20.鍛冶屋通りの出会い
ここは街の東部に位置する工場がある区画。
そこの中にある商店街のような所に、俺達はやってきた。
「ここが鍛冶屋通りだ。ここには標準的なモノから特殊なモノまで、あらゆる武器や防具を売っている店が並ぶ場所なんだ」
「おぉっ! つまりここで俺の適合する武器を探すのか?」
「いいや。もっと確実な方法で行く――オーダーメイドだ」
(オーダーメイド! つまり世界でたった1振りの俺だけの剣! なんだかワクワクしてきたぞ)
「専門の鍛冶屋工房も何件かあるし、一緒に回って見るか」
ステラはウキウキしながら地図とにらめっこしているが、俺はそれより通りにいる人の少なさが気になっていた。
平日の昼下がりだからだろうか。そんなに有名な通りならもっと客が居ても良いだろうに。
1件目。
剣を作りたいとステラが説明すると、ニコニコしたオッサンは快く引き受けてくれた。
オッサンに言われるがまま手の平を見せ魔力を込めると、眼鏡のようなものを掛けた。
眼鏡のレンズに小さな魔法陣のようなモノが多重起動しているのが見える――何の魔道具なんだろうか。
そして10分程して――オッサンは、にこやかにこう言った。
「申し訳ありません、無理です」
2件目。
今度は横に大きい恰幅の良いおばちゃんだ。こちらも同様に快諾してくれたが、やはり眼鏡を掛けて魔力を込めた俺の身体を診るなり。
「あっはっはっ、無理だねぇ」
「……理由聞いても良いですか?」
「少なくともウチの父ちゃんじゃ無理だろうねぇ。アンタの魔力、難しくってねぇ」
恐らく他の店を同様に回っても同じ事を言われる気がしたので、ここで一旦作戦タイムだ。
「どうしようか。そこまで俺のって特別製なのか」
ニーアデスの特性なのか、取り込んだ魔力の種類が多いせいとか?
「どうするか――実はこういう特殊な案件に対応できそうな鍛冶職人を1人だけ知っている。私の魔力も少々特殊でな、その人に頼んで打ってもらったんだ」
「えっ、じゃあすぐにその人の所に行こうぜ」
それは無理なんだと言わんばかりに頭を横に振る。
「その人は私が冒険者として活動開始してすぐに王都へと引っ越したんだ。希少な鍛冶スキルを持つ御仁だ――それも致し方がない」
「王都……遠いけど行ってみるしかないか――ん?」
ふと耳(集音センサーの感度を上げる)を澄ますと、路地の方から複数の男と女の会話が聞こえる。
いや会話というか――。
――――――――――――
「ようやく追い詰めたぞ、へへへ」
「よく見りゃ可愛い面してんじゃねぇか」
「はぁ……アタシは、女をケツを追っかけ回すのが趣味の雑魚男達に用事はないゆーとる」
「うるせー! 四の五の言わず、とにかく事務所まで来て貰おうか!」
「痛ッ!」
口論が激化し、荒くれ者達が女の子に手を出した所で。
「止めないか!」
「なんだ!?」
「兄貴、屋根の上です!」
3人が見上げると……そこにはもちろん、俺が腕組みをして立っていた。
「小さな女の子を追い掛け回し、路地に追い詰めて不埒を働こうとは言語道断。人それを、ロリコン野郎と言う」
「誰だお前は!?」
「貴様らに名乗る必要は無い――」
1回はやってみたいシチュエーションの実績が解除された気分だ。
「とぅ!」
華麗に女の子の前に着地する。
振り返ると、その女の子は俺の腰くらいの高さで、茶色のショートヘアーに大きな丸眼鏡に服装はオーバーオールという、少し某ア○レちゃんを思い出させる見た目だ。
だがよく見ると胸の辺りは既に大人と言っても過言ではない程に実っており――ごほん。
「もう大丈夫だ。私が来た」
「てめぇ! その女の身内か!」
「知り合いでは無いが、だからといって少女が不埒な真似をされるのを見過ごすことは出来ぬ」
「じゃあすっこんでろ! あとコイツの歳はさんじゅう――ぶッ」
俺を踏み台にし高く跳んだ女の子は、荒くれ者の顔を踏み付け反対側に着地する。なんて身軽さだ。
「誰か知らんけど、おおきに!」
そう言って女の子は大通りの方へ駆け出した。
「兄貴、逃げられますよ!」
「分かってら――てめぇの面覚え、アレ? どこいった?」
俺は既に建物の上に逃れている。
ひとまず女の子は助けれたので、待たせてるステラと合流するべく移動するのであった。
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