表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖約のスレイ  作者: ネツアッハ=ソフ
2,つぎの契約
9/23

1,再会

 しばらく泣き(くず)れていたマリスだったが、やがて落ち着いたのかその顔を朱に染めながら改めて椅子に座り直した。そして、俺とランスを同じ席に座るよう(うなが)してきた。


 取り合えず、俺とランスも黙って席に座る。最初からマリスと同席していた少女がしげしげと俺の顔を興味深そうに見つめてくる。少し、居心地(いごこち)が悪い。


 周囲(しゅうい)の人たちも、俺たちを興味深そうに見ている。


「えっと?貴方(あなた)が以前からマリスの言っていたスレイくんかな?あ、私の名前はホリィ。知っての通り彼女の名前がマリスだよ。改めて君達の名前を教えて(もら)えると助かるよ」


 断られるとは微塵(みじん)も考えていない様子。まあ、別に断るつもりはないが。此処で断ったりしたらどうするつもりだろうか?


 (ため)すつもりは無いが、興味はある。


「知っての通り、俺の()はスレイだ」


「俺の名はランサドール、一応スレイとはパーティーを()んでいる。よろしくな」


 俺達の名乗(なの)りに対し、ホリィは満足そうに()みを向けた。


 そして、()ずかしそうに黙っていたマリスだったが俺の方をじっと見ながら問い掛ける。


「えっと、スレイは今まで何をして過ごしてきたの?これまでの事を聞きたい、かな」


 そう上目遣いに聞いてくる。思わず(だま)り込むが、しかし黙っていても進まないだろうと思いやがて俺は口を(ひら)く事にした。


 何より、俺もマリスとの再会(さいかい)を喜んでいる事だしな。


「あの時、魔物の()れに村が襲撃され俺以外の住民は皆殺しにされた。けど、俺だけはどうやら奇跡的にも助かったらしい。死ぬ寸前に、俺自身の固有宇宙に目覚(めざ)めて」


「スレイの、固有宇宙?」


 マリスの言葉に、一先ず(うなず)いておく。


 現段階でマリスに俺の能力は話さない。しかし、話せる最低限は此処(ここ)で話しておく。


「固有宇宙の力によってぎりぎり生き()びた俺は、師匠の手により救われ(ひろ)われた。そして、そのまま師匠と共に修行をしながら(たび)を続けていたんだ。ランスとは、その過程で出会った」


「その師匠って?」


「師匠についてはあまり知らない。ただ、此処とは(ちが)う世界からある目的で来たらしい」


「その目的については聞いている?」


 何だか、尋問(じんもん)じみてきたな?


「師匠は、どうやらある存在(そんざい)を打倒するために俺に()いに来たらしい。どうやらその存在がこの世界に魔物が増えた原因(げんいん)らしいな」


 俺の言葉に、マリスとホリィが目を見開いて驚いた。ホリィが食い気味に聞いてくる。


「ちょ、ちょっと待って!もしかして、世界に魔物が増えた原因について()ってるの?」


「ああ、聞いている。俺達は今、そいつを打倒する為に旅をしているんだ」


「そいつについて、情報を開示(かいじ)出来る?」


 食い気味に問うホリィに、俺は首を(よこ)に振った。


「今此処では無理だ。人が(おお)すぎる」


「あっ……」


 見れば、周囲の人たちがこっそりと()き耳を立てていた。瞬間、マリスとホリィが恥ずかしそうに身を縮こませて椅子に(すわ)り直した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ