62.あれから
ここはシンディア大陸の南部最大の街――コーディア。
街の中央には、1週間前に崩壊した教会跡が未だに残っている。
中央広場から西の鍛冶屋通りでは、ドワーフを中心とした鍛冶職人達が今日もハンマーを振るっている。
週末にはいつも屋台が並び、大勢の客で賑わっている。独自性の高い料理を出す事や、マインマンというマスコットキャラが子供達に人気である。
中央広場と繋がる大通りから、さらに東に行けば――この街最大の王立ギルド、王の爪の建物がある。
ここは1階に酒場と依頼掲示板の両方があり、いつもたくさんの冒険者で賑わっていた。
「姉さぁぁぁん、今日は女の子とデートがあってぇぇ」
「ふむ。しかしこの【危険度マックス。インフィニティアーマーという魔道鎧が遺跡に住み着いて困っています。討伐可能な方に限る】という依頼、早く行かないと取られてしまうぞ」
「誰もそんなの受けないよぉぉ」
「よぉステラにジェイド。おはようさん」
「……ルビィか」
ステラが少し返答に困ったのは、ルビィの格好がマインマンという鉱山喰いそっくりな着ぐるみの姿だったからだ。
前任者が置いて行ったモノと違い、こちらはピンク色の小さく可愛らしい見た目だ。
「これから鍛冶屋通りの祭りやんねん。お神輿っていうど派手なのやるから、担ぎに来ん?」
「いや私とジェイドは魔物退治があるから――」
「行くこと決定してるし!」
「――なら、俺様達が行こう」
近くのテーブルで朝食を取っていたのは冒険者姿のジロウ……それにヤスオとヒナコだった。
「うむ。故郷の祭りを思い出すでゴザル」
「こんな所でお神輿担げるとか感激っす! 誰が考えたんですか?」
「誰ってそりゃ、ヨーイチ君よ」
「そうか……ヨーイチ殿でゴザルか……」
みんなはしんみりとした顔で、一斉にギルドの依頼掲示板の横――とある魔道絵師による似顔絵を描いたポスターが貼ってある。
誰もがよく見知った鎧兜のイラストの他に、そのポスターにはこう書かれていた。
◇ ◇ ◇
銅5級冒険者ヒビキ=ヨーイチ。
彼は以下の違反を犯しました。
【ギルド依頼の無許可による再依頼】
・いかなる理由があってもギルドに所属していない冒険者へ勝手に下請けに出してはいけません。
【ギルド依頼の放棄】
・いかなる理由があっても勝手な理由で依頼を放棄してはいけません。
【魔道生物のギルド登録】
・いかなる理由があってもシンディア国の法律で「人間」と定義されていない方のギルド登録はお断りします。
以上3点の違反行為により、ヒビキ=ヨーイチを王の爪より『追放処分』と致します。
ギルドマスター ヨドより
◇ ◇ ◇
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