プロローグ
ある日のことだった。朝、目を覚ますと目の前に、言うならば『幽霊』のようなものが居た。
なんとも言えない顔で俺、篠山鈴のことを見てくる。
「………」
「………は?」
俺は思わずそう言ってしまった。何だろうか。最近遅くまでゲームをしすぎたせいでついに幻覚まで見えるようになってきたのか。
ふと時計を見る。『7:30』、学校の始業の時刻は8時。
「ってか、ヤッベ、急がないと遅刻する!」
俺は慌てて学校の準備をし家を出る。
通学に使うバスの出発の時間はあと五分。全力で走ればまだ間に合う。
それから俺は全力で走り………4分後。無事バスに間に合った。しかし席が空いていなかった為、立ったまま乗っていた。
「走って疲れてんのに、このまま立っとくのかよ…」
はぁ…久々にあんなに走ったな、そんなことを思いながら景色を見ようとすると、
「………」
「………」
また幽霊のような何かと、目があった。
ここまで見えたりすることなんて普通にあるのだろうか?
一人で考えてもらちが明かない。だから俺は、学校についたら、「あいつ」にこの話をしてみることにした。
「おはよー」
学校に着き教室に入ると同時、そんな気だるそうな挨拶が聞こえてきた。
「おはよ〜」
俺もまた気だるそうに挨拶を交わす。俺に挨拶をしてきたのは久瀬優結菜。俺の、いわゆる幼馴染のようなものだ。腐れ縁のようなものだけど。運動も勉強も平々凡々。だけれど、彼女には一つだけ他人にはない能力を持っている。それは…
「はぁ?幽霊?」
休み時間。俺は暇そうに席に座っていた優結菜に幽霊のことについて話してみた。
普通の人ならこの時点でお前大丈夫か?と思うだろう。だけど彼女は…
「本当だ。まじでなんか小さいのいるじゃん」
彼女は、幽霊とかが見える、霊感の持ち主だった。
「そいえば、鈴って幽霊とか見えたっけ?」
昼休み。俺は優結菜にそう聞かれていた。
「いや、見えるはずないんだけどなぁ…」
「本当に何なんだろうねこいつ?」
そんなことを優結菜と悩んでいると、その幽霊に変化があった。
今までなんの感情もなさそうだったただ浮いていただけの幽霊が首を傾げたようにして俺達と同じように悩んだような素振りを見せたのだ。
「こいつ、私たちの感情を具現化してる…?」
「うーん…」
俺たちがさらに悩むとそれに対応してか幽霊もさらに首を傾げた。
俺に幽霊が見えるようになってから、数日が経った。その間、この幽霊について分かったことは、俺たちの感情に幽霊の行動が左右されているのかもしれない、ということだけだった。だけど、幽霊が行動するのは決まって俺たち二人が揃っているときだった。俺たち二人が揃っているときだった。なので、この幽霊が何なのか、わかっているわけもなく…
「お前って何なんだろうな」
そうずっと悩む日々を送っていた。




