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聖約のスレイ  作者: ネツアッハ=ソフ
1,はじまりの契約
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5,はじまりの覚悟

 契約の固有宇宙。その言葉に、僅かな沈黙(ちんもく)が流れる………


 それは、単に俺が自覚(じかく)していないから……ではない。俺は(たし)かに、はっきりと自分自身の固有宇宙について自覚している。いや、つい先程自覚したばかりだ。


 自覚したのはつい先程、つまり目を覚ます前———()を認識したその時だ。


「その表情(かお)だと、どうやら自覚はあるらしいな」


「俺の固有宇宙が、その怪物を()つ可能性があるのか?」


 俺の言葉に、シリウスは首を僅かに横に振った。どうやら(ちが)うらしい。


「正確には、僕と君の二人だけがその怪物を討つ可能性がある。原初の無と直結する固有宇宙を持つのは僕と君の二人だけだから……」


「貴方も、原初の無と……?」


「ああ、無限の広がりと多様性(たようせい)を求めた僕と、本当に大切な何かの為に他を切り捨てた君。その違いこそあるが根本的には僕と君は同質(どうしつ)の固有宇宙を持っている」


 無限の広がりと多様性を求めたシリウス=エルピス。


 本当に大切な何かの為に、他を切り捨てた俺。


 しかし、その根本(ねっこ)は同じ。原初の無と直結する俺と彼は根本的には同質の存在なのだろう。


 そして、だからこそ……


「根本的に同質の固有宇宙を持つ俺だからこそ、貴方は俺を(えら)んだという事ですか?その怪物を打倒する為に必要だから?」


「ああ、だが今の君ではどうあっても奴には()てないだろう。それほどまでに奴と僕達の間には圧倒的なまでの力の()があるんだ」


「力の、差…………」


「だから、君に()おう。もし、今より力を求める気があるなら僕と(とも)に来ないか?」


「貴方と一緒に行けば、今より力を()られると?」


約束(やくそく)しよう」


 その言葉は、恐らく俺を(ため)しているのだろう。此処で(まよ)うようならきっとどのみちその怪物には勝てないだろうから。だから、彼は此処で()るいに掛ける気なんだと思う。


 なら、俺は此処で覚悟(かくご)を決めるべきだ。そう思い……


「分かりました、貴方に付いていきます」


 この時から、俺とシリウス=エルピスの間に師弟関係が成立(せいりつ)した。

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