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31短話.その闇に紛れて
静寂を取り戻した元鉱山の町に動く影が――2つ。
「まさか依頼主のアンタが直接出向くとは」
「不測の事態が起こったようなので。でも良かった。僕の欲しいモノはまだ残っているようだ」
クイーンマインの残骸へとやってきた影は――フードを深く被った青年だった。胸元に蛇のアクセサリーを覗かせながら、当たりを見渡す。
「目的のモノは既に回収してある」
頭領は布に包まれたソレを取り出す。
ソレは黒い珠のようだが、内部でエレメントが脈を打っている。
「ありがとうございます。肉体の方も少し使うので、運んでくれますか」
「御意――」
「ではこれが今回の報酬です」
「こんなにも……少し多いようですが」
「えぇ。次も依頼を頼みたいので、それは前払いです――よろしく頼みますよ」
フードの奥から覗く瞳と目が合い――頭領は思わず頭を垂れていた。
「は、はい……」
「ふふっ、ふふふふ――」
青年は不気味に笑い、頭を下げたまま動けなかった。
「後には引けない、か」
頭領のその独り言さえも、闇に溶けていくのであった――。




