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聖約のスレイ  作者: ネツアッハ=ソフ
2,つぎの契約
8/23

プロローグ

 そして、時は()ぎ去り。五年の年月(としつき)が経過した……


 かつての少女は、今年で十七歳になろうとしていた。


 マリスは何とか精神(こころ)を持ち直し、それでもかつての幼馴染(おさななじみ)を忘れる事が出来ず、数多くの魔物を討伐する日々を過ごしている。


 或いは、それも心に空いた空虚(くうきょ)な穴から目を逸らす為なのかもしれないけれど。それでも何もしないよりは遥かにマシではあった。


 そして、そんなある日の事。マリスは仲間の聖女、ホリィと王都の酒場(さかば)で昼食を取っていた。


 少し早めの時間ではあるが、何故かマリスはそわそわと心が落ち着かないのだ。


 理由は分からない。ただ、その酒場に居れば何かが起きるような……


 瞬間、酒場のドアが開かれ二人組の男が酒場に入ってきた。一人は(やり)を携えた軽装の男。もう一人はフルフェイスの全身鎧を着込んだ大剣装備の騎士(きし)だった。


 鈍い銀色の全身鎧もあって、騎士はかなりの威圧感(いあつかん)を放っている。しかし、マリスは何故かその全身鎧の白騎士から目が(はな)せなかった。


 何故か?分からない。けど、それでも彼は何処か(なつ)かしい気配を持っているような?


「だからよ、スレイ。やっぱりあの場面(ばめん)では俺が敵を引き付けるべきだったと思うんだよ」


「ああ、分かった分かった。さっきからそればかりじゃねえか、ランスは」


 スレイ———その名に真っ先に反応したのはもちろん他でもないマリスだった。


 がたんっ!勢いよく立ち上がった瞬間、周囲の視線がマリスに集まる。無論、二人の視線も。


 マリスの目は、混乱と歓喜とよく解らない何かに支配されて僅かに涙が(にじ)んでいる。


 そんな彼女の視線を()けて、白騎士は……


「マリス、か……」


「やっぱり、スレイなんだね…………っ」


 それまでだった。マリスが()え切れたのはそれまで。


 やがて、マリスの目に涙が(あふ)れ。やがて声を上げてマリスは膝から(くず)れ落ち泣いた。

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