3-2
「ありがとうございます!」
「俺も、いつか『灰色の刃』みたいになりたい!」
「底辺から、伝説へ!」
「夢がある!」
マルクスは微笑んだ。
「頑張ってください」
「誰にでも、チャンスはあります」
「俺たちも、最初はDランクでした」
若い冒険者が、目を見開いた。
「本当ですか!?」
「ええ」
マルクスは頷いた。
「五ヶ月前、俺はただの底辺冒険者でした」
「でも、仲間と出会い」
「努力を続け」
「ここまで来ました」
「だから、諦めなければ」
「誰でも、強くなれます」
冒険者たちが、感動している。
「すげえ...」
「俺も頑張ろう!」
「夢を諦めない!」
30分後。
ようやく人混みが落ち着いた。
マルクスたちは、受付に向かった。
受付嬢が、緊張した顔で言った。
「あ、あの...何のご用でしょうか?」
「Aランクの依頼を見せてください」
マルクスが言った。
受付嬢は驚いた。
「え? 依頼を...?」
「はい」
マルクスは微笑んだ。
「俺たちは、冒険者です」
「公爵や伯爵である前に」
「だから、依頼を受けたいんです」
受付嬢は、少し考えた後。
「わかりました」
依頼書の束を持ってくる。
「これが、現在のAランク依頼です」
マルクスは、一つずつ見ていく。
『西部の森で、ドラゴン出現。討伐求む。報酬:金貨1000枚』
『南部の山に、盗賊団の砦。壊滅求む。報酬:金貨500枚』
『北部の洞窟で、古代遺跡発見。調査求む。報酬:金貨300枚』
「どれも、危険な依頼だな」
ティグリスが覗き込む。
「でも、俺たちなら余裕だろ」
ギムリも頷く。
「ドラゴンか...久しぶりに戦いたいな」
マルクスは、一つの依頼を取った。
『西部の森で、ドラゴン出現。討伐求む』
「これにしよう」
「ドラゴン討伐か」
ルーナが微笑む。
「挑戦しがいがあるわね」
受付嬢が、驚いた顔をした。
「ド、ドラゴンですか!?」
「あれは、今まで誰も倒せていません!」
「Aランク冒険者が三人挑んで、全滅しました!」
マルクスは落ち着いて言った。
「大丈夫です」
「俺たちなら、倒せます」
「それに」
マルクスは仲間たちを見た。
「俺たちは、もっと強い敵を倒してきました」
「ドラゴン程度なら、問題ありません」
受付嬢は、少し不安そうだった。
だが、マルクスの目を見て納得した。
「わかりました」
「依頼、受理します」
「お気をつけて」
マルクスは依頼書を受け取った。
「では、行こう」
ギルドを出ると、アリアが聞いた。
「本当に、ドラゴンと戦うんですか?」
「ああ」
マルクスは頷いた。
「俺たちは、冒険者だ」
「危険な依頼を受け、達成する」
「それが、俺たちの仕事だ」
「でも、もう公爵ですよ?」
「関係ない」
マルクスは断言した。
「地位がどうあれ」
「俺たちは、灰色の刃だ」
「戦い続ける」
全員が頷いた。
「そうだな」
「俺たちは、冒険者だ」
「永遠にな」
七人は、西部の森に向かって歩き出した。
新たな冒険が、始まる。
ドラゴン討伐。
灰色の刃の、次なる戦いが。
西部の森。
深い森の奥。
巨大な洞窟が、口を開けていた。
「ここか...」
マルクスが呟く。
洞窟の周囲には、焼け焦げた木々。
地面には、巨大な足跡。
「間違いない」
「ドラゴンの痕跡だ」
ティグリスが剣を抜いた。
「ついに、ドラゴンと戦えるのか」
「ワクワクするな」
ギムリも戦斧を構える。
「伝説の魔物だ」
「どれくらい強いんだろうな」
ルーナが弓を準備している。
「ドラゴンの鱗は硬いわ」
「矢が通じるかしら」
カミラが短剣を研いでいる。
「弱点を狙えば、何とかなるわ」
「目、喉、腹」
アリアが魔法書を開いた。
「ドラゴンは、魔法に対する耐性が高いです」
「でも、氷属性は効果的らしいです」
セリアが祈っている。
「神のご加護がありますように」
マルクスは全員を見渡した。
「作戦を確認する」
「ドラゴンは、火を吐く」
「まず、それを避けることが最優先」
「テレポートとテレキネシスで、俺が翻弄する」
「その隙に、全員で攻撃」
「弱点は、腹と目」
「鱗の薄い部分を狙え」
全員が頷いた。
(了解!)
「では、行くぞ」
七人は、洞窟に入った。
洞窟の奥。
広い空間が広がっていた。
天井は高く、地面には金貨や宝石が散乱している。
そして、奥に。
巨大な影。
赤い鱗。
鋭い爪。
巨大な翼。
ドラゴン。
体長は、30メートル以上。
「でけえ...!」
ギムリが息を呑んだ。
ドラゴンが、目を開けた。
金色の瞳。
そして、低い声。
「人間か...」
「また、愚かな者たちが来たな」
マルクスは一歩前に出た。
「俺たちは、冒険者ギルドから来た」
「お前を、討伐しに来た」
ドラゴンが笑った。
「討伐?」
「お前たちごときが?」
「この『炎帝ドラゴン・イグニス』を?」
「笑止千万」
ドラゴンが立ち上がった。
巨大な体が、洞窟を揺らす。
「お前たちは、五番目の犠牲者だ」
「他の冒険者たちと同じ」
「灰になれ」
ドラゴンが、口を開けた。
炎が、溜まっていく。
「来るぞ!」
マルクスが叫んだ。
「散開!」
ドラゴンが、炎を吐いた。
「ファイアブレス!」
巨大な火柱が、七人を襲う。
マルクスは、テレポートで回避。
「テレポート」
ティグリス、ギムリは横に飛ぶ。
ルーナは天井に飛び移る。
カミラは影に隠れる。
アリアとセリアは、バリアを張る。
「バリア!」
光の壁が、炎を防ぐ。
炎が消えた。
「全員、無事か!?」
マルクスが確認する。
(無事だ!)
(問題ない!)
全員の声が響く。
「よし、反撃だ!」
マルクスは、ドラゴンの頭に向かってテレポートした。
「テレポート」
視界が歪む。
次の瞬間、ドラゴンの頭の上に立っていた。
「テレキネシス!」
ドラゴンの首を、魔力で押さえつける。
「ぐ...!」
ドラゴンの頭が、地面に叩きつけられる。
「今だ! 攻撃しろ!」
ティグリスが、ドラゴンの腹に剣を突き立てる。
ガキィン!
だが、鱗が硬い。
刃が弾かれる。
「硬え...!」
ギムリが戦斧を叩きつける。
やはり、弾かれる。
「くそ...鱗が硬すぎる!」
ルーナが矢を放つ。
目を狙う。
だが、ドラゴンは瞼を閉じた。
矢が弾かれる。
「駄目...!」
カミラが短剣を投げる。
喉を狙う。
だが、鱗に阻まれる。
「効かないわ...!」
アリアが魔法を放つ。
「アイスランス!」
氷の槍が、ドラゴンを襲う。
ドラゴンの体に命中。
「ぐ...!」
少し効いた。
「氷属性は効果的です!」
アリアが叫ぶ。
だが、ドラゴンは怒った。
「小賢しい...!」
ドラゴンが、全身から魔力を放出した。
マルクスのテレキネシスが、弾かれる。
「くそ...!」
マルクスは、地面に落ちる。
ドラゴンが、マルクスに向かって爪を振り下ろした。
「危ない!」
ティグリスが飛び込んで、マルクスを押し倒す。
爪が、地面を抉る。
「助かった...!」
「礼はいい! 立て!」
二人は、素早く起き上がった。
ドラゴンが、再び炎を溜める。
「まだ、諦めてないのか」
「ならば、全員焼き尽くす」
「メガフレア!」
さらに巨大な炎が、放たれる。
「まずい...!」
マルクスは考えた。
(物理攻撃は効かない)
(魔法も、氷以外は効果が薄い)
(どうする...?)
その時、マルクスは気づいた。
「そうだ...」
「内側から攻撃すればいい」
マルクスは叫んだ。
「アリア! 俺をドラゴンの口の中にテレポートさせる!」
「え!?」
アリアが驚く。
「無茶です!」
「大丈夫だ! 信じろ!」
マルクスは、アリアを見た。
アリアは、少し考えた後。
頷いた。
「わかりました!」
アリアが、座標を指定する。
「テレポート補助!」
マルクスが、テレポートを発動。
「テレポート」
視界が歪む。
次の瞬間。
マルクスは、ドラゴンの口の中にいた。
巨大な牙。
赤い舌。
そして、奥に見える炎。
「ここだ!」
マルクスは、最大の魔力を込めた。
「テレキネシス!」
ドラゴンの喉の奥、炎の源に魔力を送り込む。
そして、内側から破壊する。
「砕け!」
ドラゴンの体内で、爆発が起きた。
「ぐあああああああ!」
ドラゴンが、苦痛の叫びを上げる。
マルクスは、急いでテレポートで脱出した。
「テレポート」
外に出る。
ドラゴンが、地面に倒れ込んだ。
口から、血を吐いている。
「や、やったのか...?」
ギムリが呟く。
だが、ドラゴンはまだ生きていた。
「く...そ...」
「人間ごときに...」
ドラゴンが、最後の力を振り絞る。
「道連れだ...!」
「自爆する!」
ドラゴンの体が、赤く光り始めた。
「まずい! 逃げろ!」
マルクスが叫んだ。
「全員、俺に集まれ!」
七人が、マルクスの周りに集まる。
「テレポート!」
マルクスは、全員を転移させた。
洞窟の外へ。
次の瞬間。
洞窟の中で、巨大な爆発が起きた。
ドォォォン!
炎が、洞窟から吹き出す。
地面が揺れる。
「うわああ!」
七人は、地面に倒れ込んだ。
数分後。
爆発が収まった。
マルクスは、ゆっくりと起き上がった。
「全員...無事か?」
(無事だ)
(何とか)
(ギリギリだったな)
全員の声が響く。
マルクスは、洞窟を見た。
崩れている。
中には、ドラゴンの死体が埋まっているはずだ。
「終わった...」
その瞬間、全員に強烈な光が満ちた。
キィィィィン!
『レベルアップ!』
『マルクス レベル67 → レベル70』
『ティグリス レベル64 → レベル67』
『ギムリ レベル61 → レベル64』
『ルーナ レベル58 → レベル61』
『アリア レベル65 → レベル68』
『セリア レベル62 → レベル65』
『カミラ レベル56 → レベル59』
(3レベル...!)
ティグリスが驚く。
(ドラゴンの経験値は、凄まじいな...)
アリアの声。
(レベル70か...)
マルクスが呟く。
キィィィン!
『パーティー平均レベル: 64.9』
『Sランク冒険者へ到達!』
『王国史上、最強の冒険者集団!』
『マルクス 新スキル習得!』
『ドラゴンスレイヤーLv1 習得!』
『テレポートLv8 習得!』
『テレキネシスLv8 習得!』
「これが...レベル70の力か」
マルクスは自分の手を見つめた。
魔力が、今までとは比べ物にならないほど溢れている。
ティグリスが笑った。
「やったな!」
「ドラゴンを倒したぞ!」
ギムリも笑っている。
「すげえ戦いだったな」
「死ぬかと思ったぜ」
ルーナが安堵の息を吐いた。
「無事で良かったわ」
カミラが微笑んだ。
「さすが、マルクスね」
「内側から攻撃するなんて」
アリアが感動している。
「レベル70...夢みたいです」
セリアが祈っている。
「神に感謝します」
マルクスは、仲間たちを見渡した。
「よくやった、みんな」
「これで、俺たちは正式にSランクだ」
全員が頷いた。
(ああ!)
マルクスは、洞窟の残骸を見た。
「証拠を集めよう」
「ドラゴンの鱗や牙」
「ギルドに、討伐の証明をする」
全員が、洞窟の中に入った。
崩れた岩を除けると。
ドラゴンの死体があった。
まだ、少し温かい。
「鱗を剥がすぞ」
ティグリスが剣で鱗を削り取る。
ギムリが牙を折る。
ルーナが爪を回収する。
30分後。
証拠品が、十分に集まった。
「これで、いいだろう」
マルクスが言った。
「王都に戻るぞ」
王都冒険者ギルド。
マルクスたちが、受付に現れた。
「ドラゴン討伐、完了しました」
受付嬢が、驚いた顔をした。
「え!? 本当ですか!?」
「ええ」
マルクスは、鱗と牙と爪を差し出した。
「証拠品です」
受付嬢は、それを確認した。
「これは...間違いなく、炎帝ドラゴンの...」
「信じられない...」
「Aランク冒険者が何人も失敗した依頼を...」
「たった一日で...」
受付嬢は、慌てて奥に駆け込んだ。
「ギルドマスター! 大変です!」
数分後。
ギルドマスターが現れた。
大柄な男。50代。元Aランク冒険者。
「本当か? ドラゴンを倒したのか?」
「はい」
マルクスは証拠品を見せた。
ギルドマスターは、それを確認した。
「これは...本物だ」
「よくやった、灰色の刃」
ギルドマスターは、マルクスの手を握った。
「君たちは、王国最強の冒険者だ」
「正式に、Sランクへの昇格を認める」
ギルド内の冒険者たちが、どよめいた。
「Sランク!?」
「本当に!?」
「灰色の刃が、Sランクに!」
歓声と拍手が、ギルドを包む。
ギルドマスターは、七つの徽章を取り出した。
銀色の徽章。
中央に、Sの文字。
「これが、Sランクの証だ」
一人ずつ、徽章を授ける。
マルクス、ティグリス、ギムリ、ルーナ、カミラ、アリア、セリア。
全員が、Sランクになった。
「おめでとう」
ギルドマスターが微笑んだ。
「君たちは、歴史に名を刻んだ」
「王国史上、最年少でSランクに到達した」
「そして、最強の冒険者集団だ」
拍手が、さらに大きくなる。
マルクスは、徽章を見つめた。
銀色に輝くS。
「ついに、ここまで来たか...」
ティグリスが肩を叩いた。
「やったな、マルクス」
「五ヶ月前、俺たちはDランクだった」
「それが今や、Sランクだ」
ギムリも笑っている。
「信じられねえな」
「夢みたいだ」
ルーナが微笑む。
「でも、現実よ」
「私たちは、やり遂げたの」
カミラが頷く。
「全て、マルクスのおかげね」
「あなたが、私たちを導いてくれた」
アリアも涙ぐんでいる。
「本当に...ありがとうございます」
セリアが祈っている。
「神に感謝します」
マルクスは、全員を見渡した。
「いや、お前たちのおかげだ」
「俺一人じゃ、ここまで来れなかった」
「みんながいたから」
「灰色の刃だから」
「ここまで来れた」
全員が微笑んだ。
(ああ)
(俺たちは仲間だ)
(永遠にな)
テレパシーの声が、温かく響く。
ギルドマスターが、報酬を持ってきた。
「ドラゴン討伐の報酬、金貨1000枚だ」
「それと」
ギルドマスターは、もう一つの袋を出した。
「Sランク昇格の祝い金、金貨500枚」
「合計、金貨1500枚だ」
マルクスは受け取った。
「ありがとうございます」
「一人当たり、金貨214枚だな」
仲間たちに分配する。
「今日は、祝おう」
マルクスが言った。
「宿で、盛大に」
全員が頷いた。
「賛成!」
「久しぶりの大宴会だな!」
七人は、ギルドを後にした。
外では、夕日が王都を照らしていた。
「Sランクか...」
マルクスは呟いた。
「前世では、想像もできなかった」
「でも、この世界では成し遂げた」
「全て、この世界のおかげだ」
「そして、仲間のおかげだ」
マルクスは空を見上げた。
「まだまだ、戦いは続く」
「だが、楽しみだ」
「これからも、冒険を続けよう」
「灰色の刃として」
夕日の中、七人は歩いていく。
新たな伝説が、始まろうとしていた。
Sランク冒険者、灰色の刃。
彼らの物語は、永遠に続く。




