31.VSクイーンマイン(再戦)
職人総出で、自分達の自慢のハンマーで柄を叩いている。
「1つ叩けばー鉄のためー」
「2つ叩けばー武器のためー」
「3つ叩けばー酒が美味いぞー」
「4つ叩けばーハンマー煌きー」
「5つ叩くと、母ちゃんが怒るぞ」
「この唄は?」
「鍛冶師に伝わる掛け声みたいなもんや。それよりヨーイチ君、魔力はどう?」
『いい感じだ。全魔力を、土鎧エレメントに変換!』
「魔力眼、発動や!」
右手に持ったハンマーに土鎧のエレメントを込める。
さらに俺の視覚にも変化が現れた。
こちらへ前進してくるクイーンマインの額、そこに魔力伝達経路が集中しているらしい。
「さらに魔力物質精製魔法も発動! 今度はおっきなドリル!」
巨大なドリル杭が俺の頭上に一瞬で精製される。
「あらよっと!」
そのケツを、振りかぶったハンマーで――叩く!
魔力によって操作されたそれは回転し、一直線にクイーンマインの額に着弾した。
「ぐもぉ!?」
「余所見しとったらアカンよ!」
一気に距離を詰め、突き刺さったドリル杭のケツに、さらに巨大化したハンマーで叩く!
「ぐもぉ、ぐもぉ――」
「もう魔法は使わせんで!」
即座にハンマーを伸ばして、顎を下からかち上げる。
「ぐもっ!?」
口が強制的に閉じ、呪文は中断される。
「さらに!」
跳び上がり、今度は短くしたハンマーを振りかざし、地面に向けて勢い良く振り下ろす。
地面から鋭利なドリル杭が無数に飛び出し、クイーンマインの巨体を突き刺した。
それは前の戦いでクイーンマインの使った魔法に似ていた。
「これはさっきのみんなの分!」
さらにルビィはダッシュで頭頂部まで駆け上がると、頭の結晶目掛けてハンマーを横薙ぎに振るった。
バッキィィィンと鈍い音と共に割れる結晶。
さらにどんどん前に進みながら、草を刈るように軽々と割っていく。
「これは父ちゃん泣かせた分や!」
「ぐもおぉぉぉ!」
クイーンマインはエレメントを操作し、周囲の岩をこちらへ投げ飛ばしてきた。
こちらもケーブルの長さの限界があるので、回避しつつひとまずみんなの下へ戻る。
「ルビィ、やるじゃねーか!」
「ヨーイチ殿も流石ですぞ!」
伝達機能への攻撃と串刺しにする事で前進を止めたが、まだトドメを刺せないでいる。
表面上を攻撃しても、内部へのダメージはそれほど無いのだろう。
「ぐぅ、ぅ、ぅ、ぅ」
クイーンマインは唸り声を――今までに聞いた事の無い声だ。
『魔力反応増大してる! 奴は口から何か出すぞ!』
「シールド精製!」
ルビィは地面をハンマーで叩き、巨大な盾を作り出した。
「ぐもぉ――――おろろろろろろ」
クイーンマインは口から大量の、泥水のような粘りのある液体を排出した。
作り出した盾は一瞬で溶け、俺達と後ろのみんなへと迫り来る。
「させるか!!」
エレメントで輝くハンマーを連続で振るい、壁も精製しつつ液体を霧散させていく。
しかし液体の量が多すぎる。少しずつだが、ハンマーも溶けているようだ。
『もう少し、もう少しなのに……』
背後で新たな気配を感じる。
ヤスオと他の忍者達が到着したのだ。
「ヨーイチ殿、ルビィ殿。助太刀致す!」
「その声はヤスオか!」
「皆はこれを握るでゴザル! 雑血とはいえエルフの魔力。お貸しするでゴザル!」
一気に、大量の魔力が押し寄せてくる。
これまで感じた事の無い膨大な魔力だ。
『これならいけそうだ!』
「アカン! どっちにしろ、この液体なんとかせんとアイツに届かへん!」
確かに液体は減る所か、増えている気さえする。
ここから本体へ攻撃する為にはまずこの液体を止め――そんな考えをしている間に。
「ヤバい!」
いつの間にか串刺しから復帰していたクイーンマインの巨体が、目の前に迫って来ていたのだ。
『こうなったら一か八か――』
「手を貸してあげる」
誰かと思い出す前に彼女――女忍者のハナコは、器用にも俺の頭上に立っていた。
「暁より紅く、黒より深く、地より現出するは白き獣――2重ニンジツ、カドートン=オオクマネコ!」
一瞬にして右手と左手で別々の印を構え呪文を唱える。
2属性による複合忍術により呼びだされたソレは――巨大なパンダだった。
パンダが壁になり液体とクイーンマインの巨体ごと抑えこむ。
「今だ!」
『ハンマーに全魔力集中!』
「一打入魂――」
天に掲げた巨大なハンマーが、さらに大きく。大きく。大きく――クイーンマインよりもさらに大きくなった。
「――これが、テラインパクトや!!」
そのまま超巨大ハンマーは振り降ろされ――クイーンマインの巨体を叩き潰したのだった。
鳴き声も唸り声も発する暇も無く――。
「やった……やったぞぉぉぉぉ!!」
誰かの上げた歓声に、みんなも釣られて歓声を上げた。
「よっしゃあああああ!!」
「ホントに、これで街へ戻れる……」
「アンタらも――ってさっきまで居たのに」
辺りを見渡してもヤスオも頭上のハナコも、誰も居なかった。
「ヨーイチ! ルビィ!」
「ステラ……ウチ、やったで……ガクッ」
胸元から顔を覗かせたルビィは、力尽きたようにうなだれるのであった。
「ルビィィィィ!」
『いやそんなベタな気絶あるかい』
「……バレたか」
ルビィは、楽しそうに笑うのであった。
――――――――――――
その後も、まだまだ忙しかった。
まずステラが音速伝書鳩という緊急連絡魔法でギルドへ救援を頼んでいたらしく、ギルドマスターとジェイド他複数の冒険者がレンタル飛竜に乗って文字通り飛んで来てくれた。
「終わってるじゃん!」
とジェイドはボヤいていたが、来てくれたのは純粋に嬉しかった。
潰れてバラバラになったクイーンマインの肉片を、馬車や飛竜に載せれるだけ載せた。残りは後日取りに来るらしい。
「そういえばヤスオさん達は?」
「さぁ。気付いたら居なくなってたよ」
ハナコと呼ばれた女忍者も居なかったし、結局アイツらはなんだったんだろう――。
しかし異世界召喚の事を知れたのは良かった。
俺をわざわざ異世界から呼んだ存在も気になる所なのだ。
「まだまだこれから忙しくなるで……すやぁ」
寝言だけは威勢が良いルビィである。
限界まで魔力も使ったし、今しばらくは俺の中で寝させてあげようと思う。
かくして、俺達は最高の素材を手に入れたのであった。
第4話へ続く
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