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悪い奴を成敗する話  作者: 慈架太子


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13/24

2-8

日曜日。

朝の礼拝が終わった頃。

公爵レオナルドは、教会から豪華な馬車に乗り込んだ。

60歳の老人。白い髭。威厳のある顔つき。

護衛が20人、馬車を囲む。

全員、重装備の騎士だ。

「屋敷へ戻る」

御者が手綱を取る。

馬車が動き出す。


街道の森。

マルクスは、木の上から馬車を見ていた。

(標的、視認)

テレパシーで全員に伝える。

(了解。監視続行)

アリアの声。

(何かあったら、すぐに動く)

ティグリスの声。

マルクスは深呼吸した。

魔力を集中させる。

馬車が、森の中の道を通る。

「今だ」

マルクスはイメージする。

空間という紐。

この木と、馬車の中を結ぶ。

持ち上げて、折り曲げる。

「テレポート」

視界が歪む。

次の瞬間。

マルクスは、馬車の中に立っていた。

公爵レオナルドが、驚いた顔で見上げる。

「な、何者だ!?」

マルクスは手を振った。

「テレキネシス」

公爵の体が、見えない力で押さえつけられる。

動けない。

「お前を、逮捕する」

「ま、待て! 私は公爵だぞ! 王族の血を引く!」

「知っている」

マルクスは冷たく言った。

「だが、お前は罪を犯した」

「密輸、領民虐待、敵国との密約」

「全て、証拠がある」

公爵の顔が青ざめる。

「貴様...『灰色の刃』か...!」

「そうだ」

マルクスは公爵に近づいた。

首筋に手刀を打つ。

公爵が気絶する。

「確保完了」

マルクスは公爵を担いだ。

「テレポート」

視界が歪む。

次の瞬間、森の中に戻っていた。

馬車は、そのまま走り去っていく。

護衛たちは、何が起きたか気づいていない。

(成功した。標的を確保)

(すごい...一瞬でしたね)

アリアの声。

(さすがだな)

ティグリスの声。

マルクスは公爵を地面に下ろした。

「これで、二人目だ」

その瞬間、体に光が満ちた。

キィン!


『レベルアップ!』

『マルクス レベル43 → レベル44』

『HP: 580 → 595』

『MP: 790 → 810』


「1レベル上がった」

公爵という高位の貴族を単独で捕縛。

その経験値は確実にあった。


仲間たちが、集まってくる。

その時、彼らにも光が注いだ。


キィン、キィン...


『ティグリス レベル40 → レベル41』

『ギムリ レベル37 → レベル38』

『ルーナ レベル34 → レベル35』

『アリア レベル41 → レベル42』

『セリア レベル38 → レベル39』

『カミラ レベル32 → レベル33』


(支援でも経験値が入ったな)

ティグリスがテレパシーで言う。


(公爵討伐の価値は高いわね)

カミラの声。


「本当に一瞬だったな」

ティグリスが感心している。

「護衛は、まだ気づいてないぜ」

ギムリが笑った。

「このまま王宮に連れて行くわ」

カミラが馬車を用意している。

公爵を馬車に乗せる。

ロープで縛る。

「では、王宮へ」


王宮の地下牢。

公爵レオナルドは、鉄格子の中で目を覚ました。

「ここは...!?」

マルクスが、格子の外に立っていた。

「王宮の地下牢だ」

「き、貴様...! 私を誰だと思っている!」

公爵が叫ぶ。

「私は王族だぞ! こんな扱いは許されん!」

「王族だからこそ、罪は重い」

マルクスは冷たく答えた。

「民を守るべき立場で、民を虐げた」

「それは、最も重い罪だ」

公爵は震えた。

「な、何を言っている...」

「とぼけるな」

マルクスは書類を見せた。

「お前の全ての罪状だ」

「密輸の記録」

「領民への暴力の証言」

「敵国との密約書」

「全て、証拠がある」

公爵の顔が、絶望に染まる。

「そんな...」

「明日、公開裁判だ」

マルクスは言った。

「民衆の前で、お前の罪が暴かれる」

「そして、処刑される」

「待ってくれ!」

公爵が叫んだ。

「私には、情報がある!」

「他の貴族たちの秘密を知っている!」

「話せば、命だけは...!」

マルクスは考えた。

「...話せ」

「全て話す」

公爵は、必死に話し始めた。

「子爵アーサーは、敵国のスパイだ」

「男爵トーマスは、民衆から金を搾り取っている」

「伯爵ジェームズは、暗殺者を雇っている」

次々と情報が出てくる。

マルクスは全てを記録した。

「他には?」

「それと...」

公爵は声を低くした。

「侯爵ウィリアムが、クーデターを計画している」

マルクスの目が鋭くなった。

「クーデター?」

「ああ...」

公爵は頷いた。

「王を廃して、自分が王になろうとしている」

「兵力は?」

「私兵500人」

「それに、宰相派の貴族たちが協力している」

「いつ実行する?」

「来月...王の誕生日の祝宴の時だ」

マルクスは拳を握った。

「重要な情報だ」

「じゃあ...私は...?」

マルクスは冷たく言った。

「お前の罪は消えない」

「公開裁判で、全てを証言しろ」

「そうすれば、苦痛のない処刑にしてやる」

公爵は絶望した。

「そんな...」

マルクスは背を向けた。

「これが、お前の最期のチャンスだ」

「利用しろ」

牢を出る。

公爵の嗚咽が、背中に響く。


王の私室。

マルクスは、緊急で報告していた。

「侯爵ウィリアムが、クーデターを計画しています」

王の顔が、険しくなる。

「ウィリアムが...」

「来月の誕生日祝宴の時」

「私兵500人で、王宮を襲撃する予定です」

王は立ち上がった。

「なんということだ...」

「ウィリアムは、余の幼馴染だった」

「まさか、裏切るとは...」

王は窓の外を見た。

「マルクス殿」

「はい」

「侯爵ウィリアムを、捕らえよ」

「いや」

王は振り返った。

「始末せよ」

マルクスは驚いた。

「始末...ですか?」

「ああ」

王は真剣な顔で言った。

「クーデターは、未然に防がねばならん」

「ウィリアムを捕らえても、支持者が残る」

「だが、首謀者が死ねば」

「計画は崩壊する」

マルクスは頭を下げた。

「承知しました」

「報酬は、金貨1000枚」

ティグリスが息を呑む音が、テレパシーで聞こえた。

「そして、そなたたちに爵位を与える」

「爵位...ですか?」

「ああ」

王は頷いた。

「そなたを、男爵に叙する」

「これで、正式に貴族の仲間入りだ」

マルクスは驚いた。

「光栄です」

「ただし」

王は厳しく言った。

「侯爵ウィリアムは、強敵だ」

「私兵500人」

「それに、魔法使いも雇っている」

「慎重に動け」

マルクスは決意を固めた。

「必ず、成功させます」

王宮を出ると、仲間たちが待っていた。

「クーデターだって!?」

ティグリスが驚いている。

「しかも私兵500人...」

ギムリも唸っている。

「でも、報酬は1000枚よ」

カミラが微笑んだ。

「それに、爵位までもらえるんですね」

アリアが興奮している。

マルクスは真剣な顔で言った。

「今までで、最も危険な仕事だ」

「侯爵ウィリアムは、本気で王を殺そうとしている」

「俺たちが止めなければ、この国は崩壊する」

全員の表情が引き締まる。

「準備を始めろ」

「侯爵ウィリアムを、始末する」

灰色の刃の、最大の戦いが始まる。



翌日。

マルクスたちは、侯爵ウィリアムの屋敷を遠くから観察していた。

「あれが、侯爵の屋敷か...」

巨大な城のような建物。

高い壁に囲まれ、見張り塔が四つ。

衛兵が常に巡回している。

「まるで要塞だな」

ティグリスが呟いた。

ルーナが双眼鏡で観察する。

「私兵の数は...確認できるだけで100人」

「残りは、屋敷の中か」

ギムリが唸った。

「こんなの、正面から攻めたら全滅だぜ」

「だから、攻めない」

マルクスは答えた。

「侯爵一人を、狙う」

カミラが資料を見ている。

「侯爵ウィリアムは、毎晩11時に就寝します」

「寝室は、屋敷の最上階」

「警備は?」

「寝室の前に、2人」

「廊下に、4人」

「それだけね」

マルクスは頷いた。

「なら、テレポートで侵入する」

「寝室に直接転移して、侯爵を始末する」

「護衛に気づかれる前に、脱出する」

アリアが心配そうに聞いた。

「でも、屋敷には魔法使いがいるんですよね?」

「ああ」

マルクスは答えた。

「公爵レオナルドの情報では、3人いる」

「魔法防御が張られている可能性がある」

「だから、まず偵察する」

マルクスは立ち上がった。

「今夜、俺一人で屋敷に侵入する」

「魔法防御の有無を確認する」

「そして、侯爵の寝室の位置を特定する」

「明日の夜、本番だ」

全員が頷いた。


深夜。

マルクスは、屋敷から500メートル離れた場所に立っていた。

黒い服に身を包み、闇に溶け込んでいる。

(これから偵察に入る)

テレパシーで全員に伝える。

(気をつけてください)

アリアの声。

(何かあったら、すぐに連絡しろ)

ティグリスの声。

マルクスは魔力を集中させた。

まず、短距離のテレポート。

屋敷の外壁の内側へ。

「テレポート」

視界が歪む。

次の瞬間、庭に立っていた。

「魔法防御は...ない?」

マルクスは周囲を確認する。

魔力探知の魔法を使う。

「やはり、魔法防御は張られていない」

「侯爵は、魔法を信用していないのか」

衛兵が巡回している。

マルクスは影に隠れた。

衛兵が通り過ぎる。

「よし」

次は、建物の中へ。

窓から、一階の廊下をのぞく。

明かりが消えている。

「テレポート」

廊下に転移する。

静寂。

誰もいない。

マルクスは階段を上がった。

二階、三階。

最上階に到着する。

廊下の奥に、豪華な扉。

衛兵が二人、立っている。

「あれが、寝室か」

マルクスは扉の位置を記憶した。

部屋の大きさ、窓の位置。

「明日、ここに転移する」

マルクスは撤退することにした。

「テレポート」

視界が歪む。

庭に戻る。

そして、外壁の外へ。

「テレポート」

元の場所に戻った。

(偵察完了。魔法防御はなし。寝室の位置を特定した)

(よくやった)

ティグリスの声。

(明日、実行する)

マルクスは宿に戻った。


翌日の夜。

全員が、屋敷から少し離れた場所に集まっていた。

「今夜、侯爵ウィリアムを始末する」

マルクスは最終確認をした。

「俺が、寝室にテレポートする」

「侯爵を、テレキネシスで殺す」

「所要時間は、10秒」

「そして、すぐに脱出する」

ティグリスが聞いた。

「もし失敗したら?」

「失敗しない」

マルクスは断言した。

「だが、万が一の時は」

「お前たちが、屋敷に突入しろ」

「俺を助け出せ」

全員が頷いた。

「では、行く」

マルクスは深呼吸した。

魔力を集中させる。

時刻は、午前0時。

侯爵は、すでに就寝しているはずだ。

「空間という紐を、イメージする」

この場所と、侯爵の寝室を結ぶ。

持ち上げて、折り曲げる。

「テレポート」

視界が歪む。

次の瞬間。

マルクスは、豪華な寝室に立っていた。

大きなベッド。

金の装飾。

高価な絨毯。

そして、ベッドに横たわる男。

侯爵ウィリアム。

マルクスは手を前に出した。

魔力を込める。

侯爵の首に、魔力を巻きつける。

「テレキネシス」

目に見えない力が、首を捕らえる。

そして、ねじった。

グキッ。

骨が砕ける音。

侯爵の体が、痙攣する。

そして、動かなくなる。

「終わった」


その瞬間、体に強烈な光が満ちた。

キィィィン!


『レベルアップ!』

『マルクス レベル44 → レベル47』

『HP: 595 → 640』

『MP: 810 → 870』

『筋力: 100 → 110』

『魔力: 160 → 175』


「3レベル...!」

マルクスは驚いた。

侯爵ウィリアム。クーデターの首謀者。

私兵500人を持つ王国最大級の反逆者。

その討伐経験値は、宰相に匹敵するほどだった。


キィン、キィン!


『新スキル習得!』

『テレポートLv4 習得!』

『テレキネシスLv4 習得!』

『暗殺術Lv1 習得!』


「力が...さらに増した」


マルクスは冷静に確認する。

脈がない。

呼吸もない。

「死んだ」


その時。

扉が開いた。

「侯爵様、物音が...」

衛兵が入ってくる。

そして、マルクスを見た。

「侵入者だ!」

マルクスは舌打ちした。

「まずい」

衛兵が剣を抜く。

「テレポート」

視界が歪む。

次の瞬間、元の場所に戻っていた。

(任務完了。侯爵は死んだ。だが、見つかった)

(了解。撤退するぞ!)

全員が走り出す。

遠くで、警報の音が鳴り響く。

「侵入者だ!」

「侯爵様が殺された!」

屋敷が、騒然となる。

だが、マルクスたちはすでに遠く離れていた。


宿に戻ると、マルクスは報告をまとめた。

「侯爵ウィリアム、始末完了」

「クーデター計画は、崩壊した」

ティグリスが安堵の息を吐いた。

「よくやったな」

「でも、見つかったんだろ?」

ギムリが心配している。

「ああ。衛兵に顔を見られた」

カミラが考え込んでいる。

「侯爵の私兵たちが、復讐に来るかもしれないわね」

「来るなら、来い」

マルクスは冷たく言った。

「全員、叩き潰す」

アリアが心配そうだ。

「でも、500人ですよ...」

「大丈夫だ」

マルクスは微笑んだ。

「俺たちには、魔法がある」

「テレポート、テレキネシス、テレパシー」

「それに、何より」

マルクスは仲間たちを見渡した。

「お前たちがいる」

全員が微笑んだ。

(ああ)

(当然だ)

(仲間だからな)

テレパシーの声が、温かく響く。

マルクスは窓の外を見た。

「クーデターは防いだ」

「だが、まだ終わっていない」

「宰相派の貴族が、まだ10人残っている」

「全員、狩り尽くす」

灰色の刃の戦いは、続く。


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