2,出会いと真実
目を覚ます。既に日は落ち、空には三日月が昇っていた。
傍で火が焚かれているのか、ぱちぱちという音と共に火の温もりが伝わってきた。
ああ、そうか。俺だけ助かったんだな。そう、ぼんやりとした思考のまま想う。
「此処、は?」
「ん?目を覚ましたか。それにしてもよくあの状態から復活したものだ」
声がした。首だけ振り返り、そちらを見ると其処には割とラフな衣服を着た青年が居た。見た目は二十代に届くか届かないか程度の年齢に見える。
しかし、瞬時に俺は内心でそれを否定した。何故なら、彼の纏う雰囲気は見た目以上の永い年月を生きた人外の気配を感じたからだ。いや、人外というレベルすら超越した何かだろうか?
何だ、これは?
「お前、一体なんだ?」
「何者ではなく、なんだと来たか。まあ良い、僕の名前はシリウス=エルピス。まあ、簡単に説明をすれば君に全てを話しに来た者だ」
「全てを、話す?」
青年、シリウスは小さく頷いた。
「この世界に固有宇宙という異能が広がった理由。そして、異形の魔物が世界中に満ちてこの村を襲撃してきた理由の全てを話そう」
その言葉に、俺は思わず息を呑んだ。そんな俺を前に、シリウスは話し始めた。
全てのはじまりたる、ある怪物の話を………