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  作者: たかはしえりか
10/55

翌日も遅めに起きて、みんなでおせちを囲んだ後、書初めをして漸くお開きとなった。

先生夫妻は着物や凧その他、両手いっぱいのお土産を抱えて嬉しそうに帰って行った。

壮太も満ち足りた顔をしていた。

家族総動員で一生懸命日本の伝統的なお正月を演出し、心をこめてもてなした三日間だった。 

私は安堵と疲労と祭りの後の寂しさが入り混じったような複雑な気分だった。

私や兄の受験があったり、誰かしら体調を崩していたりして十数年家族旅行もしておらず、普段の食事も殆どバラバラで、たまに全員揃っても食べ終わるとすぐにそれぞれの部屋に引き取るという家族だったが、三人を送り出した後、みんな何となく居間に集まった。

私は感謝の気持ちを込めてお茶を淹れた。

翌々日壮太からきれいな楷書で書かれた丁寧な礼状が届き、みんなで回し読みして、我が家での壮太の好感度はますます上がった。

「壮太くんみたいな人がえり子のお婿さんになってくれるといいんだがな」

と祖父が言った。

「ホントですね」

母がすぐに同意した。

「えり子には勿体ないんじゃないの?」

と兄が言うと母は

「そんな事ないわよ、ねえ?」

と私の顔をのぞきこみ、

「彼は長男なの?」

と聞いた。

「知らないよ、そんなこと。ただの友達なんだから」

私はわざと邪険に答えた。

「向こうには全くその気がないのか?」

それまで黙っていた父が口を挟んできた。

「っていうか、私もないし」

「ウソつけ」

兄が意地悪っぽく笑った。

他の三人もちょっと笑いをこらえている感じだった。

見抜かれていたのだ・・・


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