200人処分の自衛隊は戦わずして負ける「内部崩壊」の可能性!
筆者:
本日は当エッセイをご覧いただき誠にありがとうございます。
今回は自衛隊で200人を超える大量処分が起きてしまったことについて個人的な意見を述べていこうと思います。
◇「金銭部門」について
質問者:
処分があったことは知っていますけど、いったいどんなことが起きてしまったのでしょうか……。
筆者:
今回の自衛隊不祥事と言うのは複数の部門にわたって一斉に行われているんですね。
その中で、大きく2つの分類に分けられると思っています。
一つは金銭部門、もう一つは特定秘密部門です。
まず金銭部門について見ていきましょう。
海自の潜水艦救難艦2隻に所属する隊員が「潜水手当」を不正に受給していたことが判明しているんですね。
この「潜水手当」というものは任務や訓練のため器具を着用するなどして「飽和潜水」で450メートルまで潜ると、作業1時間につき1万400円が支払われるというものです。
そしてその不正受給の総額はなんと4300万円にのぼるそうです。
上の基準で言えば4000回分も多めに潜水回数を水増ししたという事になり、
複数人が長期間にわたって関わる組織的な犯罪である可能性が高いと言われています。
今回は処分対象にはなりませんでしたが、
潜水艦を受注する川崎重工業が捻出した6年間で10億円以上の裏金(23年の税務調査の追徴で6億円納税)の一部で海自の乗組員が飲食接待などを受けていたことも分かっています。
質問者:
武器使用が認められている自衛隊の方々がこんなに一斉処分対象になってしまうだなんてこの国の行く末が色々な面で心配になりますね。
筆者:
まぁ、ただやっていることとしては防衛と言う特殊なのですが日本の近くで戦争が現実としてすぐさま起きるか? と言われたらまだ先のような気がします。
尖閣諸島の領海侵犯問題も“常態化”してしまっているのである意味「日常的な処置」になってしまっているのだと思います。
そうなると毎日決まったことを淡々とこなしていくだけになってしまいがちです。
こうなると普通に公務員がお金を懐に入れるというシンプルな不正を働いている人と大差ない状況になります。
機械的に任務を毎日繰り返していくうちに「不正を思いついてしまった」というごく「普通の人間」になってしまった瞬間があったという形なのでしょう。
質問者:
もっと防衛任務にあたっているという自覚を持って欲しいところですね……。
◇「特定秘密部門」について
質問者:
もう一つ重要で200人以上も処分対象になった特定秘密の問題についてなんですが、そんなに簡単に該当者が大量に出てしまうものなのでしょうか……。
情報管理は本当に大丈夫なんでしょうか……。
筆者:
僕は皆さんとは違った方向性で大丈夫なのか? と問題を感じている次第です。
というのも、資格無しで特定秘密を取り扱った隊員は全自衛隊で計205人と言う報道がなされていますが、
ここでいう「漏洩」は文字通り誰かに漏らすだけでは無いというのが厄介です。
映像や会話も含めて特定秘密を「無資格者に知り得る状態に置く」ことも該当するために具体的に何か知らなくても同じ部屋にいるだけでもっても「漏洩」に当たってしまうという事です。
今回もそう言った方が多く該当してしまい。今回の漏洩58件のうち35件は“いるだけ”案件だったようです。
質問者:
え……それじゃ、何も知らなくても「漏洩」してしまったことになるとか……。
筆者:
特定秘密保護法とその運用ではそうなってしまいますね。
恐らくは何が起きたのか分からないまま処分対象になってしまった方もいるのではないかとすら思われます。
ただ、この特定秘密保護法案そのものは必要だと思うんです。
バンバン海外に国家機密を流されて何のお咎めも無し又は軽犯罪になるようでは国家存亡の危機になりますからね。
アメリカとの情報共有はギブ&テイクであり、信頼関係構築がなされない相手には何も情報を渡されることはありません。
アメリカ製の兵器も多いことから場合によっては何も使えなくなると言った恐れもあります。
質問者:
アメリカから見放されたら完全に孤立してしまいますね……。
筆者:
こうなると法律において「定義」がいかに大事かがお分かりいただけたと思います。
しかも特定秘密の指定時間が審査などで半年以上かかるケースもあるので、特殊任務に携わる人間が限られてしまうという問題もあるんですね。
ここまで見た中で特定秘密保護法の問題点は大きく3つで、
「特定秘密」に指定された情報とはいったい何なのか?
「漏洩」とはいったい何なのか?
一律で特定秘密の審査に時間をかける必要があるのか?
様々なケースが全くもって想定されていないことがこの1件で明らかになってしまったのではないかと思います。
ただ、特定秘密保護法施行から10年で曖昧なまま今日に至ったので、こうして問題が浮上した今が見直しのチャンスとも言えると思います。
質問者:
確かに緊急任務で極少数でやるものばかりとは限りませんからね……。
ただ、上手い具合に見直してくれますかね……?
筆者:
今のままだと「自衛隊内のライバル潰し」に活用されかねないんですね。
「特定秘密」のある部屋に「潰したい人」を誘い込んで特定秘密保護法違反で処分、軽い処分でも出世には響くので、出世争いをしている側から見ればウハウハなわけです。
質問者:
お金を横領する人とかがいるのを考えると自衛隊も意外と「普通の組織」な気がしてきましたから、そういう骨肉の出世争いみたいなのが起きてしまうのかもしれませんね……。
筆者:
今回も個別具体的な事情を知る由もありませんが、ポジションを巡った争いが無かったとは言い切れないでしょう。
これを防ぐためには客観的に審査をする機関が必要でしょうね。上の匙加減などで決まってしまえば、日頃から「幹部に媚びへつらう人」が有利に働く可能性が上がってしまいます。
定義を明確にしたうえで第三者審査機関などを作らなければ本当に「危険状態」だと思います。戦う前に内部崩壊してしまいかねないと思います。
◇公務員の上で「悲惨な職場」なら更に人手不足も
質問者:
内部崩壊と言えば、先日には令和5年度の自衛官の採用人数が募集に対して51%しか集まらなかったという話もありました……。
筆者:
今若手の人材市場はどこも争奪戦になっており、新入社員の初任給は中堅以上が羨むほどに上がってきています。
そんな中腐敗しきった組織で、いざという時は生死を懸けなければいけない上に、薄給ともなれば誰も入隊しようとは思わないでしょうね。
4年度末時点で、自衛官の定員は24万7154人で定員に対する実際の自衛官数の割合を示す「充足率」は92%とまだ全体数としては影響は薄いですが、定年退職で引退される方と入れ替える人員がいなければ厳しいでしょうね。
元海将で自衛艦隊司令官を務めた香田洋二氏は「これだけ問題があちこちで噴出しているということは、順法精神や職業倫理、部隊の規律などさまざまな面で組織が弛緩していたと言わざるを得ない。言い訳の余地がない。
中国やロシアの艦船の活動が活発になり、そのたびに現場では、警戒監視活動にものすごい時間を割かれている。任務が増えているのに、現場では慢性的な人手不足。10人でやるべき仕事を6人でやるような状況があちこちで起きている」
と言う話も出てきています。
質問者:
意外なのは筆者さんの以前のお話だと自衛隊の給料の上昇、税金控除待遇などの処置が良くなり「経済的徴兵」という事が行われるのではないか?
とおっしゃっていましたが、逆に全くといっていいほど待遇改善と言う形にはなっていませんね。
筆者:
それについては僕の“読み違い”があったことを認めざるを得ないところですね。
そうですね……もしかすると、狙いはそこでは無く「他国」からの内部工作で自衛隊の空中分解・弱体化の方が本命なのかもしれません。
岸〇派はかの国からパーティー券を買って貰っているという疑惑もあるぐらいですからね。
かの国は「戦わずして勝つ」が本当の戦略ですから台湾への内部工作がメイン戦術です。具体的に戦火を交えるという事態はよほど追い詰められなければやらないと思いますね。
質問者:
そうなると長期的に日本は弱体化という事ですか……。
筆者:
ちょっと軍事的な関係の話は様々な要素が絡み合っています。
NATOと関係を深めてどうするのか……? お金を出しているだけなのではないか? ただ共同兵器開発の国はアメリカ以外で行う事はメリットもありますし、ただドイツとスペインとの北海道での演習は挑発と取られても仕方ない――と、複合的な要素が絡み合っており、全体の流れがあっちいったりこっちいったりと中々道筋と言うか方向性が見えません。
どれもプラスの要素とマイナスの要素があるということです。
僕も見落としているところもあるかもしれないので全体の流れをもっと俯瞰して見ていきたいですね。
ただ、一つ確定的に言えるのは特定秘密に関しては現状より見直さなければ、連携を模索している他の国のどこからも信頼されない可能性が高いという事です。
質問者:
確かにNATOと連携するならポロポロ情報が漏れていっては困りますよね……。
筆者:
改正するのでしたらこのタイミングを逃してはいけないでしょう。
かといって改正の際には国民への納得のいく説明も欲しいところですけどね。「改悪」しては何の意味も無いですからね。
という事でここまでご覧いただきありがとうございました。
今回は自衛隊不祥事を振り返っていき、特定秘密保護の定義や第三者機関を明確にしなければ戦わずして内部崩壊していく可能性があることを指摘させていただきました。
いつも皆さんがご覧いただいていることで励みになっています。
今後もこのような時事問題や政治・経済、マスコミの問題について個人的な解説をしていきますのでどうぞご覧ください。