11短話.ギルドに登録しよう
「でっかいなぁ――」
俺は今、この街で2番目に立派な建物の前にいる。
ちなみに1番目は教会だ。通りかかった人に聞く所によると、アレはディアト教のコーディア支部らしい。
コーディアというのはこの街の名前。この大陸南部にある中では1番大きい街らしい。
「まぁRPGの基本は街の人からの聞き込みだよな」
「にゃー」
「おっとしまった……ありがとうなー」
「にゃーん」
人気の無い路地まで移動し、そっと鎧の留め具を外し、中から猫を出してやる。
「いやー助かったよ」
「にゃっ」
それは返事を返してくれたのか、薄い茶色の野良猫は鳴き声と共にどこかへ行ってしまった。
どうやらこの世界の生物はみんな魔力を持っているらしく、偶然通りかかったジェイドにテキトーに入れられた野良猫から魔力供給できるとは思わなかった。
「ギルドに顔を出すって言ってたから多分ここだよな」
立派な木造の建物は年季の入った見た目をしている。3階建てで、1階は丸々冒険者達の酒場になっているようだ。
入口の横に【開業50年周年! ギルド&酒場「王の爪」ただいま営業中】と描かれた看板が立て掛けてある。
「よし、入ってみるか」
――――――――――――
「いらっしゃいませー。掲示板なら右手奥、注文は左手奥になります」
「おぉ」
中は人、人、人――とにかく多くの冒険者で賑わっていた。
冒険者の中には背の低い髭面の親父(ドワーフか?)、耳長の美形の女性、なかには全身が毛で覆われている獣人っぽいのもいる。とにかく多種多様の冒険者達が酒を飲んだり、掲示板の前で依頼を探したりしている。
「――ここから俺の冒険者生活が始まるんだな」
掲示板の横にいくつか受付カウンターのようなものが見えるので、まずはそこで聞いてみる。
「すいません、ここで冒険者の登録をしたくて……あ、申し遅れました。私、冒険者協会で登録した新人でして」
サラリーマン時代を思い出させる、奥ゆかしい物言いで低姿勢な性分はここでも変わらないのは少し悲しかった。
受付嬢さんは少し困った顔をしながらこう言った。
「申し訳ございません。ただいま新人冒険者さんの登録はしていないんですよ」
第2章、完。




