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咲月の散る夜は.  作者: 一ノ瀬灰
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くしゅん、と突然くしゃみが出た。埃が舞っているからだろうか。




男の四股がだらりと力を失くしたのを視界の端に映して、鼻を擦る。




元より、話を聞く気はなかった。




...大抵、何を言われるかの予想は容易く付いたから。





一息、ため息を吐く。

これでやりたい事は半分、終わった。




本来ならばここで1度達成感というやつを味わう予定だったのだが、何処か、何かが足りない様な歯痒さを感じる、ような気もする。




首を傾げながらもこの為に用意したダミーの携帯をポケットから取り出して、番号を打つ。




“ひゃくとぉばん、ね。”




何かあったら、110番。そう口うるさく言われていたその番号を、まさかこんなことに使う日が来るなんて、少し前の僕は想像してもいなかった。




電話が繋がると、向こうが何かを言う前に口を開いた。




“人殺したから。来て。”




戸惑う様な声を無視して、そのまま携帯を床に投げる。




このまま放置しておけば、逆探知でも何でも勝手にやってくれるだろう。




通話中の表示を上に地面に落ちたその画面には、自然と口角の上がった僕の顔が映っていた。






ああ、これでようやく。




これからどうしていこうか。やり方なら幾らでもある。




その可能性に笑みを浮かべ、僕は目を閉じた。

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