希望こそは
「希望」より、「失望」「絶望」のほうが好きなことばかも(笑)
黴臭い空にひろげたのは 錆の浮いた翼
霜を降る太陽が
睨みを利かせていようとも
薄笑いに歪んでいようとも
地平線の遠さは変わらないさ
あの向こうに見切れた景色が
廃墟の名に恥じなく荒んだ
人間の営みが遺す骸だとしたら
希望こそは失望の種火だけれど
僕らがそれを掌で包み込んできた歳月で
築き上げ培われたものがあるだろう
たとえ救いがなくたって
たとえ報われなくたって
霧深い森を駆けてくのは 蹄の欠けた脚
弓を引く焦燥が
小指を折り曲げてようとも
両の手とも余らせてようとも
回転燈は廻り続けるのか
この頭上を塞ぐ雲のうえ
空虚の名に違わぬ更地が
人間の憧れを宿す方舟としたら
希望こそは絶望の苗木だけれど
僕らがそれに水をやり枝を継いできた歳月に
膜を張り育まれたものがあるはずだ
だから慰めないでくれ
だから憐れまないでくれ