2-5
午後。
マルクスたちは宿の一室に集まっていた。
「商人ダリウスの死因は、転倒による首の骨折」
カミラが街で集めた情報を報告する。
「騎士団は、事故として処理するつもりよ」
「完璧だな」
ティグリスが笑った。
「誰も暗殺だとは思っていない」
ギムリが酒を飲みながら言った。
「それにしても、テレポートとテレキネシスか」
「魔法だけで人を殺すなんてな」
「痕跡が残らない」
ルーナが弓を磨きながら言う。
「凶器もない、血も流れない」
「完全犯罪ね」
セリアは複雑な表情をしていた。
「私たち...また人を殺しましたね」
「ああ」
マルクスは頷いた。
「だが、後悔はない」
「ダリウスは騎士団長と癒着し、違法取引をしていた」
「民衆から金を搾り取り、私腹を肥やしていた」
「そんな奴は、生きている資格がない」
その時、ドアがノックされた。
全員が警戒する。
「誰だ?」
「私です」
聞き覚えのある声。
王女アリシアだ。
マルクスは扉を開けた。
アリシアが、またも変装して入ってくる。
「お疲れ様です、マルクス様」
「情報が早いですね」
「ええ。宮廷にも、すぐに報告が入りました」
アリシアは微笑んだ。
「商人ダリウス、転倒事故死」
「見事です」
アリシアは懐から、書類を取り出した。
「これは、ダリウスの財産目録です」
「彼の屋敷と倉庫を調査しました」
「そこには、違法な品々が大量にありました」
「盗品、密輸品、禁制品...」
「これで、ダリウスの悪事が明るみに出ます」
マルクスは書類を受け取った。
「これを、公表するんですか?」
「はい。父上の命令で」
アリシアは真剣な顔で言った。
「騎士団長とダリウスの癒着」
「その証拠を、王国中に広めます」
「腐敗した者たちへの警告です」
アリシアは全員を見渡した。
「そして、皆様への新しい依頼です」
「次の標的、ですか?」
「はい」
アリシアは地図を広げた。
「貴族フェルディナンド」
「彼もまた、騎士団長と繋がっていました」
地図に印がつけられている。
王都の貴族街。
「フェルディナンドは、領民を虐げています」
「過酷な税を課し、反抗する者は投獄する」
「さらに、若い娘を屋敷に連れ込み...」
アリシアの声が震える。
「許せません」
マルクスは地図を見つめた。
「報酬は?」
「金貨150枚」
「それと、Bランクへの昇格推薦状」
ティグリスが口笛を吹いた。
「Bランクか。いいな」
「受けます」
マルクスは即答した。
「ただし、条件があります」
「何でしょう?」
「フェルディナンドの屋敷に囚われている娘たちを、全員救出します」
アリシアの目が輝いた。
「ありがとうございます」
「それと、もう一つ」
マルクスは続けた。
「フェルディナンドの死は、事故に見せかけます」
「暗殺だと気づかれないように」
「お任せします」
アリシアは頷いた。
「実行日は?」
「一週間後」
マルクスは答えた。
「まず、フェルディナンドの屋敷を調査します」
「警備、配置、娘たちの居場所」
「全てを把握してから、動きます」
「わかりました」
アリシアは立ち上がった。
「では、詳細な情報は後日お渡しします」
「期待しています、マルクス様」
アリシアが去った後。
マルクスは仲間たちを見た。
「新しい仕事だ」
「貴族の暗殺か」
ティグリスが剣を撫でる。
「今度は、人質救出もあるのね」
ルーナが言った。
「ああ。だから、慎重に計画する」
マルクスは地図を広げた。
「一週間で、完璧な作戦を立てる」
「テレポート、テレキネシス、テレパシー」
「全ての魔法を駆使する」
「そして、貴族フェルディナンドを」
「誰にも気づかれずに、始末する」
全員が頷いた。
(了解)
テレパシーで、全員の声が響く。
マルクスは窓の外を見た。
王都の貴族街。
あそこに、次の標的がいる。
「前世では、貴族や権力者に逆らえなかった」
「でも、この世界では違う」
「俺たちは、灰色の成敗人」
「悪人を、容赦なく狩る」
「貴族だろうと、騎士だろうと、商人だろうと」
「悪事を働く者は、全て裁く」
マルクスは決意を新たにした。
次の戦いが、始まる。
翌日から、マルクスたちは貴族フェルディナンドの調査を始めた。
カミラが最初に動いた。
貴族街の社交界に潜入する。
華やかなドレスを着て、舞踏会に紛れ込む。
貴族たちの会話に耳を傾ける。
「フェルディナンド様は、最近ご機嫌斜めらしいわ」
「また新しい娘を、屋敷に連れ込んだそうよ」
貴婦人たちが、ひそひそと噂する。
カミラは笑顔で相槌を打ちながら、情報を集めた。
ルーナは、屋敷の周辺を偵察していた。
屋根の上から、双眼鏡で観察する。
「警備は...12人」
「交代は6時間ごと」
屋敷の構造も記憶する。
三階建て。東棟と西棟に分かれている。
「娘たちは、おそらく西棟の地下だな」
ルーナは地図に書き込んでいく。
ギムリは、屋敷に出入りする商人に接触した。
酒場で、わざと隣に座る。
「なあ、フェルディナンド様の屋敷って、どんな感じだ?」
「ああ、あそこか」
商人が酒を飲みながら答える。
「立派な屋敷だが...気味が悪い」
「地下から、時々悲鳴が聞こえるんだ」
ギムリは拳を握りしめた。
「悲鳴...?」
「ああ。若い娘の声だ」
「何をしてるのか、知らないが...」
ギムリは情報を記録した。
三日後。
全員が宿に集まった。
「情報を共有する」
マルクスが言った。
カミラが報告する。
「フェルディナンドは、毎週土曜日に舞踏会を開きます」
「その日は、警備が手薄になります」
「次は?」
ルーナが地図を広げた。
「屋敷の配置図です」
「娘たちは、西棟の地下に監禁されています」
「人数は?」
「少なくとも5人」
ルーナが答えた。
ギムリが続けた。
「地下には、鉄格子の牢屋があるそうだ」
「鍵は、フェルディナンドが持ってる」
マルクスは情報を整理した。
「土曜日の夜、舞踏会の最中に実行する」
「まず、俺がテレポートで屋敷に侵入」
「フェルディナンドを始末し、鍵を奪う」
「次に、地下へ移動して娘たちを救出」
「その間、お前たちは外で待機」
ティグリスが聞いた。
「一人で大丈夫か?」
「テレポートとテレキネシスがある」
マルクスは答えた。
「姿を見せず、音も立てず、敵を倒せる」
「それに、テレパシーでお前たちと常に連絡が取れる」
「もし何かあったら、すぐに助けを呼ぶ」
アリアが心配そうに言った。
「でも、貴族の屋敷は魔法防御があるかもしれません」
「確認済みだ」
マルクスは資料を見せた。
「カミラが、フェルディナンドの執事から聞き出した」
「屋敷に魔法防御はない」
「フェルディナンド自身も、魔法使いじゃない」
「つまり、俺の魔法は効く」
セリアが祈るように手を組んだ。
「娘たちを、必ず救ってくださいね」
「約束する」
マルクスは立ち上がった。
「あと三日」
「各自、準備を進めろ」
「救出用の馬車を用意しろ」
「娘たちを、安全な場所に運ぶ」
ギムリが頷いた。
「任せろ。知り合いの商人に頼む」
「それと、娘たちのケア」
マルクスはセリアを見た。
「お前が担当だ」
「回復魔法と、精神的なケアを頼む」
「はい」
セリアが答えた。
「では、散会」
全員が部屋を出ていく。
一人残ったマルクスは、フェルディナンドの肖像画を見つめた。
傲慢な顔。
太った体。
欲望に満ちた目。
「お前のような奴が、一番許せない」
マルクスは拳を握った。
「弱者を食い物にする権力者」
「前世でも、この世界でも、変わらない」
「だが、俺は変わった」
「今の俺には、力がある」
「魔法と、知識と、仲間」
「全てを使って、お前を裁く」
マルクスは窓の外を見た。
貴族街の豪華な屋敷が見える。
「土曜日」
「お前の最期の日だ」
「覚悟しろ、フェルディナンド」
夜風が、マルクスの決意を運んでいく。
あと三日。
灰色の成敗人の、次なる狩りが始まる。
土曜日。
夜が訪れる。
フェルディナンドの屋敷では、華やかな舞踏会が開かれていた。
貴族たちが集い、音楽が流れ、笑い声が響く。
マルクスは、屋敷から少し離れた路地に立っていた。
黒い服に身を包み、闇に溶け込んでいる。
(全員、配置についたか?)
マルクスがテレパシーで問いかける。
(ティグリス、東門で待機中)
(ルーナ、屋根の上から監視してる)
(ギムリ、馬車を用意した。いつでも行ける)
(カミラ、舞踏会に潜入済み。フェルディナンドを視認)
(セリア、待機場所で準備完了)
(アリア、マルクスさんの後方で待機しています)
全員の声が、次々と響く。
(よし。これから侵入する)
マルクスは深呼吸した。
魔力を集中させる。
屋敷の三階、フェルディナンドの私室。
カミラが事前に確認した場所だ。
空間という紐をイメージする。
この路地と、あの部屋を結ぶ。
持ち上げて、折り曲げる。
「テレポート」
視界が歪む。
次の瞬間。
マルクスは、豪華な部屋に立っていた。
金の装飾。高価な絨毯。巨大なベッド。
「成金趣味だな」
(侵入成功。フェルディナンドの私室にいる)
(了解。フェルディナンドは、まだ舞踏会にいます)
カミラの声。
(どれくらいで戻る?)
(あと30分ほどで、一旦部屋に戻ると思います)
(わかった。待機する)
マルクスは部屋の隅に身を隠した。
カーテンの影。
そして、待つ。
20分後。
廊下から、足音が聞こえた。
重い足音。酔った笑い声。
「ふふふ...今夜も、楽しい夜だった」
扉が開く。
太った男が入ってくる。
貴族フェルディナンド。
使用人が一人、ついてくる。
「酒を持ってこい」
「はい、すぐに」
使用人が部屋を出る。
フェルディナンドは、一人になった。
ベッドに腰掛け、靴を脱ぐ。
マルクスは、影から見ている。
(標的、単独。実行する)
(了解。気をつけて)
アリアの声。
マルクスは手を前に出した。
魔力を集中させる。
フェルディナンドの首。
そこに、魔力を巻きつける。
「テレキネシス」
目に見えない力が、フェルディナンドの首を捕らえる。
「な、何だ!?」
フェルディナンドが驚く。
首に手を当てる。
だが、遅い。
マルクスは手首を、ねじった。
グキッ。
骨が砕ける音。
フェルディナンドの体が、ベッドに倒れる。
痙攣が止まる。
「終わった」
ルクスは影から出た。
その瞬間、体に温かい光が満ちた。
キィン。
『レベルアップ!』
『マルクス レベル36 → レベル38』
『HP: 475 → 505』
『MP: 650 → 690』
「2レベル上がった...!」
マルクスは驚いた。
貴族という高位の存在を単独で討伐した経験値は、予想以上に大きい。
フェルディナンドに近づく。
脈を確認する。
無い。
「死んだ」
マルクスは影から出た。
フェルディナンドに近づく。
脈を確認する。
無い。
「死んだ」
ポケットを探る。
鍵の束を見つけた。
「これが、地下牢の鍵か」
(標的、沈黙。鍵を入手した。これから地下へ向かう)
(了解!)
マルクスは扉を開けた。
廊下を確認する。
誰もいない。
足音を殺して、階段へ向かう。
一階、そして地下への階段。
薄暗い廊下。
松明の光だけが、闇を照らす。
突き当たりに、鉄格子の扉。
マルクスは鍵を開けた。
ギィ...
扉が開く。
中には、狭い牢屋がいくつも並んでいる。
そして、若い娘たちが、怯えた目でマルクスを見ていた。
「誰...?」
「助けに来た」
マルクスは静かに言った。
「もう大丈夫だ」
娘たちの目に、涙が浮かぶ。
「本当に...?」
「ああ。お前たちを、ここから出す」
マルクスは牢屋の鍵を次々と開けていく。
五人の娘たち。
皆、衰弱している。
「立てるか?」
「はい...なんとか...」
(娘たちを保護した。これから脱出する)
(了解。馬車を正門前に移動させる)
ギムリの声。
(警備は、こちらで引き付ける)
ティグリスの声。
マルクスは娘たちを連れて、階段を上がった。
一階の廊下。
舞踏会の音楽が、まだ聞こえる。
「静かに、ついてこい」
裏口へ向かう。
その時、使用人が現れた。
「誰だ、お前!?」
マルクスは手を振った。
「テレキネシス」
使用人の体が、壁に叩きつけられる。
気絶する。
「急げ」
裏口を開ける。
外に出る。
(脱出した。ギムリ、位置は?)
(正門前だ。すぐに来い!)
マルクスは娘たちを連れて、走った。
正門に、馬車が待っている。
ギムリが手を振っている。
「乗れ!」
娘たちを馬車に乗せる。
その時、屋敷から悲鳴が聞こえた。
「フェルディナンド様が死んでいる!」
「侵入者だ!」
警備兵が走ってくる。
「行け、ギムリ!」
馬車が走り出す。
マルクスは、追ってくる警備兵を見た。
(全員、撤退しろ!)
(了解!)
マルクスは魔力を込めた。
「テレポート」
視界が歪む。
次の瞬間、マルクスは宿の前に立っていた。
(全員、無事か?)
(ああ、問題ない)
(こっちも大丈夫)
(娘たちは、安全な場所に運んだ)
マルクスは深呼吸した。
「成功だ」
貴族フェルディナンド、死亡。
娘たち、救出。
完璧な作戦だった。
その時、他のメンバーにも光が注いだ。
キィィィン、キィィィン、キィィィン...
『ティグリス レベル33 → レベル35』
『ルーナ レベル27 → レベル29』
『ギムリ レベル30 → レベル32』
『カミラ レベル25 → レベル27』
『セリア レベル31 → レベル33』
『アリア レベル34 → レベル36』
(みんな、レベルが上がったな)
マルクスがテレパシーで言う。
(2レベルも上がった!)
ティグリスの声。
(貴族討伐の経験値、すごいわね)
カミラの声。
(これで、もっと強くなれます)
アリアの声。
貴族フェルディナンド討伐。
人質5人救出。
高難度任務の完遂による、大量経験値だった。
翌朝。
王都中が、衝撃のニュースに揺れていた。
「貴族フェルディナンドが急死!」
「首の骨折による事故死!」
「屋敷から、監禁されていた娘たちが救出された!」
街の人々が、噂話をしている。
マルクスは食堂で、新聞を読んでいた。
『貴族フェルディナンド急死の謎』
『地下牢から5名の女性を救出』
『騎士団、事故と侵入事件の両面で捜査』
「事故死、か」
マルクスは冷静に読み進める。
「だが、侵入者については捜査中、か」
アリアが隣に座った。
「大丈夫でしょうか...」
「問題ない」
マルクスは答えた。
「テレポートで侵入し、テレポートで脱出した」
「目撃者はいない」
「使用人を気絶させましたが...」
「あいつは、俺の顔を見ていない」
「暗かったし、一瞬だった」
その時、宿の扉が開いた。
黒いローブの女性。
王女アリシアだ。
マルクスは立ち上がり、個室に案内した。
「お疲れ様です、マルクス様」
アリシアはローブを外した。
「見事な仕事でした」
「娘たちは?」
「教会で保護しています」
アリシアは微笑んだ。
「セリア様が、献身的にケアしてくださっています」
「皆、徐々に回復しているそうです」
「それは良かった」
アリシアは書類を取り出した。
「これが、報酬の金貨150枚です」
重い袋を渡す。
「そして、これが」
もう一つの書類。
「Bランク冒険者への昇格推薦状です」
「明日、ギルドで正式に認定されます」
マルクスは受け取った。
「ありがとうございます」
「いえ、こちらこそ」
アリシアは深々と頭を下げた。
「あなた方のおかげで、王都の腐敗が一つずつ取り除かれています」
「騎士団長、商人ダリウス、貴族フェルディナンド」
「三人とも、民衆を苦しめていた悪人です」
「父上も、大変喜んでおられます」
「王も、ですか」
「はい」
アリシアは真剣な顔になった。
「実は、父上があなたにお会いになりたいと」
マルクスは少し驚いた。
「王が、直接?」
「はい。来週、宮廷にお越しいただけますか?」
「...わかりました」
「ありがとうございます」
アリシアは立ち上がった。
「それでは、詳細は後日」
「お待ちしています」
アリシアが去った後。
マルクスは金貨の袋を見つめた。
「Bランクか...」
「そして、王との謁見」
アリアが不安そうに言った。
「大丈夫でしょうか...王宮は危険では...」
「いや、逆だ」
マルクスは答えた。
「王が俺たちを認めたということは」
「公式に、悪人退治を依頼されるということだ」
「つまり?」
「俺たちの行動が、正当化される」
マルクスは微笑んだ。
「今までは、闇に隠れて動いていた」
「だが、これからは違う」
「王の密命として、悪人を狩れる」
アリアは理解した。
「なるほど...それなら安全ですね」
「ああ。むしろ、好都合だ」
マルクスは立ち上がった。
「全員を集めろ」
「報告会だ」
午後。
全員が集まった。
「Bランク昇格、おめでとう」
ティグリスが拍手した。
「ありがとう」
マルクスは金貨の袋を机に置いた。
「報酬は、全員で分ける」
「一人、金貨25枚だ」
「マジか!」
ギムリが目を輝かせた。
「俺、こんな大金初めて見たぜ!」
ルーナも笑顔だ。
「これで、新しい装備が買えるわ」
「好きに使え」
マルクスは言った。
「ただし、武器と防具の強化を優先しろ」
「次の仕事は、もっと危険になる」
カミラが聞いた。
「次の仕事?」
「ああ」
マルクスは頷いた。
「来週、王との謁見がある」
「おそらく、新しい依頼が来る」
「王直々の依頼か」
ティグリスが興奮している。
「報酬も、もっと高くなるな」
「その可能性は高い」
マルクスは答えた。
「だが、危険度も上がる」
「王が直接依頼するということは」
「それだけ重要な、そして困難な仕事だということだ」
全員の表情が引き締まる。
「準備を怠るな」
マルクスは命じた。
「装備を整え、魔法を磨け」
「テレポート、テレキネシス、テレパシー」
「全員、完璧に使いこなせるようにしろ」
(了解!)
全員の声が、テレパシーで響く。
マルクスは窓の外を見た。
王宮が、遠くに見える。
「いよいよ、本格的に動き出すか」
前世では、ただのサラリーマンだった。
権力者に逆らえず、理不尽に屈していた。
だが、今は違う。
「俺たちは、王に認められた」
「公式に、悪を狩る者として」
「これからが、本当の戦いだ」
マルクスは決意を新たにした。
灰色の成敗人。
その名が、王都に広がり始めている。




