13.初クエスト開始
「ではステラ、ジェイド、ヨーイチ。頼んだぞ」
「了解」「はーい」「分かりました」
まだ日が出ていない時間帯の朝方、ギルド裏手から馬車に乗って出発する俺達。
ここから西の街へ続く街道があるのだが、危険な森や山近くは迂回して敷設されている。
昔はその山を通るのが唯一の道で、街までほぼ一直線で行けるので時間は大幅に短縮できるらしい。
「ただ当然整備もされてないし、魔物の出現もたまに報告されてるらしいし、よくそんな所通ったなあのおっさん」
「護衛にお抱えの冒険者を使っていたらしいのだが、いずれも青銅3級。その魔物は話に聞く限り、2級討伐対象だろう」
「4歩行のイノシシのような見た目で、馬車くらいの大きさ――それ絶対キラーボアじゃん。めっちゃ凶暴でめっちゃ動き回るし剣も歯が立たないくらい硬いし……」
馬の手綱を引きながらブツブツ言ってるジェイドはさておき。
荷台に座っているのはステラと俺だが、さすがに会話無しは応えるので適当に話題を振ってみる。
「そういえばステラさんとジェイドって姉弟なんだっけ」
「あぁ、しかし一時的とはいえパーティの仲間なんだ。ステラでいいぞ」
「ステラは冒険者になって長いのか?」
「……11歳の誕生日にギルドへ登録したな。今年で6年目になる」
「そんな小さい頃から!? ……割と普通のことなのか?」
「いいやそんな事はない。15歳になる前から冒険者になろうとする者は珍しいだろうな――しかし君はそんなことも知らなかったのか? 外国から来たと聞いてはいたが」
ギクッ――。
「それに気にはなっていたが……新人なのにフルプレートメイルとは気合が入っているな。しかもどこかで見たことあるデザインだ」
ギクギクッ!
「――そうだ、アムルの実家の美術館に飾られていた鎧。アレによく似ている」
ギクギクギクッ!
「ね、姉さん! そうだ。アムルちゃん王都の美術館に就職したんだけど聞いた?」
御者台に居たジェイドが思わず口を挟んでくる。
「ん? もちろん。事件のこともな――すまないなジェイド。丁度私は依頼でダンジョンに潜っていたから、聞いたのは出てからなんだ」
「それはしょうがないよ。アムルちゃん、姉さんにもよろしくってさ」
「あぁ。また王都へ行く時は顔を出してみよう」
なんとか追求されずに済みそうだ。
そんな世間話をしながら旧街道の入り口、その近場にある村へとやってきた。
街道沿いにはこうした旅人や冒険者が休めるような宿場町みたいな村が点在する。
ここにはドルドのお抱えの冒険者が荷物の監視と、俺達を案内する為に駐在しているらしい。
待ち合わせ場所の宿屋の前に行くと、そこには細身の長身で中年の男が待っていた。基本的な革と鉄の胸当て、そして右腰には剣の鞘がぶら下がっている。
「アンタらがドルドさんの依頼した冒険者か。よろしくな」
「これが依頼証明書だ、よろしく」
互いに軽く右手で握手をする2人。
「……案内する」
男がジェイドの隣に座り、道を支持する。
街道から少し離れた森から入り、さらにどんどん奥へと入っていく。
整備されていない路面はガタガタになっており、馬車もそれなりに揺れる。生身なら腰が痛くなりそうだ。
「――やはり妙だな」
ステラの独り言が聞こえたのは俺だけだろう。
その意味を訪ねようとした時、ジェイドの叫び声が響く。
「敵襲だ!」
「!」
その叫びと共に、前方から土煙が見えた――。
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