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55.絶体絶命、そして


『ダメージレベル甚大。魔力不足により、これ以上の復元は不可能です。搭乗者の安全を最優先とし、治療を続けます』


 俺の身体は、胴体と辛うじて残った二の腕と太もも部分のみ――。


「……ッ」


 痛みはない。こんなに身体が無くなっても、なんとも感じない――。


「クソッ」


 俺は少しでも連中から離れようとするも身体が無くなり過ぎて、水の流れが増えたように感じるくらいには進めない。


「では鎧の確保をしましょうか。報告では多少の傷は復元できると聞いていますが――ここから復元できるのでしょうか」

「……」

「……」


 ヤスオとヒナコは何も答えないし、守護者達も無言である。


「――まぁアリシアさんに解析を頼みますか」

「……頼む。コイツは、ハナコは逃がしてくれ」


 もうどうする事も出来ないと悟った俺は、これくらいしか出来ない。

 せめてハナコが逃したであろうミルメルモが、みんなに伝えてくれれば――。


(手紙、もうちょっと早めに出しとくんだった)


「まぁ、なんて慈愛なんでしょうか。美しいっ」


 眼が閉じられたままのクロエは、それこそ慈愛に満ちた笑顔になった。

 しかしそれもすぐに、冷徹な声へと変貌した。


「でも、あの方の邪魔をした子には罰を与えなければなりません」

「な、何を」

「――子ネズミに関してはアリシアさんの手前、見逃してあげることにしたんですけど……その子は魔王様の贄になって頂きます」

「だ、誰がそんなことを――」


 悪あがきのように逃げようとする俺の胸元を脚で押さえつけ、中にいるハナコへと錫杖を向ける。


「また逃げられるといけないので、この子ごと串刺して持っていきます」

「止めろ!!」


 その時――少しずつだが異変が起きていた。

 水路の水は徐々に波が立ち、この水路の中を地鳴りのような物音が……。


「――なんですか、この音は」


 クロエのその言葉と同時に、()()はやってきた。


 津波――水路のはずなのに、津波が奥からやってきたのだ。

 それも水路のほとんどを埋めるかのような、大きな津波だ。


「な、波が!?」

「なんなんっす!?」



 津波が、全てを飲み込む。

 

 俺は上下左右の方向が分からず、無我夢中でもがくと、何かに掴まれた。

 ――その人達が掴んでくれた。


「ヨーイチ!」

「ヨーイチ君!」



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