告書。

そして、Sランク昇格の証明書。

「Sランクか...」

マルクスは銀色の徽章を見つめた。

中央に刻まれた、Sの文字。

「ここまで来たんだな」

その時、テレパシーが響いた。

(マルクス、起きてるか?)

ティグリスの声だ。

(ああ、どうした?)

(みんなで、また依頼を受けに行こうって話になってる)

(昨日はドラゴンだったし)

(今日は、もう少し気軽なやつがいいかなって)

マルクスは微笑んだ。

(わかった。すぐに行く)

30分後。

七人は、再び冒険者ギルドに集まっていた。

昨日と同じ、普通の冒険者装備。

「おはようございます」

受付嬢が、笑顔で迎えた。

「昨日は、本当におめでとうございました」

「Sランク昇格、すごいです!」

マルクスは頭を下げた。

「ありがとうございます」

「今日も、依頼を受けに来ました」

受付嬢は、少し驚いた。

「昨日、ドラゴンを倒したばかりなのに」

「もう次の依頼ですか?」

「ええ」

マルクスは頷いた。

「俺たちは、冒険者です」

「休んでいる暇はありません」

ティグリスが笑った。

「まあ、今日はもう少し楽な依頼がいいけどな」

「ドラゴンの後だし」

ギムリも頷く。

「そうだな」

「気軽に倒せる相手がいい」

受付嬢は、依頼書の束を持ってきた。

「では、こちらをご覧ください」

「AランクとBランクの依頼です」

マルクスは、一つずつ見ていく。

『東部の村で、オークの群れ出現。討伐求む。報酬:金貨200枚』

『北部の街で、盗品が盗まれた。犯人捕獲求む。報酬:金貨150枚』

『西部の森で、薬草採取。護衛求む。報酬:金貨100枚』

『南部の山に、盗賊団の砦。壊滅求む。報酬:金貨500枚』

マルクスは、最後の依頼に目を留めた。

「南部の山、盗賊団の砦...」

ティグリスが覗き込む。

「盗賊団か」

「何人くらいいるんだ?」

受付嬢が説明した。

「情報によると、約50人です」

「元傭兵が多く、かなり武装しています」

「村を襲い、物資を略奪しています」

「民衆が、困っています」

マルクスの目が、鋭くなった。

「民衆を苦しめている...」

「それは、許せないな」

ギムリが戦斧を握った。

「盗賊団か」

「ちょうどいい運動になりそうだ」

ルーナが頷く。

「50人なら、私たちなら余裕ね」

カミラも微笑んだ。

「昨日はドラゴン、今日は盗賊団」

「バラエティに富んでるわね」

アリアが少し心配そうだ。

「でも、民間人を襲っているなんて...」

「許せませんね」

セリアが祈るように手を組んだ。

「悪人を裁くのも、神の意志です」

マルクスは、依頼書を取った。

「これにします」

「南部の山、盗賊団討伐」

受付嬢が依頼書を受理する。

「わかりました」

「盗賊団の砦は、南部のロックマウンテンです」

「お気をつけて」

マルクスは頷いた。

「ありがとうございます」

ギルドを出ると、ティグリスが聞いた。

「で、どうやって行く?」

「テレポートか?」

マルクスは首を振った。

「いや、今回は徒歩で行こう」

「え? なんで?」

ギムリが驚く。

「テレポートの方が速いだろ」

マルクスは微笑んだ。

「確かに速い」

「だが、たまには旅を楽しもう」

「冒険者らしく」

「景色を見ながら、のんびりと」

ルーナが笑った。

「それもいいわね」

「最近、テレポートばかりだったし」

カミラも賛成した。

「旅の醍醐味は、道中にあるものね」

「たまには、ゆっくり行きましょう」

アリアも嬉しそうだ。

「はい、私も賛成です」

「景色を楽しみながら」

セリアが微笑んだ。

「神が創りし自然を、感じましょう」

マルクスは全員を見渡した。

「では、決まりだ」

「徒歩で、南部のロックマウンテンへ」

「二日かけて、のんびり行こう」

全員が頷いた。

「了解!」

七人は、王都の南門から出発した。

南への街道。

広い平原が広がっている。

青い空。

白い雲。

遠くに見える山々。

「いい天気だな」

ティグリスが空を見上げた。

「こんなにのんびり歩くの、久しぶりだ」

ギムリも笑っている。

「そうだな」

「最近は、テレポートで一瞬移動ばかりだったからな」

ルーナが草原を見ている。

「花が咲いてるわ」

「綺麗ね」

カミラが深呼吸した。

「空気が美味しいわ」

「王都の埃っぽい空気とは違う」

アリアが魔法書を閉じて、景色を楽しんでいる。

「こういう時間も、大切ですね」

セリアが祈っている。

「神に感謝します」

「この美しい世界を、創ってくださって」

マルクスは、仲間たちを見た。

全員、リラックスしている。

笑顔だ。

「いいな、これ」

マルクスは呟いた。

「前世では、こんな時間なかった」

「毎日、会社と家の往復」

「景色を楽しむ余裕もなかった」

「でも、この世界では違う」

マルクスは空を見上げた。

「仲間と一緒に、冒険する」

「景色を楽しみながら、旅をする」

「これが、本当の人生だ」

アリシアの顔が、頭に浮かんだ。

「妻もいる」

「家族もできる」

「全て、手に入れた」

マルクスは微笑んだ。

「幸せだな」

数時間後。

七人は、小さな村に着いた。

「休憩しようか」

マルクスが提案した。

村の酒場に入る。

「いらっしゃい!」

店主が笑顔で迎えた。

「冒険者さんかい?」

「ええ」

マルクスは頷いた。

「南部のロックマウンテンへ向かっています」

店主の顔が、曇った。

「ロックマウンテン...」

「盗賊団のことかい?」

「ええ、討伐に行きます」

店主は、驚いた顔をした。

「本当かい!?」

「あいつら、本当に酷いんだ!」

「村を襲って、食料を奪っていく!」

「抵抗すれば、殴られる!」

「女や子供も、容赦しない!」

店主の目に、涙が浮かんでいる。

「頼む...奴らを倒してくれ...!」

マルクスは、店主の肩に手を置いた。

「任せてください」

「必ず、倒します」

店主は、マルクスの手を握った。

「ありがとう...!」

「あんたたちは、この村の救世主だ!」

店主は、食事を無料で提供してくれた。

「これは、せめてもの礼だ」

「腹いっぱい食べてくれ!」

七人は、美味しい食事を楽しんだ。

パン、スープ、肉。

「美味いな」

ティグリスが満足そうだ。

「王宮の料理もいいけど」

「こういう素朴な料理も、いいな」

ギムリも頷く。

「そうだな」

「これが、庶民の味だ」

マルクスは、店主を見た。

「ありがとうございます」

「美味しかったです」

店主は涙を流していた。

「頼む...村を救ってくれ...」

マルクスは頷いた。

「必ず」

村を出て、さらに南へ。

夕方になると、七人は森の中で野営した。

焚き火を囲んで、座る。

「明日、砦に着くな」

ティグリスが言った。

「作戦は?」

マルクスは、地図を広げた。

「砦は、山の中腹にある」

「周囲は崖で、正面からしか入れない」

「見張りが、常に数人いるはずだ」

「なら、どうする?」

ギムリが聞く。

「テレポートで、内部に侵入する」

マルクスは答えた。

「まず、俺が単独で偵察」

「砦の構造と、敵の配置を確認」

「その後、全員で突入」

「盗賊を全員捕らえる」

「殺すのか?」

ルーナが聞く。

マルクスは首を振った。

「いや、捕らえる」

「抵抗すれば、倒すが」

「できるだけ、生け捕りにする」

「そして、王都の牢に入れる」

「裁判にかける」

カミラが微笑んだ。

「相変わらず、甘いわね」

「でも、それがあなたの良いところ」

アリアも頷く。

「はい、無駄な殺生は避けるべきです」

セリアが祈っている。

「神もそれを望んでおられます」

マルクスは焚き火を見つめた。

「前世で学んだ」

「法と秩序の大切さを」

「私刑は、最小限にすべきだ」

「できる限り、正式な裁判で裁く」

「それが、文明社会だ」

全員が頷いた。

「了解」

「では、明日」

マルクスは立ち上がった。

「盗賊団を、一網打尽にする」

焚き火の炎が、七人を照らしている。

明日、盗賊団との戦いが始まる。



翌朝。

七人は、ロックマウンテンの麓に到着した。

「あれが、砦か」

マルクスが双眼鏡で見る。

山の中腹に、石造りの砦。

高い壁。

見張り台。

「警備は厳重だな」

ティグリスが呟く。

「見張りが、5人いる」

マルクスは魔力探知を使った。

「砦の中に、45人」

「全員、起きている」

「警戒が高い」

ギムリが拳を鳴らした。

「なら、速攻で叩くか」

「待て」

マルクスは首を振った。

「まず、俺が偵察する」

「砦の構造を確認してから」

「全員で突入する」

マルクスは目を閉じた。

「テレポート」

視界が歪む。

次の瞬間、マルクスは砦の屋根の上にいた。

「成功した...」

マルクスは、そっと中を覗く。

広い中庭。

周囲に部屋。

中央に、大きな男が立っていた。

盗賊団の頭目だろう。

傷だらけの顔。

巨大な斧。

「今日も、村を襲うぞ!」

頭目が叫ぶ。

「女も子供も、全部奪え!」

盗賊たちが、歓声を上げる。

マルクスの目が、冷たく光った。

「許さない...」

マルクスは、仲間たちにテレパシーで伝えた。

(全員、準備しろ)

(突入する)

(了解!)

マルクスは、砦の門を内側からテレキネシスで開けた。

「テレキネシス」

ガチャン。

門が開く。

「何だ!?」

見張りが驚く。

その瞬間、六人が突入した。



ティグリスが剣を振るう。

見張りの武器を弾き飛ばす。

ギムリが戦斧で地面を叩く。

衝撃波が、盗賊たちを吹き飛ばす。

「な、何だ!?」

「敵襲だ!」

盗賊たちが、武器を取る。

だが、遅い。

ルーナの矢が、次々と飛ぶ。

盗賊たちの足を射抜く。

「ぎゃあ!」

動けなくなる。

カミラが素早く動き回る。

短剣で、盗賊たちの腱を切る。

「くそ...!」

次々と倒れていく。

アリアが魔法を放つ。

「ウィンドブラスト!」

強風が、盗賊たちを壁に叩きつける。

セリアが回復魔法の準備をしている。

そして、マルクス。

屋根から飛び降りた。

「テレキネシス」

頭目の体を、魔力で拘束する。

「ぐ...! 何だ、これは!?」

頭目が動けない。

マルクスは冷たく言った。

「お前たちを、逮捕する」

「村を襲った罪で」

「抵抗すれば、容赦しない」

頭目が叫んだ。

「くそ...! 全員、かかれ!」

残りの盗賊、40人が一斉に襲いかかる。

「来たな」

マルクスは手を前に出した。

「テレキネシス」

20人の盗賊が、同時に宙に浮いた。

「な...!?」

そして、一斉に地面に叩きつけられる。

「ぐあ!」

全員、気絶した。

残りは20人。

だが、仲間たちが次々と倒していく。

わずか5分。

50人の盗賊、全員が地面に倒れていた。



「終わった...」

マルクスは周囲を見渡した。

50人の盗賊。

全員、倒れている。

死んではいない。

気絶しているか、負傷して動けない。

「全員、無事か?」

マルクスが確認する。

(無事だ)

(問題ない)

(楽勝だったな)

全員の声が響く。

その瞬間、全員に光が注いだ。

キィン!

『レベルアップ!』

『マルクス レベル70 → レベル71』

『ティグリス レベル67 → レベル68』

『ギムリ レベル64 → レベル65』

『ルーナ レベル61 → レベル62』

『アリア レベル68 → レベル69』

『セリア レベル65 → レベル66』

『カミラ レベル59 → レベル60』

(また上がったな)

ティグリスがテレパシーで言う。

(50人分の経験値だからね)

アリアの声。

キィン!

『パーティー平均レベル: 65.9』

『Sランク冒険者』

「よし」

マルクスは盗賊たちを縛り始めた。

「全員、拘束する」

「王都の牢に送る」

仲間たちも手伝う。

30分後、50人全員が縄で縛られた。

頭目が目を覚ました。

「く...くそ...」

マルクスは冷たく見下ろした。

「お前たちは、村人を苦しめた」

「その罪を、償え」

頭目は、恐怖に震えていた。

「た、助けてくれ...」

「駄目だ」

マルクスは首を振った。

「お前たちは、裁かれる」

マルクスは仲間たちを見た。

「俺が、全員をテレポートで王都に送る」

「お前たちは、ここで待機してくれ」

「了解」

マルクスは、50人の盗賊に手を当てた。

「テレポート」

視界が歪む。

次の瞬間、王都の牢の前。

衛兵が驚いた。

「マ、マルクス公爵!?」

「この者たちを、牢に入れてくれ」

「盗賊団だ」

「は、はい!」


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