9短話.ある男の記憶
その男は元々鉱夫だった。
しかし鉱山に魔物が住み着くようになり、ギルドへ討伐依頼を行っても魔物に返り討ちにされてしまう。
度重なる依頼に膨れ上がる依頼料。
ついに国が動いたかと思えば鉱山は危険区域として封鎖されてしまった。
伝手のある所へ仲間達は移住していくが、そこも全員受け入れることは出来ない。
途方に暮れていた所に、フードに包まれた男は現れた。
―――――――――――
「お、アンタ。あの鎧が動くなんて聞いてないぞ!」
「……依頼の品より多いですね」
フードの中がよく見えないが、声は若い男のようだ。
「へへへっ、アンタには迷惑掛けないよ。中身見てくれ、いらないのは俺達が頂くからよ」
「……困った人達ですね」
ざくっ――その音に男が見下ろすと、胸元に何かの装飾が入った剣が刺さっていた。
「あっ? あぁ?」
「親分!?」
「時期に国の兵達がここへやってくるでしょう。申し訳ありませんが、貴方達は――」
フードの男が何か仕草を行うと同時に、足元の影からシャドーウルフ達が飛び出した。
「ここで終わりです」
「うわぁぁぁああ!?」
「や、止めてく――ぎゃああッ」
ある者は喉笛を髪切られ、ある者はその鋭い爪に切り裂かれ――幾ばくの時間もなく、全員血溜まりに沈むのであった。
「ど、どうして……」
「さて。貴方達の穢れた魂は、僕達がきっと救ってみせますのでご安心下さい」
虚ろう意識の中、フードの男が両手を上げる。それと同時に胸元にあった蛇の装飾のアクセサリーが男の目に入り――そこで意識が途絶えた。




