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異世界生物録  作者: 邪神ネコザメ
0章 異常世界の始まりに
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1話 始まりの咆哮

『グォッグッ、ヴォッヴオォォォォ!!!』


晴れた渡った空の下、突然として鳴り響いたその咆哮は、木々を揺らした。


その山にいた人は1人だけ、彼以外は誰も居ない。勿論彼はその恐ろしく凶器的な咆哮を聞いていた。

弘原海 銀。銀髪の生物オタクである。



「一体、何をどうしたら散歩している一般人が、あんな咆哮聞く事になるのかね...」

少しの不安とそこそこの期待が顔に出ている。

明らかにヤバそうな咆哮を追って死にかけるか、

何も分からずただ逃げるか、


———彼の出した答えは



「こんなチャンス、行くしか無いな!」

死ぬかもしれないと分かっていながらも、生物学者を目指していた者としてどうしてもこの貴重すぎる機会を逃すわけにはいかなかった...。



何かいるかも分からずに、その咆哮の主を探すためだけに山の奥へと進んで行く。渓流近くのセンダングサ(くっつき虫)の茂みをかき分け、咆哮のした方に歩いて行くと、森の奥から アイツ は現れた...。


「——何なんだよあの生物は...」


木々の間を堂々と歩き、姿を現した生物は、信じられない様な物だった。全長10mはありそうな巨体には黄色い羽毛が。1本の鉤爪を持つアリクイの様な大きな腕には一切柔らかさを感じない飾り羽が生えていた。顔には2本の小さな角と、牙がむき出しの裂けた口、おどろおどろしい様に思える朱い眼を持っている。


——猛獣なんてレベルじゃない。

まさかこんな奴だとは思わなかった。

明らかにこちらを狙っている。

「流石にヤバいな...」

生憎、猟友会で愛用している上下二連の散弾銃は今は持っていない。いや、撃ったとしても助からない。とにかく、背を向けて逃げないようにしなければ...


そう思っていた。

俺が中々立ち退かないのを見て、咆哮の主は威嚇したのだ。別に、腕を広げるくらいならなんとも無い。

しかし、そんな威嚇な訳は無く、咆哮の主は立ち上がった。


『ヴオオォォォォォォォォッッッ!!!!!』


大音量の咆哮を間近で喰らい、鼓膜が完全に破壊された。音というより衝撃波に近いその咆哮は一瞬にして骨を砕いた。


「ヤバい...死ぬ...助からない...」

そりゃ勿論生物好きとしてはそこら辺の一般殺人鬼に殺されるよりはよっぽどマシな死に方である。だがしかし、そもそもの話絶対に死にたくはない。


そんな事を思っていると、咆哮の主が近づいてきた。鼓膜が破れていても、その咆哮は体に伝わる振動ではっきり分かる...。


暗くモザイクのかかった視界を上書きするように、今までの記憶が浮かび上がっている。

走馬灯。人が死に際に助かろうとして過去の記憶をヒントにし、助かろうとする物だ。

無論。この死が確定した状況下では無意味である。


走馬灯の中、俺は最後に一言だけ言ってやった。

「破天荒...嫌いじゃないぞ...」

視界は黒く、意識は薄く遠のいていった。







目を覚ました。

「えっと...え?」

目の前には緑豊かな針葉樹林が広がっている。

三途の川でも雲の上でも土の中でもない。

突然の事に思わず目を疑ったが、それだけではなかった。傷が全て回復...いや、始めから無かったことのようになっているのだ。


「いや何処!?まってここからサバイバルですか?やだよ?いくらなんでもそれはやだよ?」

言ったところで何も変わらない。


辺りは聞いたことのない鳥の鳴き声で溢れかえっている。とりあえず、このまま騒いでいてもまたあの破天荒みたいな奴らに殺されるかもしれないので、出来るだけ警戒して歩いて行くことにした。かなり傾斜があるので、おそらく山だろう。このまま下っていくことにする。


光はそこそこ入ってくるが、地面はやはり薄暗い。

また、地面や幹にいる昆虫が、かなり巨大である。酸素濃度が高いのだろうか?考えてみればやけに体が軽い気もする。


そんな事を考えていると上から1枚の羽が落ちてきた。何かが羽ばたく音がする。


上を見ると、そこには巨大な鳥がいた。


『カーグッグルルッ!』

突然、その巨鳥はこちら側に突っ込んできた。

「あっぶね!」

間一髪避けるも、狙いはまだ変わっていない。

今回は逃げることにする。


巨鳥の頭の後ろ側には何かを掴むような形をした角が5本生えている。また、脚は短いが翼には爪が生えていて、尾羽の代わりに尾が生えている。


体の向きをこちらへ向けると、その尾は木をなぎ倒した。力は相当なものである。翼開長はおそらく5〜6m程である。その分力が強いのだろうか?

頭を大きく後ろへ引き、こちらへ向かってクチバシを思いっきり叩きつけた。逃げているため当たらない。

何回かやって当たらないと分かったのか、攻撃は一旦まった。


そして、頭の後ろ側にある5本角を広げた。


すると、それぞれの角の先には紫黒色の霧の様な物が発生した。薄紫の小さな電を纏っているように見える...。

巨鳥は頭を持ち上げると、角を一斉に閉じ、霧は禍々しいエネルギーの球体に変化した。

『グルッグッグッグッグッ、ガーーッ!!』


巨鳥は体から紫色の霧を発生させてこちらへ迫ってきた。

「待って何か速くなってない!?」

明らかに速い。

俺に追いつくと再び先程と同じ様にクチバシを叩きつけた。しかし、先程より明らかに動作が速く、叩きつけた場所から薄紫の小さな雷が散っている。木の裏へ逃げ込んでも簡単に木を折ってしまう。

それに加えて、こちらの動きは鈍ってる気がする。



「そろそろ疲れてきた...」

数十回も避けていると、流石に疲れ切ってしまう

どうにかして奴に攻撃をやめさせないといけない...




「———くたばれ害鳥!」

[バコン!!]




鈍器で思いっきり殴ったような音が響いた。

そこには黒い服を着た金髪の女性がいた。しかし、その背中にはコウモリのような翼の生えている。

そして、手には巨大な鈍器のような物を持っている。ショベルカーのバスケットに棒をくっつけた様な見た目の武器だ。

「ごめん待たせた?それにしてもよく耐えてくれたじゃん!」

そう言うと、巨鳥のクチバシを武器のバスケットの部分で受け止めた。巨鳥の纏っている紫色のエネルギーも一緒に受け止めている。強引にクチバシを退かすと、武器を回転させ、再び巨鳥に思いっきりぶつけた。受け止めたエネルギーは増幅し、より黒くなって巨鳥に放たれた。


『ガーッガッガガー』

すると巨鳥は軽く吹き飛ばされ、後退りしてその場を後にした。彼女は翼を折りたたみ、服の中にしまった。


「よし、怪我とかはない?」

よんでくれてありがとう!

モンスターについてはXの方から見れますよ!

随時挿絵を追加する予定です。

ブクマつけてね。めっちゃうれしいから。

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