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  作者: たかはしえりか
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思い立つと壮太に電話をかけるという事を繰り返し、二日経った。

この数日の疲れが出て外出する元気はなく、ずっと家に居た。

壮太の携帯はいつかけても圏外で、メールの反応もなかった。

三日目の朝、前の夜少し夜更かししたせいで、十時過ぎまで寝てしまった私は、ベッドから起き上がると条件反射的に携帯のリダイヤルボタンを押した。

どうせまた圏外だろうと思っていたら、話し中だった。

やっと電源を入れてくれたのだと思い、その後も十分おきくらいに何度もかけてみたが、話が長引いているようで、ずっと話し中のままだった。

会社の人と退職の話をして、熱心に慰留をされているのかも知れないと思った。

ところが午後になってもう一度かけてみたら、「現在使われておりません」というアナウンスが流れたのだ。

二度三度とかけたが、同じだった。

これが先月まで働いていた消費者金融の債務者なら、「逃げられちゃった」というところだが、壮太が私から逃げるわけがない。

そんな事、ありえない

そう思いながらも私はかなりうろたえて鳥取の病院に電話をし、焦って何度も言葉を噛みながら

「三階の特別室の岩村健さんに付き添っている須田さんに取次ぎをお願いします」

と頼んだ。

受付の女性は

「基本的にお取次ぎはお断りしておりますが、伝言ならお受けできます」

と言った後、すぐに

「あっ、もう退院なさってますね」

と付け加えた。

私は絶対誰か他の人と間違えていると思った。

「先週の木曜日に事故で運ばれた男性の岩村さんですよ。退院なんてまだ出来ない筈ですが・・・。まさか容態が悪化して、別の病院へ移ったんじゃないですよね?」

「それはこちらでは、わかりかねます」

「いつ退院したんですか?」

「個人情報になりますので、お答えいたしかねます」

「じゃあナースステーションに繋いで下さい」

「同じ回答になると思いますが・・・」

「それでも一応繋ぐだけ繋いで頂けませんか?」

迷惑を承知で食い下がると、保留音に切り替わり、暫く待たされた後に女性の看護師が出た。

でもやはり詳しい事は教えてもらえなかった。

体の奥からざわざわ音が聞こえそうなくらいの胸騒ぎがし、火照っているのにぶるぶる震えていた。


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