4話 生活基盤は学会の為
ギルドのテーブルで少し休むことにした。
「弘原海、これ返すね!」
と言って、天鼠はカードを返してきた
そして、天鼠は改まった様に聞いてきた。
「弘原海、念の為聞いておくけど...魔王に喧嘩売らないよね?」
「やられたらやり返すけどね。魔王だから殺すみたいな事はしないけど...」
そう言うと天鼠は一息ついた。
「なら良かった。最近そこら辺の国が勇者とか言って強力な人物を魔王と戦わせようとしてるんだよね。」
「それって魔王がそこら辺の国を滅ぼそうとしてるからじゃなくて?」
一応聞いてみた。
「それは無いね。どこも魔王に因縁とかは無いし、一応商売相手だよ?」
天鼠は不思議そうに言った。
「じゃあさっき言ってた幹部とやらがなんかやってるとか?」
「ん〜...どうだろうね?」
「...なんかやけに含みのある言い方だけど...それってどう言う意味で...」
「え?いや、普通にそのままの意味で。」
そのままの意味だった。
「なんか紛らわしい!」
「そんな事言われても...まぁとりあえず君は国の相手にはされなそうだからね。一安心。」
そう言って、天鼠は伸びた。
「もしかしてそれを調べるために?」
「御名答!姉貴が「転移者がいるっぽいから安全確保とスキル調べてヤバそうなら戻ってきな」と...」
思ったよりも優しそうな姉貴さんだな...
「それで、天鼠は戻るの?」
「いや、私は幹部とかじゃないから。暇つぶしにお供してあげよう!」
自身ありげにそう言った。
「他の転移者はいいの?」
「いや、もう1人見に行ったんだよ?そして魔王の妹とか言った瞬間薙刀構えてきたんだよ!?」
「薙刀あるの!?」
「そこかよ!」
まさか異世界に薙刀が...いや、転移者だからか。
「と言うか弘原海はこれからどうするの?」
と、天鼠は聞いてきた。
俺は少し考えたが、考える以前に決まっていた。
「ん〜モンスターの研究とかしたいかな?」
天鼠は不思議そうな顔で
「モンスターの研究?弱点とかってこと?」
と聞いてきた。
「いやいや、もっと専門的なことだよ。」
「...例えば?」
「どうやって巨鳥があの変なエネルギーを生み出してるのか?とか、どんなモンスターが何を食べてどうやって生きてるのか?とか、そういう感じのこと。」
天鼠は少し考えていた。
「何と言うか、独特だね...だったら学会とか行ってみる?」
「そんなのあるの!?」
「まぁね。締め切りは明日、開催は4日後だけど...間に合いそう?」
と、天鼠は言った。
締め切り長っ!
研究に1日、資料の作成に1日、発表準備に1日。
「4日か...まぁ頑張れば。」
「一応言っておくけど、お偉いさん達はあんま敵に回さないほうがいいよ?」
「そりゃ出来るだけ気をつけるよ。とりあえず今日は宿でも取って準備だね!」
そう言うと、天鼠は申し訳なさそうな顔で
「多分宿まで歩いて数時間かかるし...またグールに出会うかもよ?と言うか出会うと思う。」
「野宿ってこと?」
天鼠に聞いた。
「いや、夜の外は人間の行くところじゃない。」
「そう言うことなら泊めてやらんこともないが...どうする?」
後ろから声がした。
振り返るとそこには緑髪の男が立っていた。
「いいんですか?」
「学会だろ?俺の甥っ子が学者でな。どうも君達と似たようなところがある様でな...」
「助かります!」
「申し遅れた。マギア・ワインと言う者だ。」
彼はそう名乗った。
「弘原海銀!一応転移者です!」
「魔王の妹、彩裕天鼠で〜す!」
「...それは驚いたな...」
マギアさんは驚いた様な表情をしていたが、すぐに笑った。
道中、マンダランカルとか言う腕に鎌のついた種族に出会った。話によれば人を食べるそうだが、深追いしてくるようなことはなかった。
10分程して、マギアさんの家に着いた。
「クラウス〜!客人連れて帰ってきたぞ〜!」
ドアを開けたマギアさんはそう叫んだ。
「お邪魔しま〜す...」
すると正面の階段から大きな音がして、緑髪でツインテールの少女が降りてきた。
「あれ、客人ってレインさんじゃないの?」
クラウスさんは少し驚いていた。
「この人も学会に出るらしいんだが、時間がないらしくてな。連れてきた。」
平然と語るマギアさんにクラウスさんは
「なんで!なんでそうなった!」
と言っていた。
「転移者だから帰る家が無いらしい。」
「いや、転移者がいきなり学会って...」
「弘原海 銀です!前の世界でいくつか論文出してたので多分何とかなりますよ!」
クラウスさんは不安そうに聞いてきた
「それはえっと、魔獣の弱点とか...そういう感じのですかね...?」
「いや、トミヨって言う魚についてです!」
クラウスは少し疑問を持っているようだった。
「魚ですか...?えっと、今回発表するのは...」
「いや、転移したばっかりの頃に襲ってきた鳥についてです!」
クラウスさんは不思議そうに
「...鳥って、どの?」
と聞いてきた。
「隣にいる天鼠ちゃん曰く害鳥らしいです!」
「違うから!多分そんなのじゃないから!」
その会話を聞いてクラウスさんは
「後で本を貸してあげるので調べておいてくださいね?」
と言って、その場を後にした。
まず、スケッチの為に紙が必要である。
「あの〜やっぱりここだと紙って貴重なんですかね?」
と、マギアさんに聞いた。
「いや、近くに巨木林があるから紙なんていくらでもあるぞ。使うか?」
「勿論!」
マギアさんは少し嬉しそうだった。
まずはスケッチ。
あのインパクトしか無い鳥の姿は鮮明に覚えている。いや、そもそも鳥なのか?
間近で観察したい...生体サンプルだけではなく、できれば生体そのものが必要になりそうだ...多分。
「マギアさん、ペット捕まえたら連れてきてもいいですかね?」
「勿論!どんなペットだろうが俺も面倒見てやるから、大船にでも乗った気持ちで好きなだけ取ってこい!」
おそらくあんなヤツを連れてくるとは思っていないだろうが、危害が及ばないと判断しない限り家の中に入れたりはしないので大丈夫だろう...
あれから少ししてスケッチを描いていると。
「弘原海さん...?ご飯らしいですよ。」
「分かった!あ、クラウスさんはペットとか大丈夫ですかいな?」
クラウスさんは嬉しそうな顔をして
「...連れてくるんですか?小動物でもモンスターでも大歓迎ですよ...!」
夕飯の謎の肉とめっちゃ美味しいパンを食べながら思った。
本まだかな...
読書感謝。次回読勧、面白本印頼。
龠:えっこれやくってじなのすご
訳:よんでくれてありがとう。次回もよんでね。面白かったらブクマつけて。




