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58.VSジロウ その2


 気が付けば、俺の周りの景色が一変していた。


 地下水路の壁はどこにもなく、天井もなく――瓦礫で出来た地面がそこにあった。


「ぶ、無事かみんな……」

「ルビィ!」


 よく見れば彼女の脚が瓦礫に挟まれている。

 俺の身体をよく見ると、ステラに抱えられていた。


「私が瞬速でみんなを集め、ルビィに瓦礫を防いで貰ったが……」

「ちょっと出血大サービスやったな……これ、教会も吹っ飛んだんちゃうん?」

 

 どうやら俺達は、地面ごと真上に飛ばされたようだ。

 そこらの地面が、教会だった瓦礫で出来ていることに気付く。


「酷い目にあったのじゃ」


 瓦礫の隙間から出てきたハナコは、額から少し血を流していた。


「生き残ったか、運がいい奴らだな」

「ジロウ!」


 声の方に目を向けると、ジロウは巻物を片手に印を組んでいた。


「その豪運もこれまでよ。オオクチヨセ……武者六道改(ムシャムドウカイ)!」


 巻物から出てきたのは前に武器コンテストでジロウが着ていた鎧兜だ。

 ただし、そのサイズはちょっとした3階建てのビルくらいの大きさだ。


「合体ッ!!」


 鎧兜の胸元のハッチが解放され、ジロウがそのままのりこんだ。

 胸元が閉まると、兜の顔がジロウの着ていた黒い鎧の顔に変化する。


『これが俺様に与えられた力同士の合体、大重ね鎧(おおかさねぎ)のジツよ!』

「んなの、アリかよ!」

『さらに――アシュラニオウアミダホウセンコウチュウフウマ!!!』


 ヤケクソなくらい早口で叫ぶジロウ。

 背中から腕が追加で4本、さらに各腕には巨大な刀、包丁刀、ハルバード、ボウガン。本体の腕にも小太刀が握られている。


『これぞ変体鎧刀、輪廻無道(リンネムドウ)の完全最強形態よッ!』


 相手はタダでさえ巨大で、圧倒的質量と武力を誇る――最早俺にやれる事は……ただ、ひとつだ。

 そのヒントは目の前のジロウがくれたのだ。


「さすがに、ここまでかいな」


 ルビィは珍しく諦めたように呟く。


「バカがバカみたいなの出してきたのじゃ……」


 しかし、ハナコのその顔にいつもの余裕は無い。


「ルビィとハナコはヨーイチを抱えて逃げろ――コレを使ってでも、少しでも時間を稼いでやる」


 ステラが首飾りの宝石を手に何か言っている――。

 しかし、こちらも詳しく説明している暇は無い。


「みんな! 頼みがあるッ!」


 全力で叫ぶと、3人は俺の方を向く。


「――俺を、みんなで着てくれ!!」

 

「「「はい?」」」


『消えろッ!!』


 ジロウの一斉攻撃がこちらに着弾する直前に――それは間に合った。



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