29.鍛冶師の仕事
「で、ウチは何をすればええんや」
『鍛冶師の仕事と言えば、鍛冶だろ!』
アイボリー色になった手の平をかざし、収納ゲートを開いた。
鎧の身体はルビィの身体にフィットするように内部が換装され、色もそれに合わせて変わっている。
ゲートの中へ手を突っ込み、まずは回収していたハンマーを取り出す。
「鍛冶ってなんも無いのにどうするんや」
『材料は、コレだ!』
さらにゲートから、鉱山喰いの骸を取り出す。片手でも持てるサイズだ。
「これ! どこにらあったん?」
『呑み込まれる前に拾ったんだよ。もしコイツ倒せなくても材料は確保できるし……』
「ちゃっかりしとるなぁ。まぁ鍛冶師の婿ならそのくらいの方がしっかりしてて好印象やで」
『うん? とりあえずこの素材と、』
「ウチのコレやな!」
本来なら土のエレメントを操作して武器や道具を精製する魔法だが、今回は素材を直接操作して精製する。
『ルビィ! お前の祝福は”エレメントの再構築"だ!』
「よく分からんけど、分かった! 魔力眼、発動!」
ルビィに身体の操作を譲渡した。
まず彼女は例の眼を発動させ、素材の魔力経路を確認する。
「ふんふん――よし分かった。いっちょ、やったるで!」
鼻歌混じりに魔力を込めたハンマーを振るい、骸を打ち直す。
黒い塊は徐々に光へと変換され、その形を変えていく。
同時に内包するエレメントの属性も変更されるのが分かる。
言わば、俺とルビィの複合エレメントと呼べばいいのか……。
「土鎧のエレメントとかどうや!」
『おぉそれっぽい』
その間にも高速でハンマーは振るう。
形はどんどん整っていく。
「これで、完成や!」
最後に右腕を光る塊に突き刺した。
『こ、これは!?』
俺の右腕は、元の何倍の大きさにもなる巨大な腕になっていた。
スッポリ嵌っているが、元の腕と同じように動かせるようだ。
俺の元々の色とは違いアイボリー色に仕上がっている剛腕を、ニギニギしながら感触を確かめる。
「名付けて、鎧袖ナックルや! ……なんか勝手に思い付いたけど、鎧袖ってどういう意味?」
『俺の知識から引っ張ったのかな。鎧袖一触って単語があって、意味は鎧の袖で簡単に敵を倒せる、みたいな』
「ええやん。ヨーイチ君にピッタリな名前や」
ズズッ――という音と共に、周りの壁に変化が生じた。
グネグネと動きながらこちらへ迫ってきたのだ。
正直かなりキモい光景だ。
『体内で未知のエレメントが発生した為、防衛機能が作動したようです』
「気持ち悪ッ」
「2人共、これからどうするでゴザル!? 出口は無いでゴザルよ!」
「出口が無い? それはちゃうで。出口も人生も、穴を開けたもん勝ちや!!」
鎧袖ナックルの内部エレメントが高速回転、循環する。
背中の排出口から大量の粒子を吐き出し、魔力と土鎧エレメントがハンマーへと伝わっていく。
「はぁぁぁッ!」
迫り来る壁や地面をハンマーで叩き潰す。
すると、アレだけ硬かったはずの壁はいとも簡単に砕けたのだ。
『さすがルビィ、早速使いこなしてるな!』
「ウチには鍛冶の材料にしか見えへんな! おっちゃん! ウチの背中に乗るんや!」
「分かったでゴザル。あと某はまだ280歳でゴザル」
『……それ若いの?』
「さぁ? とりあえず、出発や!!」
右腕のブーストを点火し、大きく振りかぶりながら――壁をぶち破るのであった。
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