表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
72/80

56.激怒する2人


 水の中から、俺は舟に引き上げられる。

 顔を上げれば、そこに見知った2人の顔――ステラとルビィが物凄い怖い顔でこちらを睨んでいた。


「ひえっ」

「おいヨーイチ……貴様、どういうつもりだ」


 まずはステラからだ。

 両手で胸倉の辺りを捕まれ、持ち上がる。


「ど、どうって……」

「何故! 私達を頼らなかったかと――聞いているんだ!」


 問答無用で頭を殴られるし、痛くもないが――。

 ステラは、魔力を込めてないのか殴る度に拳が血に染まる。


「だって魔道ギルドとか、ウチのギルドのみんなに迷惑が……」

「お前は! お前の身の安全を考えたらいいんだ! お前が世間とか気にしなくていい! そんなもの、問題が起こればマスターにでも責任を取らせればいい!」


 そんな熱い叫びの間も殴られ続け――なんだか意識が遠のきそうになる。

 

「いや、全力でギルマスに投げんなや――」

「ど、どうしてここが……」

「ミルちゃんに教えて貰ったんや」

「そうです!」


 よく見たら舟の操縦桿を握っていのはミルメルモだった。


「あの郵便屋は得意先でな――私に手紙が来る時は大抵緊急だからといって、朝に優先して持って来てくれたんだ」

「そしたら、水路の入り口でミルちゃんと会ってな、急いで舟を借りたんや」

「私のスライム操作魔法、どうでした?」


 もしかして水路のスライムを操作して、高速艇の要領で津波を起こしてここまで来てくれたのか。


「バッチシや……先にステラが怒ってしまったせいで、ウチの怒るタイミング逃したなぁ」


 そう言うと、ルビィは俺の肩に手を置いた。


「――まぁ、一生タダ働きで鍛冶屋通りの祭り手伝うことで勘弁したるわ」

「……勘弁して」


 そんな事を言っている間に、守護者達は舟の甲板に上がってきた。


「ステラとルビィを確認、排除します」

「おう、アンタらか……ウチの友達、ボコってくれたんわ」

「仲間の、敵は――斬る」


 2人が武器を構えると同時に、守護者達が一斉に飛び掛かった。

 右から錫杖で串刺しにしようと突きを放つ2人の守護者。かなりの移動速度だ。

 しかし、ステラの速度はそれを圧倒的に凌駕する。


「はぁッ!」


 ステラが一瞬消えたかと思うと、甲板の先に居た――。

 いつの間にか、右から飛び掛かってきた守護者の錫杖ごと腕を斬っていたのだ。

 彼女の足元から、焦げ付いたような煙が見える。


「この速さ、ついに見る事が出来た」


 左から飛び掛かってきた、2人の攻撃をハンマーで受けるルビィ。


「そんなもん!」

 

 そしてそのまま押し返し、ハンマーで錫杖を打つ――すると、錫杖の金属が砂のように溶けたのだ。


「な、なんだ!?」

「さらに行くで!」


 ルビィが砂を巻き上げるようにハンマーを振るうと、砂が鎖に再構成され、守護者2人を縛り上げた。


「これが再構成か――便利なスキルやな」


『ステラとルビィ。両者は祝福(ギフト)に目覚めたようです』


「凄いな……」

「うーん。何やら騒がしいのじゃ……」


 俺の中からハナコが目をこすりながら出てきた。

 どうやら治療は完了したようだ。


「ハナコ殿か、しかし!」

「ヨーイチ殿を捕縛するっす!」


 スライム津波に飲まれた2人も復活したようだ。

 舟に上がり、俺の方へ突っ込んできた。


「逆巻き、荒れ狂い、燃やし尽くせ――三重(みがさね)ニンジツ、アバレバチ!」


 ハナコは両手で別々の印を構え、3属性複合忍術を発動させる。


「ぎゃあああ!?」

「キャアアアッ!」


 目の前で突如起こった、土砂を含んだ火炎竜巻に飲まれ――2人は再び水路へと落ちていった。

 どう見ても手加減と容赦のない攻撃だった。


「お前、元仲間でも容赦ないな」

「えっ、アレ誰だったのじゃ!?」


 特に見てなかったらしい。


『ハナコの解析が完了――彼女の祝福(ギフト)は【3重以上の属性複合忍術】です』


 正直よく分からないが、とにかく凄い祝福(ギフト)なのだろう。

 守護者達を難なく撃退しか2人は船の端に立ち、恐らくまだ水路側にいるクロエを見下ろす。


「さて――そこで部下がやられるのを、見物か?」

「お前がコイツらの親玉かい」


 俺は内部のケーブルで、装甲の無い部分に手足を作る。

 戦闘はまだ無理だが、歩くことはできる。


「うわっ、兄ちゃんキモいのじゃ」

「キモい言うな」


 俺もステラとルビィの隣に立つと、下には涼し気な表情のクロエが立っていた。


「真紅の閃光のステラさんと、鍛冶師のルビィさんですか――お噂通り、お強いですね」

「後はお前だけだ。来ないならこちらから行くぞ」


 意気揚々としているのに水を差すようだが、俺は最優先事項を2人に伝える。


「ダメだ2人共――魔王が復活したんだ。ここから早く逃げないと……」

 

「「魔王!?」」


 思わず2人はハモりながらこちらを見た。

 クロエもそれに頷いた。


「えぇ、その通りです。しかし御方は復活したばかりで――少し休養が必要なのです」

「……その話を聞いたからには、黙って帰る訳にはいかないな」

「さすがステラさん……この国の王女様だけあって、勇ましいですね」


「「王女様!?」」


 今度は俺とルビィがステラを見た。

 王女様って……美人過ぎる冒険者だとは思っていたけれど、正直普段の行動はそこまで「王女」というイメージに沿っているとは思えない。

 しかしステラは特に意に介していないようだ。


「――どこでそれを知ったかも、聞く必要があるな」

「あらっ、秘密でしたか?」

「いや。別に構わん」


 ステラのノーモーションからの瞬速斬撃を、クロエは錫杖で受け止めていた。


「ッ!?」

「やはりお強いですね……ここは、彼に任せるとしましょう」

「待てッ!」


 クロエは錫杖を捨て、胸元から巻物を取り出し、印を結ぶ。


「来なさい――クチヨセ=ジロウダイナン」



ここまで読んで下さってありがとう! Thank You!

広告下のポイントが入ると私が喜びます。ありがとう! Thank You!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ