15.星命の卵
無残な姿になった冒険者の死体を発見した俺達だったが――。
「貴様、1つだけ答えろ」
「な、ななにをだよ」
即座に懐のナイフを取り出し男の首筋に当てるステラ。
「あの積み荷の、本当の中身だ」
「中身って、クズの魔鉱石だろ!?」
「最初は魔鉱石のピンハネをしていると思っていた。クズ鉱石をカモフラージュにしてな」
採掘量が国に決められていると言っても、広大な鉱山の作業場に対して全てを監視することは不可能だ。
国には必要量だけ納め、裏ではドルドのような闇商品を取り扱う商人が高く買い取ってるのだ。鉱夫達からも金が多く入れば文句は出ないという事か。
『警告します』
(うわっびっくりした)
ニーアからの突然の警報。
『周囲に急激な魔力――マナの上昇を検知しました。すぐに退避することを勧めます』
その警報を聞き、ふと気付いた事がある。
さっきまで聞こえていた小鳥のさえずりや、昆虫の鳴き声さえ――消えている。
「だが、それも違うようだ――この纏わりつくような殺気。間違いない、星命の獣だ」
「なんなんだよそれ!」
「ともかくここだと戦えない。開けた場所に移動する、走れ!」
ステラはナイフを仕舞うと、即座に崖から飛び降りる。ジェイドと俺、そして男もそれに習う。
「マナビーストってなんだよステラ!」
「詳しく説明している暇は無い! とにかくヤバい強さの魔物だ!」
急いでいるのは分かるが、全く分からない説明だ。
『代わりに私が説明しましょう』
(お願いします)
『マナと呼ばれる魔力は大きく分けて2つあります。生物の持つマナ、星が持つマナ』
星のマナは血液のように地表の中を循環しているが、偶発的に地上へ噴き出すことがあるという。
それが鉱山に流れ込めば鉱石に、樹木に流れ込めば果実に、高濃度のマナが凝縮され封じ込まれる。
『それが星命の卵と呼ばれる存在です』
説明してくれている間も、俺達の後ろから迫ってくる異様な気配はそこにあり続けた。
『星命の卵は非常に不安定な存在です。例えば、これを人間や魔物が誤って飲み込んでしまうと膨大な星のマナに耐え切れず――暴走してしまう。それが星命の獣の正体です』
(なんかヤバイのかそれ!)
『星命の獣は常に生物のマナに飢えています。基本的には手当り次第に食べようとして来ますが、特に人間の持つマナが好物のようです』
(だから追って来てんのか!)
『さらに特徴として、食べた生物の姿と能力を取り込んでしまうことが挙げられます』
(それが1番ヤバいじゃん!!)
「ここだ!」
都合良く360度開けた地形の平地を見つけれた。
ぬめった殺気は相変わらず森の奥から漏れ出してくる。
「う、うぅ……うわぁぁああッ!」
黙って着いてきた男だったが、この殺気に当てられてか恐怖のあまり反対方向へ飛び出した。
「待――」
ステラの静止も間に合わず、男は森の中へ逃げて行った。
――そして。
「ぎゃあああぁぁぁ――」
男の悲鳴が森中に響き渡り、静寂が訪れた頃――それは現れた。
「来たか」




