30短話.忍者達
ここは放棄された町の中にある大きな屋敷。
クイーンマインがよく見える部屋に陣取っていた残りの忍者達の下へ、2人がやってきた。
「頭領!」
「ヤスオ……とハナコも戻ったか」
まだトロッコに弾かれた傷が痛むのか、頭や腕などに包帯を巻かれた頭領が鎮座していた。
「ふんッ」
「頭領、某はあの化物に喰われてしまい――腹の中で、あそこに見える鎧の男に助けられました」
頭領が壊れた窓から外を覗くと、広場で鎧の男と職人達は何かをしているらしいのが見える。
風に乗り、唄が聞こえてきた。
『1つ叩けばー鉄のためー』
『2つ叩けばー武器のためー』
『3つ叩けばー酒が美味いぞー』
「アレは何をやってるんだ?」
「あの鎧の男、ヨーイチ殿があの化物を倒す為……魔力を集めているのでゴザル」
「……化物を倒す算段があるというのか」
「おいバカ委員長!」
「なんだハナコ! 里を出た時から頭領と呼べと――」
「うるさい! アタシ達が里から出たのは、人殺しをする為じゃない!」
「……」
他の忍者達も、ハナコの言葉に俯く。
「アンタは外の世界で冒険して、見た事もない財宝見つけたり、ドラゴン狩ったりとか、そういうのしたいって言ってたよね」
「……現実はそんなに甘くないのは分かっただろ。悪徳商人にダマされて金を失ったのは俺様のミスだ。今回の依頼で大金が入れば、もっと安定した拠点を構える事だって……」
「その依頼主もどうせ真っ当じゃないだろ! それでどんどん後に引き返せなくなっても、アタシは知らないからな!」
「おいどこへ行く」
「知るか!」
ハナコは再び姿を消した。
気まずい空気が流れるが、ヤスオは意を決して声を掛ける。
「……頭領、どうか」
「――ヤスオ、他の奴らを連れて出て行ってくれ。少し、考え事がある」
「……御意」




