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5短話.アムルの目覚め
朝日が病室に差し込むと、アムルは目を覚ました。
「あ……えっ!?」
驚きのまま全身を触るが、あれほどあったケガは1つも残っていなかった。
「アムルちゃん!」
ベッド脇の椅子で眠っていた冒険者風の恰好をした少年が飛び起きる。
癖っ毛混じりの燃えるような赤い短髪。スポーツ少年のような快活な見た目とは裏腹に、少し気だるい雰囲気を持つ。
「ジェイドさん……ここは……」
「町の病院だよ。ちょっと待って、先生呼んで来るから!」
急いで部屋から出ていくジェイドを目で追いながら、アムルは何気なく視線を動かすと――部屋の片隅にうずくまる物体へ目が留まる。
それは美術館に飾ってあった勇者の鎧であるはずだが。
「あ、起きたんだ。良かった」
「ッ!!?」
突然頭を動かし喋る鎧に、アムルは思わず飛び跳ねる。
「しゃ、しゃ……喋ったッ!?」
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