16短話 桜の騎士
※ステラが鎧を着ています。
「いくぞ化物!」
”私”は、自分に気合を入れる為に叫んだ。
触手のようなものが身体に纏まり付いているが不快感は無い。むしろこれを通して暖かいモノが身体の中に流れ込んで来る。
鎧が私の身体に合わせて縮んだのだろうか。動かすのにも支障はない。
いや、支障はないどころか――。
「絶好調だ!」
地面に刺さっていた愛剣を拾い、魔力の炎を剣に纏わせる。
そのまま私はビーストへ向かって一撃を浴びせる。
「遅いッ!」
奴の防御は間に合わず、左腕を2本斬り落とす。
即座にビーストは後ろへ飛んで距離を取る。
距離を取ったということは――。
「しゅぅぅぅるぅぅ、ぶるぉぁぁぁぁぁぁ!」
一瞬で息を吸い、口から魔力が込められた糸を吐き出して来た。本来なら魔力を乗せた斬撃でも切断は難しいだろう。
だが今の私は、負ける気がしない。
「――桜火、」
自分の中に、魔力とは違う存在があるのが分かる。
それがどういうものかは分からないが、私はそれを解放するのに躊躇はしない。
「一閃ッ!」
まるで自分が斬撃そのものになったように感じた。
ビーストの攻撃も、景色も、空間も――一瞬にして駆け抜けた。
「ぎ、る、ぅ、あ……」
白い巨躯に桜色の斬撃の線が入り――真っ二つになり、崩れ落ちた。




